特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』レポート 選りすぐりの名品が、東京国立博物館に集結!

特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』レポート 選りすぐりの名品が、東京国立博物館に集結!
特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』が、2019年6月2日(日)まで、東京...

特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』が、2019年6月2日(日)まで、東京国立博物館にて開催中だ。

本展では、東京国立博物館、文化庁、宮内庁三の丸尚蔵館の所蔵品から、日本美術の選りすぐりの名品を紹介。狩野永徳筆《唐獅子図屛風》や国宝《檜図屛風》をはじめ、雪舟等楊、尾形光琳、葛飾北斎らによる珠玉の作品を一堂に展観する。さらに、当初の予定よりも規模を拡大し、横山大観ら近代作家の作品含む計41件を展示。

会場より、注目作の数々を紹介しよう。

日本美術の重要作が一堂に


唐獅子図屛風 右隻:狩野永徳筆 安土桃山時代・16世紀 左隻:狩野常信筆 江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵



会場に入って左手に展示されているのは、桃山時代の豪壮さを伝える、狩野永徳筆《唐獅子図屛風》。本作は、桃山絵画の代表作としても、日本美術史上もっとも重要な作品のひとつとしても知られている。教科書にも掲載されているため、誰しもが一度は目にしたことがあるだろう。

狩野永徳は、当時最大の画派であった狩野派を率いて、織田信長や豊臣秀吉といった天下人の御用を数多く務めた。縦幅が2.2メートル、横幅が4.5メートル以上という、破格の大きさを誇るこの屛風には、重厚な金地にたてがみをなびかせて闊歩する2頭の唐獅子が描かれている。天下人に所縁のある本作は、まさに「威風堂々」と言うにふさわしい作品だ。


右:檜図屛風 狩野永徳筆 安土桃山時代・天正18年(1590) 東京国立博物館蔵



《唐獅子図屛風》の裏手には、同じく狩野永徳一門が手がけた《檜図屛風》も並ぶ。こちらも、桃山時代ならではの力強さが感じられる、狩野永徳の最晩年の力作だ。狩野永徳は日本美術史でも著名な画人のひとりでありながら、その作品の多くが今日に至るまでに失われてしまっている。そのため、《檜図屛風》のような大作は、大変貴重なものでもある。


花鳥遊魚図巻 長沢芦雪筆 江戸時代・18世紀 文化庁蔵



かわいらしい子犬たちが描かれているのは、円山応挙の弟子・長沢芦雪による《花鳥遊魚図巻》。芦雪は、クローズアップを多用した意外性のある構図で知られており、本作も大変ドラマチックな展開になっている。現在では、いわゆる「奇想の画家」としても人気が高い芦雪が描く、生き生きとした動物たちに注目したい。


更級日記 藤原定家筆 鎌倉時代・13世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵



本作は、後鳥羽天皇の近臣であり、歌人として著名な藤原定家が書写した『更級日記』。平安期の日記文学『更級日記』を書写したもので、現存する更級日記の写本としては最古のものとなる。表紙の題名は、定家みずからの筆によって記されている。


左:秋冬山水図 雪舟等楊筆 室町時代・15世紀末〜16世紀初 東京国立博物館蔵



日本美術史上もっとも著名な画家のひとりである雪舟等楊筆の《秋冬山水図》も、見逃せない。15世紀に活躍した禅僧・雪舟は、明(現在の中国)に渡り、本場の山水画を学んだと言われている。日本の山水画は、雪舟が活躍した15世紀、禅宗とともに伝えられた。

本作は中国の南宋時代のスタイルを基盤としつつ、雪舟独自の画法が加えられている。手前から奥に近景から遠景が描かれており、構築的な空間表現や力強く抑揚のある筆線に雪舟の特徴があらわれている。


左:伊勢物語 八橋図 尾形光琳筆 江戸時代・18世紀 東京国立博物館蔵 右:八橋図 尾形乾山筆 江戸時代・18世紀 文化庁蔵



その隣に並ぶのは、尾形光琳・乾山兄弟が、『伊勢物語』の「八橋」を描いた作品。乾山は絵と文字が渾然一体となった独特な作風で、光琳は大胆に画面を切り取ることで、背景にある物語を連想させる画風となっている。兄弟でありながら、まったく画風の異なる両作品を、ぜひ見比べてみてほしい。


色絵若松図茶壺 仁清作 江戸時代・17世紀 文化庁蔵



京焼における色絵の大成者として有名な陶工・野々村仁清の代表作である《色絵若松図茶壺》。この作品は、仁清が手がけた色絵茶壺の中でも、大変完成度の高い作品として知られている。四方から鑑賞できるように展示されているので、ぜひ細部まで眺めてほしい。


続く第2会場は、文化財の保存事業を紹介するパネルなども展示されている



室町時代から近代までの名品


浜松図屛風 室町時代・15世紀 文化庁蔵



2階の第3・4会場では、追加出品を中心とした作品が並ぶ。

《浜松図屛風》は、彩色を使った「やまと絵」と呼ばれる作品。室町時代の絵画といえば、雪舟の水墨画のような色味のない作品が中心だと思われがちだが、こうした華やかな作品も多く描かれていた。しかし、やまと絵は現存作品が非常に少なく、《浜松図屛風》のような大作は特に珍しいため、大変貴重な作品となっている。


唐子遊図屛風 狩野探幽筆 江戸時代・17世紀 宮内庁三の丸尚蔵館蔵



《浜松図屛風》の正面には、壮麗な狩野探幽筆《唐子遊図屛風》が展示されている。金地に獅子舞などで遊ぶ子どもたちが描かれており、先ほどの狩野永徳筆《唐獅子図屛風》を連想させるような作品だ。


牡丹孔雀図 円山応挙筆 江戸時代・安永5年(1776) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵



こちらは、江戸時代の画家・円山応挙による《牡丹孔雀図》。非常に細緻な筆で、着色も見事な作品だ。近年、江戸時代の画家といえば伊藤若冲などが著名だが、円山応挙も忘れてはいけない重要な画家のひとり。応挙率いる円山派を代表する画題がこの「孔雀」で、本作はその中でも非常にバランスの取れた作品として知られている。後に、応挙の弟子である長沢芦雪も、本作をベースとした孔雀図を描いた。


龍蛟躍四溟 横山大観筆 昭和11年(1936) 宮内庁三の丸尚蔵館蔵



本展の締めを飾るにふさわしい作品が、横山大観による《龍蛟躍四溟(りゅうこうしめいにおどる)》。富士山画のイメージが強い大観だが、本作は中国古画の龍図を参照したと思われる、龍と蛟(読み:みずち、龍の一種)が描かれている。伝統的な墨絵とは違い、金箔や白い絵の具も使用されており、大観の試行錯誤が伺い知れる作品だ。本作は、大観が昭和天皇にみずから献上するために作られたと言われている。


展示風景



特別展『美を紡ぐ 日本美術の名品 ―雪舟、永徳から光琳、北斎まで―』は、6月2日(日)までの開催。教科書でも目にするような名品の数々を、ぜひ間近で鑑賞してほしい。

更新日:2019年5月25日
提供元:SPICE

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