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特別展『三国志』記者発表会レポート 曹操・劉備・孫権が生きた時代の遺物から、三国志の核心に迫る

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2019年7月9日(火)〜9月16日(月・祝)まで、東京・上野の東京国立博物館平成館で開催される、日中文化交流協定締結40周年記念 特別展『三国志』。その報道発表会が2月20日(水)に行われ、展示の詳しい内容が明らかになった。今からおよそ1800年前の中国を舞台に、戦乱の世を生きた武将たちの勇猛な姿を描いた三国志。その物語は日本でも歴史小説やマンガ、あるいはゲームなどの題材にもなり、世代を越えて高い人気を誇ってきた。日中文化交流協定締結40周年を記念して行われる今回の特別展『三国志』には、中国から三国志にまつわる実物資料が多数来日。2009年に発見された「曹操高陵(そうそうこうりょう)」から得た新たな知見も交えながら、“リアル三国志”の世界を味わっていく。会場で語られた内容をもとに、本展の見どころをお伝えしよう。

陵墓などから発掘された生の文物で読み解く“リアル三国志”

今からおよそ1800年前、後漢王朝の混迷を経て勃興した、曹操の魏、劉備の蜀、孫権の呉という三国の争いをダイナミックに描いた三国志。人間模様あり知略謀略ありのストーリーはもちろん、張飛、関羽、呂布、諸葛孔明、趙雲ら登場人物たちの魅力も相まって、歴史ロマンの象徴的な存在として現在まで愛され続けている。

はじめに知っておきたいのは、一般的に「三国志」として現代に伝わるものには、晋の時代の歴史家・陳寿が残した正史『三国志』と、その中の出来事をモチーフにして明の時代に書かれた小説『三国志演義』があるということだ。正史『三国志』は三国のうち魏を中心に書かれた歴史書で、あくまで史実のみがシンプルに書き連ねられたもの。一方で『三国志演義』は、読み物としてのドラマ的要素が付け加えられた歴史小説で、ほとんどの場合、我々が知っている三国志はこちらのストーリーである。


東京国立博物館の井上洋一副館長



この点を踏まえて、主催者を代表して登壇した東京国立博物館の井上洋一副館長は、「『三国志演義』を知っているだけでは三国志を理解したことにはなりません。東京国立博物館で開催する以上は核心部分を取り上げる必要があります」と述べ、「この特別展は“リアル三国志”と銘打ち、曹操、劉備、そして孫権ら武将が生きた時代の生の文物を手掛かりにして、三国志の真実と核心に迫っていきます」と本展への意気込みを語った。

陶磁器の歴史も覆す!? 「曹操の墓」からの出土品も

続いて、2017年から約1年に渡って中国各地で調査を行なった同館の市元 塁主任研究員が本展の展示作品と見どころを解説。市元氏も、「本展は後漢の時代から三国時代、西晋時代の遺跡から出土した文物から描いていく“リアル三国志”です」と本展のコンセプトを改めて強調した。


東京国立博物館の市元 塁主任研究員



「伝説のなかの三国志」というプロローグから始まる本展は、三国志の歴史に沿って、第1章「曹操・劉備・孫権 英傑たちのルーツ」、第2章「漢王朝の光と影」、第3章「魏・蜀・呉 三国の鼎立(ていりつ)」、第4章「三国歴訪」、第5章「曹操高陵と三国大墓」という全5章で展開される。その中では、『三国志演義』の最序盤となる黄巾の乱のスローガンが刻まれた《「倉天」磚》、この時代だけ使われた《鈎鑲》という武器、日本で出土される三角縁神獣鏡の研究においても重要な意味を成す《方格規矩鳥文鏡》、呉の皇族の権力を示す《虎形棺座》、そして三国時代の終わりを今に伝える《「晋平呉天下大平」磚》など、珍しい資料の数々が展示される。


展示物について解説する市元氏



全体の中でも市元氏がとりわけ深く語ったのは、第5章のテーマとなる「曹操高陵」についてである。2009年に河南省安陽市で発見された曹操高陵は、当初「西高穴2号墓」と呼ばれていたが、古記録や考古学的視点による研究が進み、曹操の墓ということが認められた。現在も研究が進む中で、曹操高陵の出土品はほとんどが海外初出品。曹操の墓であることを結論付ける決め手になった《石牌「魏武王常所用挌虎大戟」》などが来日する。


「曹操高陵」発掘の様子を解説



また、曹操の墓という価値もさることながら、この地で発掘された「罐(かん)」は中国の磁器の歴史に一石を投じるもの。6世紀末頃の隋の時代に始まったとされる白磁の生産が、実はそれより300年ほど早い時代に行われていたという発見をもたらした。本展では実際の曹操高陵の様子を会場内に再現。この罐の展示も交えて、曹操高陵発掘の研究結果などを伝えていくという。

ゲームやアニメとのコラボや、3594チケットにも注目!

なお、本展はコーエーテクモゲームスの『三国志』『三國無双』シリーズ、横山光輝氏によるマンガ、そして川本喜八郎氏による人形劇ともコラボ。日本人にもおなじみの「三国志」を交えたユニークな企画で会場を盛り上げていく。


この日の会場には人形美術家・川本喜八郎氏が制作した曹操の人形が登場 NHK「人形劇 三国志」より曹操  飯田市川本喜八郎人形美術館蔵 (C)有限会社川本プロダクション



さらに会場では、3月9日(土)〜4月8日(月)までの期間限定で発売される早割チケット「3594(さんごくし)」3枚セット前売券も紹介。通常の一般前売券よりも1枚200円ほどお得なチケットは、「桃園の誓い」の3人のような仲良しトリオにとっても、孔明を「三顧の礼」で訪ねた劉備のようにひとりで3度出かけるヘビーなファンにとってもおすすめのチケットになりそうだ。

文学や映像で三国志を知る機会は多くても、当時の遺物でリアルな時代の風を感じられる機会はめったにない。三国志は一朝一夕で読みきれないほど長大な歴史物語だが、開幕はまだ4ヶ月先と予習期間は十分にある。小説、マンガ、ゲームなど何らかの方法で物語を知ってから訪れると、より一層理解が深まるに違いない。

特別展『三国志』は、東京・上野の東京国立博物館平成館で7月9日(火)〜9月16日(月・祝)まで開催。その後、10月1日(火)から2020年1月5日(日)まで福岡県太宰府市の九州国立博物館でも開催される。今から7月の開幕を楽しみに待とう。

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