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心音や血流、眼球の動きが絶えず聞こえる。非常に稀な症状を持つ女性。その原因は?(スコットランド)

カラパイア

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image credit:Ninell/shutterstock

 音は、常に私たちの生活の中にあるが、時に静けさを味わうことも心や脳にはとても大切だ。周りの音が何も聞こえない静けさの中に身を置くことは、心を穏やかにし気持ちをリラックスさせる。

 しかし、イギリスのスコットランドに住むある女性は、体内の音が絶えず聞こえるという非常に稀な症状を抱えて生きて来た。

 眼球がコロコロ動く音、心臓がドクドク鳴る音、血液がシューッと流れる音まで聞こえるというその女性は、これまで本当の静けさというものを経験したことがないという。

 何度病院に行っても原因はわからないままだったが、10年以上の月日を経て、専門医の診断により、ようやくその原因が明らかとなった。

絶え間なく音が聞こえることに気付いたのは10代の時


 スコットランドのグラスゴーに住む1児の母ジェマ・ケアンズさん(32歳)は、10代の時に、体内の音が絶えず聞こえることに気付き、母親に打ち明けた。

 それは、血液が流れる音や心音、眼球が動く時の音で、耳に入り頭の中で鳴り響く。ジェマさんはいつも「本当のサイレンス」を経験したことがなかった。

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image credit:deineka/shutterstock

 過去に医師のもとを訪ねても、耳詰まりや鼻の薬を処方されるだけで、何の効果もなかった。ジェマさんが正確な診断を受けたのは、症状に気付いてから実に14年も後のことだったという。


専門医により原因が判明。上半規管の周囲の骨が2本欠損していた


 ジェマさんは、前に住んでいた場所からグラスゴーへと移り、専門医の診察を受けた。そしてついに2016年、両方の耳が「上半規管裂隙症候群」であることが判明した。

 それは、三半規管のひとつである上半規管の周囲の骨が欠損している状態で、ジェマさんの場合は2本欠けているとのことだった。

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PublicDomainPictures/pixabay

 非常に細い骨だが、これが欠けることによりバランス感覚と聴覚に大きな影響を与えてしまう。

 特に大きな音の刺激や圧力による刺激を受けて内耳が揺らされると、眩暈やふらつきを感じ、視野に歪みが生じる。


血液、心音、眼球の動く音が絶え間なく聞こえる毎日


 去年9月に右耳の手術を受けたジェマさん。医師には、聴覚が失われる可能性があるとも伝えられたが、リスク覚悟で挑んだという。

 しかし術後の回復時も、歩くと酔っ払いのような歩き方になり、吐き気がして辛かったそうだ。

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image credit:altanaka/shutterstock

これまで、完全な“サイレンス”を感じたことはありませんでした。頭の中でいつも音が響いていました。

ジョギングが好きなのですが、走ると速くなった鼓動が耳鳴りのように響きます。普段でも、血液のシューッと流れる音もそうですが、特に眼球が動く時の音が絶え間ないので一番気になっていました。

人に話すと、『どんな音?』と聞かれるのですが、例えようのない音です。強いて言うなら、眼球の側面に当たって擦れるような音です。キシキシというような音に少し似ていて、いつも頭の奥に深く響くのです。


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Skitterphoto/pixabay

耳鳴りも常にノイズが聞こえますが、それと同じ状態です。大きな音を聞くと、バランス感覚を失って倒れてしまうほどです。

眩暈や吐き気もするし、しょっちゅう何かに躓きます。でも、この症状を医師に説明するのは大変でした。

 眠っている時には体内の音は聞こえなくなるというジェマさんだが、日常生活の中で大きな音を経験することは、非常に辛いものとなる。

 しかしそれでも、自分なりに受け入れて人の多いカフェで働き続けてきた。医師によると、ジェマさんの症状は恐らく生まれつきということだ。それ以外のケースとしては、頭部に外傷を負うとこのような症状が出ることがあるそうだ。

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geralt/pixabay

手術に成功すれば、初めて「サイレンス」を感じることができるように


 両耳を一度に手術すると、バランス感覚を完全に失ってしまうため、左耳の手術は来月に行われる予定となっている。

 とてもレアなケースゆえに、診断されにくく、周りにも理解してもらいにくいことが一番辛いと話すジェマさん。

 それでも来月の手術がうまくいけば、初めて「サイレンス」を感じることができる。「音を絶えず感じなくても済む、平和な日々が送れることを願っている」と話している。

References:Daily Recordなど / written by Scarlet / edited by parumo

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