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コントロール重視で150キロを出すまでになった池田陽佑(智辯和歌山)の確固たるプロセス

高校野球ドットコム

 奥川 恭伸の154キロで沸く中、智辯和歌山の池田 陽佑も150キロに達した。この2試合で、12回を投げて1失点、11奪三振、2四死球と抜群の安定感を発揮している。

近畿大会の敗戦が池田陽佑を飛躍させた

池田陽佑(智辯和歌山) ※写真=共同通信社

 夏でヒーローになる選手というのは、春から爆発的に伸びる投手だと思うが、池田 陽佑はまさにそんな投手だろう。

 センバツから夏にかけての成長が素晴らしい。近畿大会初戦の智辯学園戦では最速146キロ・平均球速142.6キロと、高校生としてはトップクラスの数字を残していた。ただ打ち込まれた反省を生かし、池田は左手の位置(参考記事)を改め、また体重移動の際も軸足から左足にしっかりと体重が乗る感覚で投げることを心掛け、夏でも継続的にトレーニングに力を入れた結果、全力を入れなくても、140キロ後半のストレートをコントロールできるようになった。183センチ84キロと恵まれた体格を生かす技術を身に付けたのである。

 また近畿大会後は、制球力重視の投球にシフトチェンジし、夏の和歌山大会では13イニングを投げて15奪三振、無失点と躍動。甲子園出場に大きく貢献した。

 今大会の池田は、他校の投手と比べてもワンランク上の投球を見せた。先発時でも常時140キロ前半~140キロ中盤を計測し、リリーフとなれば、145キロ~150キロを投げる。池田がすごいのは全力で投げ込むのではなく、コントロール重視で効率的な体の使い方をして、140キロ後半のストレートを投げていることだ。

 この日の明徳義塾戦でも、7回裏。7番・服部 遼馬の場面で150キロを出したことについては、
 「非常に指がかかっていてよい感じで投げられたと思います。ただ力んで投げたのではなく、コントロール重視で投げられたのは良かったと思います」と語った。

 ストレートが良ければ、変化球も生きる。130キロ台のカットボールは縦スライダーのように落ちて、120キロ後半のフォーク、130キロ前後の曲がりの大きいスライダーもしっかりとコントロールされ、低めに決まる。速球、変化球も投げ分けができる池田陽佑の投球は巧打者揃いの明徳義塾打線も圧倒し、1安打に抑えた。

ライバル・奥川恭伸に投げ勝ち、日本一へ

池田陽佑(智辯和歌山)

 また打撃でも2試合で4安打の活躍。池田自身も驚きの結果だが、光ったのは7回表の二塁打だ。「ぎりぎりで危なかったです」と冷や汗をかいたが、投手でも猛然と二塁を目指す走塁は普段の練習の成果が出ている。
 「チームでは走塁に力を入れていて、主将の黒川が投手もしっかり走れ!と指摘してくれるので、そのおかげだと思います」

 池田の二塁打から始まって、7回は智辯和歌山のビッグイニングとなった。

 7対1で勝利した智辯和歌山は、3回戦で星稜との対戦が決まった。星稜のエース・奥川 恭伸の154キロを池田は試合前に控室の映像で見ていた。
 「奥川君が登板した時、ずっと見ていましたよ」

 やはり同じ速球投手として、奥川は意識する存在だ。池田は150キロを出したことは嬉しさを感じつつも、悔しさも同時に味わっていた。
 「自分が150キロを出して、甲子園球場からすごい歓声が沸いたとき、嬉しかったんですけど、奥川君の場合は、1球目はざわつきますけど、その後も当たり前のように150キロ以上を連発するので、ざわつかないじゃないですか。それがすごいんですよね。なんか悔しさを感じました」

 そう話す池田の姿を微笑ましくも感じるが、よく考えれば、奥川も、池田もすでに高校生離れした高次元のレベルに達している。
 16日に実現する智辯和歌山vs星稜の3回戦は、150キロ右腕の対決としてハイレベルな投手戦が繰り広げられるだろう。奥川に負けじと、気合の入った池田のピッチングに注目したい。

(記事=河嶋 宗一)

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