ロシアの調査船がセイウチに襲われて沈没。なぜ敵認定されたのか?

ロシアの調査船がセイウチに襲われて沈没。なぜ敵認定されたのか?
imagecredit:Pixabay日本海では水産庁の船と衝突した北朝鮮の漁船が沈没したというニュースが報じられているが、北極圏バレンツ海では先日、ロシ...
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image credit:Pixabay

 日本海では水産庁の船と衝突した北朝鮮の漁船が沈没したというニュースが報じられているが、北極圏バレンツ海では先日、ロシアの船がセイウチに襲われて沈没するという事件が発生した。

 事件はロシア地理学協会によるロシア領フランツ・ヨシフ諸島の調査の最中に起きた。

 調査隊がロシア北方艦隊所属のアルタイ号から上陸用ボートに乗り込み、ビリチェク島に上陸しようとしたところ、メスのセイウチから襲撃を受けたのだ。

 ロシア地理学協会のニュースリリースによると「おそらくセイウチは子供に危害がくわえられることを恐れた」のだそうだ。

 これによって上陸用ボートは沈没してしまったが、そこに乗っていた隊員たちはリーダーの迅速な行動によって全員が無事岸にたどり着けたという。

調査隊が子供を守ろうとしたセイウチに攻撃されるも被害なし


 北極圏に位置するフランツ・ヨシフ諸島は192の島で構成されている。

 冷戦期には軍の基地が設置されていたこともあったが、1994年以降は自然保護区に指定され、現在では人間は暮らしていない。

 ロシア地理学協会が公開している写真を見る限りは、海が氷だらけでまったく航海ができない、というようには見えない。

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体の大きなセイウチが乗るには、氷は少々心もとないようにも見える
image credit:ロシア国防省

 しかし、調査が開始された19世紀においては今とはまるで環境が違っていた。当時の調査では、夏の盛りであっても氷で島に近づけないことがしばしばだったという。

 この一帯ではかつてセイウチは狩猟の対象だったが、1952年に狩猟が禁止されて以来、生息数は1000頭以上にまで回復した。

 北方艦隊によれば今回の事件でも、セイウチ側に犠牲は出ていないとのことだ。

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アルタイ号から出発する上陸用ボート。沈没したボートかどうかは不明
image credit:ロシア国防省

 なお、アルタイ号が所属するロシア北方艦隊からの報告には微妙な違いがある。

 研究者の一団がゲラー岬へと上陸しようとしたところ子供を守ろうとしたメスのセイウチによって襲撃されたが、「”北方艦隊の隊員”の的確な行動」のおかげで大事なくすんだとのことだ。

 また、こちらでは上陸ボートの件については触れられていない。隣国が軍用セイウチを導入することを恐れでもしたのだろうか?

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アルタイ号の船窓から覗けるフランツ・ヨシフ諸島の島のひとつ
image credit:ロシア国防省

海氷の喪失によりフランツ・ヨシフ諸島のセイウチにも危機迫る?


 アラスカに生息するセイウチのように、フランツ・ヨシフ諸島のセイウチもまた海氷の喪失によって深刻な脅威にさらされているのかどうかは不明だ。

 しかしセイウチの側には、人間に対して敵意をあらわにするべき理由はいくつもある。

 過去に狩猟の対象とされてきたことばかりではなく、人間が排出している温室効果ガスによって彼らの住処である北極の気候と生態系は激変しているのだ。

 ちなみにこの調査は、1874年にフランツ・ヨシフ諸島の地図が初めて作られて以来続く由緒あるものだ。

 今回は、1874年のオーストリア=ハンガリーの調査隊や1989-1899年に探検をしたアメリカ人ジャーナリスト、ウォルター・ウェルマンが残した品が回収されたのだという。

References:Fox news / Rgo.ru / Science alert / Ifl scienceなど / written by hiroching / edited by usagi
更新日:2019年10月9日
提供元:カラパイア

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