香川真司「なぜなのか」。監督直談判で悟った現実。欲する出番、残り2戦で示す「プロの使命」

香川真司「なぜなのか」。監督直談判で悟った現実。欲する出番、残り2戦で示す「プロの使命」
ダービー敗戦で残りが「消化試合」に ボルシア・ドルトムントからベシクタシュに期限付き移籍中の香川真司は、シーズン途中からの加入で信頼を勝ち取ることの難しさを痛感している。チャンスを欲していても、思うよ…

ダービー敗戦で残りが「消化試合」に

 ボルシア・ドルトムントからベシクタシュに期限付き移籍中の香川真司は、シーズン途中からの加入で信頼を勝ち取ることの難しさを痛感している。チャンスを欲していても、思うように出番は回ってこない。その葛藤の中で、30歳になった背番号23は戦いを続けている。(取材・文:本田千尋【トルコ】)

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 ベシクタシュがダービーで負った傷。浅くはなかった。

「ガラタサライ戦で負けて、優勝の可能性がある大一番だったので、そういう意味ではいろいろな要素が詰まった中でのゲームだったのでね、そこは非常に、ファンも含めてチームにダメージがあったところはあると思います」

 荒ぶる空気で燃え上がったトゥルク・テレコム・スタジアムでライバルに敗れ、優勝戦線から遠ざかっておよそ1週間――。5月13日に行われたスュペル・リグ第32節、対アランヤスポル戦。ボーダフォン・パークは空席が目立った。

 香川真司は「消化試合に近いような雰囲気」を感じたという。

「優勝が途絶えた感じは、ファンもすごく感じていたと思うので、ちょっと難しい精神状態と雰囲気でしたね」

 前半はベシクタシュがゲームを支配。11分、ブラク・ユルマズのパスにギュヴェン・ヤルチンが抜け出して右サイドを崩し、アデム・リャイッチが先制ゴールを決める。44分に敵のセットプレーからジャネル・エルキンがオウンゴールを喫してしまうが、後半に入って、54分にリカルド・クアレスマが強烈なミドルシュートを決めて勝ち越しに成功した。

 それから香川に出番が回ってきたのは、68分のことだった。背番号23は、目に見える結果を追い求めてピッチに入った。

「しっかりとボールをキープしながら、点を奪いにいこうとは思っていました」

 しかし、勝ち越したことで少しペースダウンしたチームの中で、なかなかボールは回ってこない。しばらくアランヤスポルの時間帯が続き、ベシクタシュは受け身に回ったこともある。香川はパスを受けようと精力的に動いたが、思うようにはいかなかった。

監督に直談判。そこで得た答えは…

 82分、香川を中心にボールを動かし、アランヤスポルのゴールに迫ったが、最後にイェレマン・レンスと被ってしまい、途中出場の日本代表MFはシュートを打つことができなかった。試合終了間際の93分には、クアレスマの折り返しに、後方から飛び込んだが、決め切ることはできなかった。

「決めることができたところがあったのでね、そこは非常に残念ですね。クアレスマから来たボールを決め切れなかったのが、非常に…残念ですね」

 このアランヤスポル戦を含め、3試合連続で途中出場の香川。限られた時間の中で訪れた決定機を逃したことを悔やんだ。最終的にベシクタシュは2-1で勝利したが、試合後の表情は、決して澄み渡ったものではなかった。

「たぶん、こういう使われ方が、たぶん残りの2試合も続くので。少ない時間の中でどれだけ結果を残す…まあ、結果というか、ゴールを取れるかっていう意味では、(与えられる)時間は少ないですけど、やるしかないので、そういうところをしっかりと切り替えてやっていくしかないかなあと思います」

 後半途中からの起用が「残りの2試合も続く」――。香川は悟っているようだった。先発で起用されない「理由」について、直接シェノル・ギュネシュ監督に聞きにいったという。

「監督と話して今週。やっぱり自分自身も、なぜなのかっていうのを理由をね、聞く必要があったし。うーん…ここ2、3週間非常に良いコンディションだったのでね、そういったことも含めて話はしましたけど。まあ、最終的に監督に決定権があるので、受け入れるしかないですね」

 監督からの回答は、芳しいものではなかったようだ。その内容について、香川は、短く一言だけ話した。

「まあ、ある程度は予想できた回答ではありましたけど」

「やれることをやって、いい形でシーズンを終えたい」

 その具体的な内容までは知る由もないが、いずれにせよ「残りの2試合」も、限られた時間の中で結果を追い求めることになりそうだ。「監督に決定権がある」。「受け入れるしかない」。割り切るしかない。今、香川を支えているのは、1人のサッカー選手としてのプロ意識である。

「やれることをやって、いい形でシーズンを終えたいですし、どんな状況であれ、シーズンが終わるまでやり切ることが、1人のプロ選手としての使命ですし。そういうものを言い聞かせながら、練習していきたいなあと思います。

 この3、4ヶ月、新しい場所で、新しい地域で、新しいチームで、そしてこの半年だけのレンタルっていうね、なかなか経験することができない中で、いろいろな厳しい状況を含めて、得るものは非常にあったので、ラスト2試合、しっかりといい形で終えることができるように、そしてベシクタシュを応援してくれるファンのためにも、残り2試合、チームとしてやり切る必要はあるかなあと思います」

 また、レンタル移籍で途中から加入し、結果を出すことの難しさを、香川は感じているという。

「非常に感じていますし、ましてや半年間なのでね。1年ではなくて半年という中でやるっていうのは非常に、いろいろな難しさであったり、半年で結果を残すっていうのも、思った以上にやはり簡単ではないなと思いました。そういう意味では、こういう経験は非常に身になる、次のステップに行く上ではいい経験ができていると思います。

そんな簡単に結果を得ることができるほど、やっぱり甘くないですし。リーグが変わって、トルコの方が少しレベルは落ちるって言われていますけど、どんなリーグであれ、来て早々に結果を残し続けるっていうのは、そんな簡単にできることじゃない。そういったことは、非常に感じました」

 今季スュペル・リグの残り2試合で、香川が先発することはないのかもしれない。与えられるのは後半の途中からの限られた時間。だが、そこでゴールという名のインパクトを残すことができれば――。難しいレンタル移籍の中でまた一つ成長したことで、ベシクタシュでの経験に終止符を打ち、「しっかりといい形で終えることができる」に違いない。
 
(取材・文:本田千尋【トルコ】)

(更新日:2019年5月15日)

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