日本代表、森保式3バックはオプションになる。CBとWBのポジショニングが最大の鍵に

日本代表、森保式3バックはオプションになる。CBとWBのポジショニングが最大の鍵に
森保ジャパン、初の3バックでスタート 日本代表は5日、トリニダード・トバゴ代表との国際親善試合に0-0で引き分けた。森保一監督は就任以来4バックで戦ってきたが、この試合で3バックを導入。批判的な見方も…

森保ジャパン、初の3バックでスタート

 日本代表は5日、トリニダード・トバゴ代表との国際親善試合に0-0で引き分けた。森保一監督は就任以来4バックで戦ってきたが、この試合で3バックを導入。批判的な見方もある中、選手たちはポジティブな姿勢を貫く。今後、新たなシステムが世界と戦う中でオプションとなる可能性はあるのだろうか。(取材・文:舩木渉)

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 日本代表の3バックに賛否両論が飛び交っている。5日のトリニダード・トバゴ戦で、森保一監督が就任後初となる3-4-3にトライし0-0に終わった。

 この結果と試合内容から、練習時間の限られる代表チームで3バックを熟成させるのは難しい、あるいは「無理」と断じる見方もあった。だが、選手たちは比較的ポジティブに新システムに取り組んでいる。

「思っていた以上にできたのは間違いないかなと。3バックのいいイメージは確かになかったから。まあよかったんじゃないかな。みんなが自分なりに考えてやっていたことがすごく伝わったし、俺もそうやったし、それを昨日やってある程度は理解した中でまた次となった時に、そのプラスアルファの考えを出せばもっとよくなるだろうし、逆にプラスアルファを出すことによってダメなところがもっと明確になるだろうし。そうやってチームは成長すると思う」

 そう語るのは3バックの中央でトリニダード・トバゴ戦に出場した昌子源だ。「ある程度ベースは分かった感じはするし、そういうのが分かる選手が集まるのが代表だと思うし、戦術理解度とかも含めてもちろん分からないところはあるけど、それを詰めていくのもまた仕事」と、今後も3バックに継続して取り組んでいくことに前向きな姿勢でいる。

 単に「3バック」とはいっても、様々な戰い方がある。守備時に5バックとなることが前提の守りの意識を高めるもの、あるいは守備時に5バックを形成しつつ、攻撃に移ると左右どちらかのサイドを極端に上げて4バック的にシステムを変化させて攻撃に厚みを持たせるもの。より攻撃的であれば、中盤より前に数的有利を作り出して時に5トップ気味に攻撃的なサッカーを展開するためのもの。

互いのゲームプランがぶつかった前半の駆け引き

 そんな中、森保一監督が採用した「3バック」は、相手の出方ありきで守備に重きを置いたものではなく、より「自分たち」にフォーカスして試合の主導権を握っていくためのものだった。トリニダード・トバゴ戦後の記者会見で、新布陣の狙いについて次のように説明する。

「まず形としてはウィングバックが守備のときはスペースを消せる。攻撃のときは高い位置で幅を持てるという部分で、相手のディフェンスを分散させることができると思っています」

 当然「短期間の練習の中でもう少し時間が必要」とは認識しているものの、「大迫(勇也)に入れるボール、(中島)翔哉、そして(堂安)律に入れるボールがだんだん増えてきて、そこで起点ができて、相手が中を締めてきたところで今度はそこ(サイド)をまた使っていくところ、そこは選手たちが少しずつですけど、試合の中で相手の形を見ながら相手の嫌がる攻撃をしていけた」と時間を追うごとに生じた変化に手応えを感じているようでもあった。

 森保監督が描いていたゲームプランの中には相手選手の立ち位置との駆け引きもあった。4-1-2-3の並びで挑んできたトリニダード・トバゴに対し、「最初はワンボランチで我々のシャドーを見ていて止められなかったところをダブルボランチにしてきて」と語ったここまでが序盤の読みで、その後「(相手が日本のシャドーを)止めたところをディフェンスラインから畠中(槙之輔)や冨安(健洋)が持ち上がって、そのスペースからまたいい形で攻撃を仕掛けていく」という試合の流れの中での変化もつけられた。

 トリニダード・トバゴはデニス・ローレンス監督がメンバー表を見て日本の3バックに気づき、3トップで対抗してきた。酒井宏樹は試合中の相手とのせめぎ合いと、その中で見えてきた反省点も含めて証言する。

「前半20分まで相手が3トップの状態だったので、そこで1点取ることがマストでしたね。だから駆け引きがすごくあって、今日の前半は。前半20分には相手が修正してきたので。その前に1点取れたら、僕らは逆に5バックにして相手を来させて、そこからカウンターというのもできたので。全ては試合展開によって変わりましたね。そういうのもまたワールドカップ予選で試合展開によって、フォーメーションもそうだし、戦い方も変えていけたらいいかなと思います」

鍵になるのはストッパーとWB

 さらに酒井は「3バック」があくまでスタートの立ち位置の目安にすぎず、試合中に展開に応じて各選手のタスクとポジショニングを整理していくものだと強調する。それは継続していくことで見についていくはずだ。

「3バックというのは最初の形だけで、試合中にどんどん変えていくのが森保さんのやり方ですし、僕らもそういう話をしたので、最初だけ3バックという感じで、あとは試合中は4バックなのか、3バックなのか、たまには2バックにもなりますし、そこは流動的にやってきたと思いますけど、クオリティという部分ではまだまだ伸びしろがあると思いますし、続けていくことに意味があると思います」

 ここまで振り返って見えてくるのは、森保監督が目指す3-4-3での理想的な戰い方において、鍵になるのは3バックの左右のストッパーとウィングバックの位置関係だ。「できれば僕と(長友)佑都くんが攻撃的に行きたいのは間違いない」と酒井が話すだけでなく、指揮官が「サイドの幅を取る」と語っていることにもつながる。

 トリニダード・トバゴ戦で言えば酒井と長友が常に高い位置をとり、シャドーの中島翔哉や堂安律と近い距離でコンビネーションを発揮できる状況を作る。後ろは基本的に3バックから組み立て、左右のストッパーはサイドに開きつつ、高いポジションでビルドアップに関わる。時にはオーバーラップやインナーラップで攻撃に加わり、相手を混乱させる。

 もし相手のプレッシャーが厳しかったり、3バックに対して数的同数以上の状況を作られれば、出方に応じて2人のセントラルMFのうち1人が間に入って4-1-5に近い形にしながらボールを前進させる。いずれにしろ両ウィングバックが高い位置をキープすることは変わらず、サイドの幅を大きく使いながら相手を広げて、守備者と守備者の間にスペースが空いたところに人とボールを入れてゴールを攻略していく。

 あくまで単純な例でしかないが、こうした組み立て方をプランとして描いた時に、前述の通り3バックの左右のストッパーとウィングバックの距離感は非常に重要になる。酒井は「なるべくトミ(冨安)が前に出してくれたのもありますし、自分も前に出れるようなポジショニングを取ろうと思っていました。そこでもディフェンスにも貢献できるようなポジションを取っていました」と語る。

 ただ、まだ課題もある。3バックに慣れていない選手が多く、チームとして戦術の練度を高める時間が短かったこともあって、左サイドでストッパーを担った畠中槙之輔は反省を口にした。

「ビルドアップのところは、相手が引いていてスペースは確かにあったので、自分とかトミ(冨安)が持って高い位置でプレーできるのが理想でしたけど、相手の攻め残りだったり、リスク管理とかもあったので。特に前半とかはリスクを取らないで守備しようというのがあったので、それは仕方ないかなと思います」

ぎこちなさが消えれば…

 最も避けたいのが相手に押し込まれた末に5バックになってチーム全体の重心が下がってしまうこと。これではボールを奪っても攻撃に出ていくためにかなりのエネルギーが必要で、ゴールに近づく回数が減ってしまう。そうならないためにウィングバックを前に出して相手のサイドバックをケアさせ、相手のウィングに対して同サイドのストッパーが寄せるのか。あるいは一度5バックのようにポジションを整えてウィングバックを同サイドのウィングと対峙させ、サイドバックのケアを味方のシャドーに任せるのか。

 いずれにしろ常にストッパーとウィングバックの距離感を適切に保ち、同サイドのシャドーやセントラルMFも含めて誰がどこまで動き、どの相手選手に寄せるのかといった細かいタスクを状況に応じて整理しておかなければいけない。それは両サイドそれぞれに言えることで、左右で考えていることを共有しておかなければならない。

 ウィングバックが前に出過ぎれば、相手のカウンターを食らった際にセントラルMFや左右のストッパーがカバーする範囲が広大になってしまい、1対複数で危険な状況にさらされるリスクも高まる。こうして守備に全力で戻らなければいけない場面もあれば、相手の出方に応じてビルドアップに絡み、ラストパスも出す。ウィングバックのポジショニングは間違いなく森保監督の3-4-3において鍵となる。

 サッカーにおいては攻撃よりも守備の方が整備しやすいと言われる。まずは最終ラインの選手間の関係性や、ストッパーとウィングバックのポジショニングを整理し、組織として適切な距離感が見つかってくれば攻撃にも自然と厚みが出てくるはず。

 左サイドではすでに中島が攻撃のスイッチを入れる際に、長友が背後をランニングしてスペースを作りだすなど、いくつか「型」ができつつある。こうしたコンビネーションは選手同士の相性もあるので、これから新たな発見もあるだろう。

 まずは9日のエルサルバドル戦、メンバー変更もあるかもしれないが、その中でも森保式3バックがどんな進化を見せるかに注目だ。今後も4バックがメイン戦術になるとしても、仮にトリニダード・トバゴ戦のようなぎこちなさが消えてくれば、日本代表の戰いの幅はぐっと広がる。

(取材・文:舩木渉)

更新日:2019年6月10日
提供元:フットボールチャンネル

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