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なぜ、打者と投手の相性が生まれるの?/元ソフトバンク・柴原洋に聞く

週刊ベースボールONLINE

読者からの質問にプロフェッショナルが答える「ベースボールゼミナール」。今回は打撃編。回答者は現役時代に巧打の選手として活躍した、元ソフトバンクの柴原洋氏だ。

Q.例えばソフトバンクの松田宣浩選手と西武の十亀剣選手、広島の安部友裕選手と巨人の菅野智之選手のように、かなりの確率でバッター側が結果を残す組み合わせがあります。「相性」と言ってしまえばそれまでですが、なぜそのようなことが起こるのでしょうか。また、その逆もあるのでしょうか。(東京都・30歳)



A.キッカケはタイミングや見やすさなど些細な事



ソフトバンクの松田を苦手としている西武の十亀

 面白い視点ですね。質問の方が言うように、確かに「相性」というものはあると思います。たとえば、例に挙がった松田宣浩選手(ソフトバンク)と十亀剣選手(西武)の対戦成績は、昨年終了時点で打率.619(26安打)、9本塁打、10四球だそうです。しかも、昨年度だけで5本塁打。以前、ある投手が対戦打率で4割を打たれていたら、「ほぼ全打席打たれている気分」と話しているのを聞いたことがありますから(バッター視点で考えても同様でしょう)、十亀選手はそれ以上なのではないでしょうか。

 また、昨年まで2年連続沢村賞受賞の菅野智之選手(巨人)は安部友裕選手(広島)に通算で4本の本塁打を許しています。あの、菅野選手から4本ですから、これは決して少なくない数字です。

 ちなみに私も現役時代、現在西武のコーチをされている西口文也(元西武)さんとは非常に相性が良かったです。なぜこういった現象が起こるのか、自分の例で考えてみましたが、当初は得意という印象はありませんでした。対戦回数を重ねるごとに、打てるようになったのですが、これには理由があります。西口さんと言えば、スライダー。私のような左打者からすると、ストライクゾーンから内角低めのボールゾーンに食い込むように入ってくるボールです。当初はいいように空振りを取られていたのですが、我慢できるようになって(つまり、捨てたわけです)から状況が一変しました。意識は外から入ってくる変化球、外への真っすぐ。これだけでどんなボールも打てるようになりました。

 しかも、西口さんが先発する試合で1試合に2本、3本と固め打ち。こうなってくると、今度はバッテリーが考えてくれるようになります。「どこ投げても打たれるな」と思ってくれたらもうけもの。2ストライクと追い込まれてからど真ん中に来たときには、向こうが追い込まれているんだな、と感じました。ヒットが出るようになってからは、四球も増えたと思います。

 キッカケは些細な事でしょう。ボールが見えやすい、タイミングが合うというところでヒットが続き、心理的に優位に立つ。それはピッチャーにも伝染して、「ここには投げちゃいかん」という強迫観念が逆に手先を狂わせてコントロールミスになる。もちろん逆に「まったく打てない」ということもあるのですが、すべては心理面が影響しているように思います。

●柴原洋(しばはら・ひろし)
1974年5月23日生まれ。福岡県出身。北九州高から九州共立大を経て97年ドラフト3位でダイエー(現ソフトバンク)入団。11年現役引退。現役生活15年の通算成績は1452試合出場、打率.282、54本塁打、463打点、85盗塁。

写真=BBM

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