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大谷翔平超え「佐々木朗希」が開花した仮設住宅グラウンド

SmartFLASH

 

 4月6日のU-16高校日本代表合宿での紅白戦で、高校球界最速記録の163km/hをマークした、岩手県立大船渡高校の佐々木朗希投手(3年)。大船渡市立第一中学校で野球部の監督を務めていた萬英一氏が、指導していたころの佐々木投手について語り始めた。

 

「当時の練習環境は最悪でした。グラウンドには仮設住宅が立ち並び、思うような練習はできず、使えるスペースで遠投をよくしていました。地肩が強く、軽々と80メートルほど放るので、驚きましたね」

 

 

 だが、彼の野球人生は苦難の連続だ。大船渡市は、東日本大震災で甚大な被害を受け、仮設住宅と隣り合わせの環境で、練習せざるを得なかった。グラウンドからすべての住宅が撤去されたのは、佐々木が卒業したあと、2017年9月のことだった。

 

「中学2年で身長は178cmだったが、体重は65kgと細身の体型でした。特に下半身にモロさがあったので、チームメイトをおんぶしてのランニングや、冬場にはタイヤ引きをして、下半身を鍛え抜くよう指導しました。1日4、5合のご飯を食べることを目標にしたので、均整のとれた体型になったと思います」(萬氏)

 

 そうして迎えた中学3年、今度は股関節の怪我に見舞われ、夏大会直前まで投球ができなかった。だが、地道なリハビリを続けたあとの秋、軟式球から硬式球に移行する生徒たちに用意された「KWBボール」での大会で、140km/hを記録する。そこから、佐々木の「怪物」としての本格的な道のりは始まった。

 

 投手だけでなく、「三番・一塁」としての出場も多かったという中3当時に所属していた、KWB野球チーム「オール気仙」の代表・布田貢氏が語る。

 

「めった打ちにあった試合の後、勝負どころで直球しか投げない佐々木に『変化球を織り交ぜて、かわす投球術も心がけるように』と諭すと、素直に応じていました。

 

 その半面、頑固なところもあるんです。高校入学後の練習メニューは、監督の指示だけに頼らず、『こんな練習をしたい』と、自ら提案したら、絶対に妥協せずにやり通しているそうです」

 

 大船渡高校に入学すると、瞬く間に佐々木の噂は広まった。高校1年から注目してきた、プロのスカウトが語る。

 

「高校1年で平均球速147km/h、高校2年になると平均150km/hに上がった。投球練習も少ないのに、163km/hまでスピードが増すこと自体が不思議です。まるで宇宙人のようです」

 

 大船渡に現れた「令和の怪物」は、35年ぶりの甲子園を目指す。

 

(週刊FLASH 2019年4月30日号)

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