シド アニバーサリーイヤー完結! 様々な想いを胸に秘め、臨んだ横浜リベンジ

シド アニバーサリーイヤー完結! 様々な想いを胸に秘め、臨んだ横浜リベンジ
SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~ 2019年3月10日@横浜アリーナ 「今日、ずっとバックの映像で飛空艇が飛んでたでしょ? あの飛空艇みたいに俺たちシド […]

SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~
2019年3月10日@横浜アリーナ

「今日、ずっとバックの映像で飛空艇が飛んでたでしょ? あの飛空艇みたいに俺たちシド、ヴォーカル・マオは不安定で、浮いたり、沈んだりして……(涙ぐみながら)なんでずっと飛べないだろうって何度も思って……。でも、浮いたり沈んだりするのがシドだし俺なんだって15年かけて分かったから。浮いたり沈んだりも込みで今後もシドを、マオをお願いします。その代わり、君たちが沈んでるときは俺たちが音楽で励ますから。任せとけ!」
2018年、元日ライブ<シド 結成十五周年記念公演 「シド初め」>で結成15周年のアニバーサリーイヤーを幕開けして以降、会場ごとにテーマを決めて毎回スペシャルメニューを繰り広げた<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018>、さらには大事なときに自分たちの原点であるライブハウスに戻る通称“いち好き”こと<SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 「いちばん好きな場所2018」>の久々の開催に続き、2019年に入ってからはアジア4都市で<SID 15th Anniversary ASIA TOUR “THE PLACE WHERE WE LOVE MOST 2019”>を成功させたシドが迎えた15周年を締めくくるファイナル<SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~>。その熱気と感動に包まれた最高の一夜を完全リポートする。

取材・文 / 東條祥恵
撮影 / 緒車寿一、今元秀明

シドはもう自分たちだけのものではない、みんなのシドなのだと実感

2011年、東日本大震災のためにキャンセルになってしまった横浜アリーナでの初ライブが、8年越しで叶ったこの日。アンコールが終わったあと、マオは振り絞るように胸中を打ち明けたのが、前段のメッセージだ。これは、この日サプライズで発表した新曲「君色の朝」にも織り込まれたメッセージだった。日本武道館、東京ドーム、これまで一見順風満帆に見えたシドの航海は、決していいことばかりではなかった。そのマオの言葉は、15周年というアニバーサリーを通して、シドはもう自分たちだけのものではない、みんなのシドなのだと実感したからこそ、打ち明けられた言葉だった。この先、また沈むことがあるかもしれない。沈んでもまた、色をまとってシドは前に進むから。もし、君がはぐれたときは、この歌で照らしていつでも光になる。だから、この先もシドとしてみんなで歩んでいこうという16年目のバンドの未来の姿が、はっきりと見てとれるライブだった。

「今日はシドの15年をギュッと詰め込んだセットリストを用意しました。最後まで楽しんでくれ!」(マオ)

満員の観客を迎えて、たどり着いた15周年を締めくくる最終地点、横浜アリーナ。時間をタイムスリップしていくように旅する飛空艇が着陸するオープニング映像が流れたあと、舞台センター奥から飛空艇の乗組員を思わせるおそろいの衣装をまとったメンバー4人が静かに登場。アリーナということで、久々にショーアップされたステージに観客たちの胸が高鳴る。映像のなかの時計が逆回転し始めると、ライブはまさかの「NO LDK」でスタート。ステージの一段高いところに構えるゆうやが4つ打ちビートを放ち出すと、場内にレーザービームが飛び交う演出も含め、彼らは8年前、同場所で開催予定だった<dead stock TOUR 2011>のオープニングを再現していたのだ。そうして、「SID 15TH ANNIVERSARY」とスクリーンにバーンと映し出されたあと、「ANNIVERSARY」からライブは本格的に幕開け。気持ちの高ぶりを表すかのように、Shinjiと明希はすぐさま両サイドの客席の真ん前へと突進。続く「V.I.P」では、マオが下手アリーナの通路を歩き出し、ステージの大スクリーンにはオーディエンスと触れ合うマオが度々映し出されていた。「こんばんは、シドです」と挨拶したあと、マオは「今日はシドの15年をギュッと詰め込んだセットリストを用意しました。最後まで楽しんでくれ!」と話して「cosmetic」がスタート。明希がスラップ奏法でベースソロを弾いて場内をわかせるこの曲から、セットリストはシドの楽器隊のおいしいところ満載のオシャレゾーンへ突入。楽器隊が音で会話をしているようなジャムセッションで、彼らのテクニカルなパフォーマンスを堪能した直後、Shinjiのギターがヴォーカルのように軽やかにメロディを歌い上げ「KILL TIME」へ。ここでは楽器隊のテクニックもさることながら、フュージョンのような楽曲を“歌もの”としてなめらかに歌唱するマオのヴォーカル・テクニックも含め、いまのシドの実力を思う存分見せつける。次に「罠」が始まると場内から悲鳴があがり、サックスの音をフィーチャーしたサウンドに合わせて、オーディエンスが懐かしい振り付けを楽しむというアニバーサリーならでは光景が場内に広がっていった。

「さっきギターソロ弾いてるShinjiを見て、絶対こういうのに落ちるんだろうな、ずるいなと思って(笑)」(マオ)

序盤のMCタイムでは、まず明希が「こういう景色を見ると15年バンドやってきてホントよかったと思います。今日は15周年の大打ち上げ。最高のライブにしたいと思います」と宣言。ギタリストでありながら最近はラーメニストとしても注目を集めているShinjiは、バンドをラーメンに例えて「最近は太くて長い麺がたくさんあるので、これからも太く長いバンド活動をしていきたいです」と語った。ゆうやは椅子から立ち上がって場内をじっくり見渡したあと「8年越しですね。僕らも大人になりました。似合ってますか? シド。(観客「似合ってる!!」)僕も似合ってると思う。8年越しの想いをぶつけたいと思うので最後までよろしく」と感慨深げに意気込みを伝えた。そうして、マオが「今日、ホント楽しみにしてました。すごくいま楽しいです。メンバーもいい顔してると思う。さっきギターソロ弾いてるShinjiを見て、絶対こういうのに落ちるんだろうな、ずるいなと思って(笑)。俺もいい顔してる?(観客「してるっ!!」)お前らはもっと“いい顔”してるぞ!」とオーディエンスに呼びかけた。そのあとは、シドのメジャーデビュー曲「モノクロのキス」、彼ら最大のヒット曲となった「嘘」をたて続けにパフォーマンス。アニメのタイアップにもなったポップでダークでせつないシドらしいシングル曲で、場内が華やいだ雰囲気に包まれたところで、スクリーンの映像には雪が降り始める。その雪をかき分けるように飛空艇が飛んでいくなか、聴こえてきたのは「ホソイコエ」。シドの初期のせつないスローバラードだ。オーディエンスは息をするのも忘れてマオの歌声に聴き入っている。さっきまでしんしんと降っていた雪がキラキラと輝く結晶に変わると、曲は「2℃目の彼女」へ。雪の結晶のバックは、どんどん青空が広がっていった。雪の結晶のきらめきに白いレーザービームが加わり、さらに白い冬感が増したところで始まった「スノウ」では、マオの柔らかなファルセットとせつない歌詞の世界観が観客の胸を締め付ける。そこから曲が「ハナビラ」へと展開すると、季節が冬から4月の風薫る春へと移り変わる。明希が固定ベースでメロディックなフレーズを弾き、Shinjiがアコースティックギターで哀愁たっぷりにスパニッシュ調のメロディを奏でたあとは、映像のなかにもピンク色の花びらがひらひらと舞い降りてくるなど、このブロックは曲と映像とのリンクで観客を魅了していった。

ファンと直に熱いアイコンタクト、ハイタッチをかわしながら会場内の熱気をどんどん上げていく

“ARE YOU READY?”というスクリーンの文字を合図に、ゆうやのドラム、明希のベース、Shinjiのギターと音をつなぎ、それぞれの姿がスクリーンにぬかれていったあと、ドラム台の下で明希、マオ、Shinjiが客席に背中を向けてスタンバイ。マオが「dummy」と叫んで、ライブは後半戦へ突入。パンキッシュなサウンドが矢継ぎ早に放たれると、フロアにはたちまちヘドバンが広がる。「横浜アリーナ、やれんのか?」と明希があおり、マイクに向かって「oi!  oi!」と大声で叫び出すとマオはアリーナの客席へ。柵に足を掛け、目の前の観客にマイクを持った手を伸ばして「oi!」コールを求める。続けてマオが「隣人」と巻き舌でタイトルコールすると、アブない歌詞に合わせた振り付けをオーディエンスが一斉に開始。今度はShinjiと明希が左右に分かれ、両サイドの客席の通路めがけて突進。ファンと直に熱いアイコンタクト、ハイタッチをかわしながら会場内の熱気をどんどん上げていく。武道館、アリーナクラスのライブでは、いつもかっちりとショーアップされたステージを作り込んでくるシドだが、全体を通してこの日の彼らは、昨年ずっと行なってきたライブハウスツアーの空気感をまといながら、このステージに臨んでいた。そのやり方で、アリーナでもファンとの距離を目一杯に近づけたあと、マオの「結婚しよう!」から「プロポーズ」へ。おびただしい数のレーザービームが上空を行き交うなか、再びフロアにはヘドバンの嵐が巻き起こり、4分割されたステージのスクリーンはメンバー4人の汗だくの表情を次々とアップでとらえていった。「もっともっと行けるよな? 頭、頭、頭、頭! 飛ばしてくれ!!」とマオが激しく叫び、本編ラストに用意されたのは現在のシドを代表するライブアンセム「眩暈」。バンドの高い熱量に応えるように、オーディエンスは最後に力を振り絞って一丸となって頭を振り、oiコールを叫び、勢いよくジャンプを繰り返して横アリをこれでもかと揺らす。そうして生まれた大きなエネルギーが場内で塊となり、それがステージ上でブワッ、ブワッと本物の炎となって立ち上がっていく様子は、見ていて圧巻だった。

「15年間いろいろあって、信じてたものに裏切られたり信じることに疲れたこともありました。でも、みんなのお陰でここまでこれたと思う」(マオ)

メンバーが姿を消したあと、燃え上がる隕石のなかへと飛んでいった飛空艇。そうして、スクリーンは燃えてなにもなくなった廃墟の街を映し出す。アンコールは、その街から空へレクイエムを届けるように3連のバラード「空の便箋、空への手紙」で幕を開けた。そうして曲の後半、この歌が光となり、スクリーンには少しずつ青空が広がっていくという感動的な演出に、演奏が終わると場内には大きな拍手がわき起こった。アンコール、バラバラの衣装で登場した4人について「さっきまでビシッとそろえてたのにね。シド、仲悪いみたいじゃん」と笑いを誘うマオ。そのマオが「みんなにシドの未来を見せたくて急いで新曲を作って持ってきました。15年間いろいろあって、信じてたものに裏切られたり信じることに疲れたこともありました。でも、みんなのお陰でここまでこれたと思う」と語りかけ、新曲「君色の朝」を初披露。その後はメンバー紹介のコールで場内が一つになったあと、客席でファンがクルクル周る「循環」、マオの“Dear 横浜”という曲紹介でスタートした「Dear Tokyo」では無数のレーザーが広がるなか、観客が大声で大合唱を届けていった。イントロで銀テープが舞い降りた「one way」では左右にオーディエンスが移動し、スクリーンにはいつの間にか美しい青空が広がり、その遥か彼方に向かって飛空艇が飛び立っていった。このあと、シドはスクリーンを通して4月からメンバーズクラブ限定ツアー<ID-S限定ツアー 2019>を、6月からはみやかわくん、GRANRODEO、BiSHを迎えて対バンツアー<SID collaboration TOUR 2019>を開催すること。さらに、年内に約2年ぶりとなるフルアルバムをリリースし、秋に全国ホールツアーを行なうことを次々と発表。場内が興奮に包まれるなか、飛空艇が横浜から旅立ったところで、聴こえてきたのは「その未来へ」だった。ミラーボールの光が未来を照らすなか、上空からは客席めがけて、このライブのロゴと「その未来へ」の歌詞の一部が書かれたウイングハートが旋回して舞い降りてきた。昨年から、ここ横浜アリーナでみんなで一緒に合唱したい、その景色を見たいとメンバーが伝えてきた「その未来へ」。「じゃあ次、みんなだけでよろしく」とマオが歌のバトンをオーディエンスにつなぐと、アリーナに大きな大きな合唱が響き渡った。画面に映し出されたマオは、とたんに目をうるませ、頬を濡らしながら泣いている。演奏が終わったあと、そのマオの肩をそっと抱き寄せるゆうや。そうして、最後の締めくくりの挨拶で冒頭の言葉を告げたマオ。最後にとびきり大きな愛を込めて、ナマ声で「愛してます!」と叫び、15周年のラストを美しく締めくくった。

ここから16年目に突入した後も、シドはまだまだ止まることなく走り続ける。

その未来に向けて……。なにがあっても。

SID 15th Anniversary GRAND FINAL at 横浜アリーナ ~その未来へ~

2019年3月10日 横浜アリーナ
SET LIST

01.NO LDK
02.ANNIVERSARY
03.V.I.P
04.cosmetic
05.KILL TIME
06.罠
07.モノクロのキス
08.嘘
09.ホソイコエ
10.2℃目の彼女
11.スノウ
12.ハナビラ
13.dummy
14.隣人
15.プロポーズ
16.眩暈
Encore
EN1. 空の便箋、空への手紙
EN2. 君色の朝
EN3. 循環
EN4. Dear Tokyo
EN5. one way
EN6. その未来へ

ライブ情報

SID collaboration TOUR 2019

6月17日(月)Zepp Tokyo ※Guest Artist:みやかわくん
6月20日(木)Zepp Nagoya ※Guest Artist:GRANRODEO
6月27日(木)Zepp DiverCity TOKYO※Guest Artist:BiSH

公演スケジュールなどの詳細は公式サイトをご参照ください。
https://sid-web.info/event

SID(シド)

2003年結成。マオ(Vo)、Shinji(Gt)、明希(Bs)、ゆうや(Dr)からなる4人組ロックバンド。
2008年10月「モノクロのキス」でメジャーデビュー。以降、「嘘」「S」「ANNIVERSARY」「螺旋のユメ」など、数多くの映画・アニメテーマ曲でヒットを放つ。2018年、バンド結成15周年を迎え、4月にはセレクションベストアルバム『SID Anime Best 2008-2017』をリリース。直後の5月から6月28日まで”SID 15th Anniversary LIVE HOUSE TOUR 2018”と銘打った全国6都市14公演ツアーを開催。9月からはLIVE HOUSE TOUR”いちばん好きな場所”を全国31公演で展開。そして2019年、アジアツアーを経て、3月10日の横浜アリーナで15周年のグランドファイナルライブを無事に成功させた。年内には約2年ぶりのオリジナル・フルアルバムのリリースも予定している。

オフィシャルサイト
https://sid-web.info

シドの楽曲はこちら

シド アニバーサリーイヤー完結! 様々な想いを胸に秘め、臨んだ横浜リベンジは、【es】エンタメステーションへ。

(更新日:2019年3月18日)

Series シリーズ

Pick up ピックアップ

Ranking/人気の記事(音楽)

人気キーワード

Category カテゴリー

HOME