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お酒を飲んでないのに酔っぱらう。体の中で勝手にアルコールを作りだす腸内細菌の存在が明らかに(中国研究)

カラパイア

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image credit:Pixabay

 腸は第二の脳ともいわれている。腸内細菌が人間の心や体に及ぼす影響は数知れず、様々な研究が進められている。

 3年前、ニューヨーク在住の女性がお酒を飲んだわけでもないのに飲酒運転で捕まるという事件が発生した。原因は、お腹の中で勝手にアルコールが作られてしまうという彼女の特異な体質だった。

 この奇妙な事件は当時ニュースにもなったので、「腸発酵症候群」や「ビール自動醸造症候群」と呼ばれる症状に聞き覚えのある人もいるかも知れない。

 このほど、中国・首都児科研究所による研究で、一般的な腸内細菌であっても体の中で大量のアルコールを作り出す変種がいることが明らかになった。

 そしてその細菌は非アルコール性脂肪性肝疾患とも関係があるかもしれないとのことだ。

ご飯を食べただけで酔っ払ってしまう珍しい病「腸発酵症候群」


 非アルコール性脂肪性肝疾患はその名のとおり、まったくお酒を飲まないのに肝臓に脂肪が蓄積してしまう病気のことだ。

 症状が悪化するとまるで長年お酒を飲み続けでもしたかのように肝臓に傷がつき、やがて機能しなくなってしまう。

 その原因はよくわかっていないが、世界的には成人の4分の1がその影響を受けているとされ、また肥満・高血圧・インスリン耐性・高脂血症との関係も指摘されている。

 一方、腸発酵症候群は非アルコール性脂肪性肝疾患よりもずっと珍しく、炭水化物を食べただけでお酒を飲んだときと同じように酔っ払ってしまう症状だ。

 典型的なケースでは、感染などの結果として胃腸にイースト菌(ビールの発酵に使われるのと同じもの)がたまってしまい、それらが糖やデンプンをエタノールに変えてしまうことが原因だ。

 そうした人は、困ったことにご飯などを食べただけで酔っ払ってしまうのだという。

 そこで研究チームのユアン・ジン氏らはこれらの症状を持つ患者を診察した際、まず腸内イースト菌の検査を行った。ところが、結果は陰性だったらしい。

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通常の4~6倍ものアルコールを生み出す変種の腸内細菌を発見


 そこで患者の大便を調べてみると、普通とは違うクレブシエラ・ニューモニエという細菌が発見された。

 この細菌は腸内細菌としては特に珍しくもないが、その患者の場合、どういうわけか通常の4~6倍ものアルコールを作り出す変わり種だったのだ。

 つまり、この新しい細菌もまた飲まなくても酔っ払ってしまう症状の原因であるかもしれず、さらには長期的な飲酒によるものと同じ症状をきたす肝臓病とも関係がある可能性が疑われた。

 そして今度は非アルコール性脂肪性肝疾患者43名と健康な人48名の大便を調べたところ、患者の6割の腸で高度から中度のアルコール生産能力を持つ例の細菌が発見された。

 一方、健康なグループでは6%のみで、この変種と非アルコール性脂肪性肝疾患との関連性を強く臭わせる結果が得られた。

 なお、今回調査の対象となった人の中に腸発酵症候群の人はいなかったとのこと。

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image credit:Pixabay

マウスにアルコール生産細菌を食べさせると肝臓に脂肪が蓄積


 この発見は、両者の関連性を強く示唆しているが、それを証明まではしていない。

 そこで研究チームは、3ヶ月間マウスに患者から手に入れた変種のアルコール生産細菌を食べさせるという実験を試みた。

 すると1ヶ月もするとマウスの肝臓に脂肪が蓄積し始め、2ヶ月後には傷がついている兆候まで見られるようになった。

 これらの症状は、同じ期間アルコールを飲ませ続けたマウスと類似していたとのことだ。

 ユアン氏らは今後、大人と子供を含めたより大規模な研究を行い、この細菌株を持つ人とそうでない人がいる原因を究明したいそうだ。

 この研究は『Cell Metabolism』(9月19日付)に掲載された。

References:NCBI / cell-metabolism / written by hiroching / edited by usagi

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