鈴木拓 | クズ芸人・鈴木拓のキレイごと抜きの処世術

鈴木拓 | クズ芸人・鈴木拓のキレイごと抜きの処世術
名前も顔も覚えられていない地味な「じゃない方芸人」から始まり、共演したアイドルへのゲスすぎるセクハラ発言、ゲーム番組での卑怯な戦法に、相手の痛いところを突く論破キャラ……。浮き沈みが激しい芸能界をしたたかに生き抜くドランクドラゴンの鈴木拓さんが、人生を絶対にしくじらない愛され処世術を綴った初の著書『クズころがし』を発表。独自の立ち位置を築いたプロセスをたっぷり伺いました。
この1ページがスゴイ
才能がない者は努力したってムダです。
センスのない者は努力するな、です。

何年もスゲェ頑張ってるのに全然成果がでない人。
努力しても努力しても望んでる結果が出ない人。
その努力、もうやめていいと思います。
いや。
絶対やめた方がいいです。
そんなムダな努力は自己満足でしかないですから。自己満足なんて、ただの甘えですから。その辺の中2と一緒です。
そのために失われる大事な時間や体力を、自分にあった道を進むのに使った方がずっといいです。

自分の進むべき道って、案外、立ち止まった時に見えてきますから。

芸人として自分の進む道が12年間見えなかった俺が言うのもなんですけど。

――『クズころがし』17ページより

キレイごとを言わないキャラで蛭子能収に近づく

――各局のバラエティ番組に加え、朝ドラ『まれ』(NHK総合)へのご出演と大活躍ですね!

鈴木拓 (以下、鈴木) ありがとうございます。

――どんなオファーが多いですか?

鈴木それが最近ちょっとオファーの感じが変わってきて、「鈴木さんなりの意見を言ってください」ってご意見番みたいな依頼が増えてます。

――と言いますと?

鈴木ミエとか好感度を気にして、本音を隠そうとしている人がいて、司会者の方に「この人、本心では何を考えてるのかわからないんだけど、教えてよ、鈴木」って聞かれたら、「この人は今、カネのことしか考えてません!」って指摘する役割です。ウケると同時に、「おおーっ、そうだよな!」ってみんなが感心してくれるようになってきましたね。

鈴木拓

――ポジションが変わってきたんですね。

鈴木「ほら、お前らの本音はこれだろ!」って指摘すると、以前は非難めいた反応が起きていたんです。だけど、『ガキの使い』の「24時間ロングインタビュー」※以降、ちょっとずつ変わっていきました。「確かに当たってるよな」って納得が半分、「でも、普通はそんなにハッキリとは言わないけどな」って、呆れられるの半分な感じです。僕は昔から一貫して、ウソを言ってるつもりはないんです。なんだか、どんどん蛭子(能収)さんに近づいていってますね……。

※「24時間ロングインタビュー」:生い立ちや趣味など24時間ぶっ通しでインタビューされる企画。鈴木から思わぬ“名言”が飛び出したとして話題に。

――先日、テレビ東京の番組※で共演なさってましたね。

※「テレビ東京の番組」:2015年4月12日放送の『トーキョーライブ22時』に「生放送が怖い芸能人」として、鈴木奈々を加えた3人でゲスト出演。

鈴木僕も蛭子さんも本音しか言わないので、地獄みたいなメチャクチャなロケでした。相方の塚っちゃん(塚地武雅)が僕らを止める感じで。蛭子さんが漫画家の松本零士さんの大ファンってことで、松本さんのご自宅にロケで伺うって企画だったんですけど、貴重な原画をプレゼントしてもらって、すかさず「これ売ったお金で競艇に行きます!」って本人の目の前で言っちゃうんですよ。あの人、ボケて言ってるんじゃなくて、ただの本音ですから。

――(笑)。拓さんも蛭子さんも、なかなか口にしづらいことをズバッと言葉にしてくれます。『クズころがし』も拓さんだから言える内容ばかりで、意外なほどの説得力があってビックリしました。

鈴木みんなが言おうとしないことを言っちゃってるので(笑)。たとえば、好感度なんかいらない、ってのもそうです。僕にとっての本当のお客さんは視聴者ではなく、仕事を直接くれるマスコミだ、とか。文句ばっかり言ってるクレーマーなんて、テレビをつまらなくする最大の敵ですからね! 評論家なら誰でもなれるんですよ。ゼロから作ってる人と、イチあるのを文句いうのでは全然ちがうじゃないですか。

――中に出てくる「言ってはいけない『今が一番幸せ』」っていうのは?

鈴木大っ嫌いなんです! 「今が一番幸せ」ですー、とか言うヤツ!! 別にひとり黙ってそう思うだけならいいんですけど、わざわざアピールしてくるヤツ、腹立つだけじゃないですか。女優に多いんですけど、ポジティブで充実感アピールばっかで、幸せの押し売りをしてくるんですよ。でも、「今が一番幸せ」って言ってるわりには、いざカメラの前に立ったらすごい照明を焚いて、光を当てて。その背後で立ってる俺が一番白くなってんじゃねーか!

――(笑)

鈴木僕に言わせりゃ「そのシワ隠しはなんなんですか? 本当は手を施しまくってるんじゃないんですか?」って指摘したくなっちゃう。だからといって、今が辛いってワケじゃないし。他人に弱みを見せるようなことも嫌ですし。そこそこいいじゃないか、って程度でじゅうぶんだと思いますけどね。

――ほかに腹が立つ人種はいますか?

鈴木「努力は必ず叶う」って言うヤツですね。インタビューなんかで、聞くほうも聞くほうですけど、答えるほうもどうかと思いますよ。「バカヤロウ、お前のところに行くまでに夢破れた人間が、お前の足元に何万人と転がってるんだぞ」って。それをいけしゃあしゃあと言うなんて、ちゃんちゃらおかしいわ!

鈴木拓
ダメなやつのほうが多い

――『才能がない者は「努力をするな」』ですね。

鈴木僕が主張したいのは、ダメなやつのほうが多いんだ、ってことなんです。成功した人を責め立ててるわけではなくて。やっぱりトップに立つ人は必ず努力をしてるので。だから、才能がない人間がいつまでも同じ勝負の仕方をするのが間違いなんじゃないか、ってのが本当の意味です。聞くところによると、夢を叶えた上で、幸せを感じながら生活できる人っていうのは、割合だと千人にひとりくらいしかいないんですって。

――じゃあ、大多数の凡人はどうしたらいいんでしょう?

鈴木期間を決めながら努力をするとかでしょうか。がんばっても身を結ばないこともあるよって、僕は言いたいだけ。人に迷惑をかけるくらいだったら、すっぱり夢を捨てて。仕事終わったあとに、休日に趣味に没頭しようっていうのもささやかだけど立派な夢ですからね。気がついたら、その趣味を極めてるって状態にいつの間にかなってたら最高じゃないですか。

――そうですね。

鈴木トップ取れる実力がある人なら目指せばいいですけど。ある時点で「あ、ダメかも」って、自分で気づくはずですよ。でも、認めたくない人は努力に逃げますからね、これだけやったらどうにかなるだろうって。良かないよ、結果を伴わなきゃ。また、こういうことを言うから嫌われるんですよね(笑)。

鈴木拓

――でも、拓さん自身もそういう現実を受け入れたわけですよね。その結果、何が変わりましたか?

鈴木1ミリも自分を押し通さないって考え方になりました。押し通さないことを押し通してますよね。自分の意見を言わない、っていうか通さない。「努力すれば夢は叶うよ」って、すごい人に反論されたら「そうです、絶対そうだと思います」って、おとなしく意見を変えますし(笑)。

――そういう言い方もそうですけど、拓さんがすごいところは、開き直れてしまえるところ。そんな部分を前面に出すようになった大きなきっかけってなんだったんでしょう?

鈴木12年ぐらいレギュラーだった『はねるのトびら』(フジテレビ系)が、人気や視聴率が下がっていくなかで、さらに僕の出番は3カ月に一度くらい。会う人がみんなが「お前は消える」って言ってましたし。自分でも「そうだろうな」って思ってました。

――『アメトーーク!』(テレビ朝日系)でも「じゃない方芸人」※って括りの企画もありましたね。

※「じゃない方芸人」:お笑いタレントのグループの中で、目立つ人の陰に隠れて顔も名前も覚えられず、「◯◯じゃないほう」としか認識されない芸人たちを集めた企画。鈴木は「ドランクドラゴンの塚地じゃない方」として出演。

鈴木だからそのころ「みんながしないことってなんだろう」って考えたら、「本音言っちゃえばいい」ってやり方を変えてからですね。本音を包み隠さず言い始めると、なんだかわからないけど、スタッフさんが喜んでくれる。次第にいろんなオファーをいただけるようになりました。

――本音を言いつつも、嫌われすぎたら良くないわけですよね。そのバランスが難しいな、って感じるときはありますか?

鈴木あくまで僕は仕事として嫌われ役をやっているだけなので。本のタイトルを『クズころがし』にしたのも、クズってキャラクターを利用して金を稼ぐって意味なので。ちゃんと向き合えば、多くの人から嫌われないと思ってるんです。まず、人を傷つけるようなことも絶対言わないですし、スタッフさんの意見にはすぐ従いますし。

――さきほどもおっしゃってましたね。

鈴木どんな容器にも収まるような水になろうと思ってます。コップだったり、急須だったり、土瓶だったり、どこにでも入っていける……。おととい、ブルース・リーの特集を見たので、その受け売りですけど(笑)。

――妙にかっこいいと思ったら(笑)。

鈴木水は集まれば、とんでもないパワーを発揮するんです。ってブルース・リーがすごい渋く言ってました。

鈴木拓

構成:小島研一 写真:渡邊有紀

更新日:2016年1月8日

Pick up ピックアップ

人気キーワード

Category カテゴリー

ページトップへ 
「エンタメウィーク」は一週間をもっと楽しくするエンタメサイト 誰でも今流行りのエンタメ情報を楽しめる記事をご提供します
dmenu
HOME