劇中では、なつの娘以外にも、子どもたちが増えて大所帯に。
「僕は『なつぞら』はホームドラマだと思っています。僕の若いころは結構やらせてもらったけれど、近年は少なくなりました。でも朝ドラのように長く一緒にいると、ちゃぶ台を囲んで、みんな本当の家族のようになる。誰かがせりふを間違えても自然に、にや~っと笑いが起きたりね。関係性がうまくいっていない現場では、互いにムッとしたりすることもあるけど、柴田家は、誰が失敗してもOK。本当に家族のようです。この現場は、いつ行っても何してもみんなが笑顔。涙の名場面も、そんなみんなの笑顔が作り出したもの。僕もそうだったけど、みんな自然と温かな思いが湧いて出てくる現場でしたね」
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今回、草刈は泰樹役を通じて、開拓者の精神も学んだという。
「故郷の博多でよくいいますが、僕はふだん、すぐ好きになるがすぐ飽きてしまう“好きやすの飽きやす”なんです。基本的にはなまけもので、どっちかというと仕事したくない(笑)。だから『この役をやりたい』というのはなく、来たものをありがたく受け取ります。決して“あきらめない”開拓者精神は泰樹から学びましたね。僕も今回、長ぜりふもあって、この年で必死になって“あきらめずに”と、自分を叱咤激励して撮影に挑んだ。僕の中にあった開拓者の精神が湧き上がった気がします」
泰樹を演じ、スタジオでも“ずっと見守られていた気がする”と語る草刈。実は真田昌幸を演じた『真田丸』(’16年)のときにも同じような経験をしたという。
「僕の演じた昌幸を昔、『真田太平記』(’85年)で演じてらした丹波哲郎さんが『おまえ、ちゃんとやれよ』と応援してくださっているのをスタジオで感じたんです。『なつぞら』でも。スタジオに入ると、亡き母や父をはじめ戦争を経験された人、開拓者の方々、ご先祖様、そんな皆さんの思いを何か感じるんです。目には見えないけれど、みんなが助けてくれているかもしれませんね」