香川真司、真の評価は? ベシクタシュ指揮官に直撃。名将が語るその才能と先発起用しない理由

香川真司、真の評価は? ベシクタシュ指揮官に直撃。名将が語るその才能と先発起用しない理由
「正直言ってそこまで大きな影響を与えていない」 MF香川真司が復活への道を歩んでいる。1月末に加入したトルコのベシクタシュでは、途中出場が中心ながら決勝ゴールを挙げるなど活躍を見せている。日本代表復帰…

「正直言ってそこまで大きな影響を与えていない」

 MF香川真司が復活への道を歩んでいる。1月末に加入したトルコのベシクタシュでは、途中出場が中心ながら決勝ゴールを挙げるなど活躍を見せている。日本代表復帰も期待される中、ベシクタシュのシェノール・ギュネシュ監督はどのような評価を下しているのか。欧州取材を敢行する熟練記者が直撃した。(取材・文:元川悦子【イスタンブール】)

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 3月日本代表2連戦(22日・コロンビア戦=横浜、26日・ボリビア戦=神戸)に向けたメンバー発表が14日に迫る中、リスト入りを狙う選手たちのアピール合戦が最終局面を迎えている。その筆頭が香川真司(ベシクタシュ)だ。

 1月末に新天地・トルコへ赴いてからの1カ月余りで4試合出場2ゴールとまずまずの結果を残す彼だが、3月に入って右足付け根負傷を訴え、2日のカイセリスポル戦を欠場。2018年ロシアワールドカップ以来の代表復帰が危ぶまれていた。

 この現状に対し、ベシクタシュを追っている有料放送局「BeIN Sports」のバハドゥル・メフメト・ユルドゥルム記者は「2月3日のデビュー戦・アンタルヤスポル戦の3分間2ゴールでサポーターはおかしくなったけど、正直言って香川は現時点ではチームにそこまで大きな影響を与えていない。ボルシア・ドルトムントで長期間プレーしていなかったことで試合勘の不足も目立つ。彼が最も輝いていたドルトムント2年目の11/12シーズンに比べると今は40%くらいじゃないかな」と厳しい見解を示していた。

「香川には天賦の才がある」と前向きに見るメディア関係者も複数いたが、彼を取り巻く全員が納得する活躍をしているとは言い難い状況なのは確かだろう。それだけに、代表発表前ラストの10日のコンヤスポル戦では周囲を納得させる大きなインパクトを残したかった。

「まだまだ代表とクラブを掛け持ちできる」

 ケガから復帰したものの、香川はこの日もベンチスタート。トップ下にはアデム・リャイッチが陣取り、いきなり先制点を挙げた。その後、1点を返されたものの、元トルコ代表のブラク・ユルマズが2点目をゲット。香川に出番が巡ってきたのは、2-1でリードしていた後半残り15分だった。

 シェノール・ギュネシュ監督としては追加点を奪って逃げ切ろうと考えていたはずだが、直後に2-2にされてしまう。そこで香川に課せられられたのは、ベシクタシュを勝利に導く3点目を奪うことだけ。その大仕事を本当に果たしたのが、後半ロスタイムだった。

 相手DFを強引なドリブルでかわし、GKの位置を冷静に見ながら左足を一閃。値千金の決勝弾を叩き出し、ここまでの懐疑的な見方を払拭すると同時に、代表復帰を強烈にアピールすることに成功したのだ。

「ギュネシュ監督から求められているのは、点を取ること。自分の役割はチームを勝たせることだと思って入った。それを達成できてよかった」と香川は安堵感をにじませた。その背番号23の非凡な能力を改めて高評価したのが指揮官だ。

「香川は輝かしいキャリアを持つ選手だ。国際的経験が豊富で、試合運びを熟知していて、クオリティの高い選手。僕が言うことは何もないくらいだ。彼はまだまだ代表とクラブを掛け持ちできるし、35歳までは十分、行けると思う。

 日本と欧州の長距離移動は確かに短期的なダメージはあるものの、30歳はサッカー選手にとっては悪い年齢ではない。『30歳になったんだからもう引退しろ』というのは正しくない」とトルコ代表監督復帰が決まっている名将は香川の今後の可能性に太鼓判を押した。

 そこまで能力を認めながら、ギュネシュ監督はなかなか先発起用に踏み切らない。その理由は技術や戦術眼、経験値の問題ではなく、フィジカル的な問題が大きいようだ。

「そこができるようにならないと難しいよね」

 前述のユルドゥルム記者が「ドルトムントで長く試合に出ていなかった」と指摘したことを指揮官も認識していて、「今は90分間フル稼働できる状態にない」と判断しているのだ。

「ベシクタシュに来た時、香川は過去の故障や試合不足の問題を抱えていた。練習や試合を重ねてパフォーマンスが向上してきたけど、まだ90分はムリ。フェネルバフチェ戦も前半45分間は非常によかったけど、後半はパフォーマンスが低下したからね」とギュネシュ監督はストレートに言う。

 リャイッチを左に回して香川を中央に置くという共存プランに踏み切らないのも、同じ理由からだという。

「アデム(リャイッチ)も技術や才能が素晴らしい選手だけど、体力が不十分だ。香川とアデムのフィジカル状態が十分ならもちろん一緒にプレーさせることは可能だと思う。2人はボールコントロールや攻撃チャンスを作ることに長けているが、相手からボールを奪うために沢山走らないといけない。そこができるようにならないと難しいよね」とズバリ課題を突き付けたのだ。

 こうした厳しい現状を、香川本人もよく認識している。

「1月下旬にベシクタシュに入って、チームが固まっていた部分もあるし、多少なりとも時間が必要だと思います。僕の感じでは、最終的には4〜5月にピークに持って行ける感じはしている。3月の代表まであと1試合しっかりやりきれば、そこからさらに上がっていくんじゃないかと思います」と前向きな見通しを持っているようだ。

3月の2連戦でベストパフォーマンスは難しいか

 自身の状態を引き上げる明確なシナリオを描いている香川にとって、3月の日本代表2連戦でベストパフォーマンスを示すのはやや難しいかもしれない。

 3月末のトルコリーグがトルコ地方選挙のために休止となっていて、日程的に余裕があるため、今回の森保ジャパン初招集はほぼ確実だと見られるが、コロンビア・ボリビア戦でのフル稼働というのはないだろう。コンディションを見ながら、ここまでトップ下のファーストチョイスに君臨してきた南野拓実(ザルツブルク)と併用される可能性が高い。

 そして、真の勝負は6月の親善試合2試合と南米選手権(ブラジル)になる。大迫勇也(ブレーメン)など多くの欧州組が招集できないと目される中、香川にはリーダーの1人として若いチームをけん引してもらわなければならない。そのためにも、3月2連戦で森保監督のコンセプトや戦術、戦い方をしっかりと理解し、ピッチ上で実践できる準備をしておくことが肝要だ。

 そういう意味でも彼はチャレンジャーとしてこのシリーズにのぞまなければいけない。そうやってガツガツと代表定着に向かっていく30歳のアタッカーが加わることで、新生日本代表も確実に活性化されるに違いない。

 コンヤスポル戦の劇的決勝弾で代表復帰とベシクタシュでの地位固めの布石を打った香川真司。彼が初参戦する森保ジャパンの動向、そしてシーズン終盤のトルコでの戦いからますます目が離せない。

(取材・文:元川悦子【イスタンブール】)

更新日:2019年3月17日
提供元:フットボールチャンネル

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