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瀧川ありさ、デビューから4年経って得た“前向きなパワー”とは 新シングル「わがまま」を通して語る

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シンガーソングライター・瀧川ありさが2015年3月にメジャーデビューして、今年・2019年3月でちょうど4年。彼女がこの4年で得た前向きなパワーと、“曲は贈り物だ”と捉えるようになって変化したこととは? 3月6日にリリースとなった新シングル「わがまま」を通してたっぷりと語ってもらった。

――表題曲がアニメ『七つの大罪』のエンディングテーマでもあったシングル「Season」でメジャーデビューをされたのが、2015年3月。瀧川さんとしては、この4年の間にどんな変化があって、どんなものを得た実感がありますか?

アマチュア時代は、球を投げても投げても当たらないというか、自分はどこに向かって球を投げているんだろう、っていうもどかしさみたいなものを抱えていたんですね。でも、デビューして以降は、いくつものアニメのテーマソングを歌わせていただいていることもあって、海外の方も含めたくさんの方から「新曲楽しみにしています」だとか、“ちゃんと受け取るよ”っていうリアクションをいただけるようになって。そうやって待ってくれている人がいるっていうのはとても嬉しいことだし、よりいいものを届けたいという前向きなパワーにもつながっていけるようになったというのは、すごく変わったところだと思います。そうすると、曲を作るときにも受け手のことを考えて作ったりとか。プレゼントも、誰かのためって思うから選ぶのが楽しいわけで……。

――なるほど、クリスマス会なんかのプレゼント交換みたいに、誰の手に渡るかわからないものを選ぶのって漠然としていて難しいですけど、対象が明確でその人に喜んでもらいたい!と思えば、プレゼントを選ぶのもワクワクしますよね。

そうそう。それこそアニメのテーマソングを書くときには、そのアニメ作品をイメージして、ファンの方がキャラクターを思い浮かべて聴けるような曲にしたいなっていうことを考えて曲を作るし。“曲は贈り物だ”ととらえるようになって曲を書く感覚も変わりました。

――そうするうちに、表現の引き出しもどんどん増えてきたのではないでしょうか。

小さいころからただただ音楽が好きで、制作作業をしていないときはずっとインプットをしているし、自分なりに引き出しはだいぶ増えてきたと思います。

――好きなことを職業にすると時に苦しいこともあると思うのですが、瀧川さんは“好き”という気持ちが色あせていないのですね。

デビュー直後は、レコーディングが続けば家に帰ってから音楽を聴く気にはならなかったし、“好き”という気持ちが色あせてしまうのかな、と思っていた時期もあったんですよ、実は。でも、アウトプットしてばかりでインプットをしないと元気がなくなってくるんですよね(苦笑)。音楽は自分にとっての栄養剤でもあるから、最近は制作作業がある日も、その前後にずっと音楽を聴いています。

――ご自身にとってそれだけ欠かせないもの、大事にしているものだからこそ、旋律も歌も言葉もていねいに紡いでいるのだな、ということがニューシングル「わがまま」を聴いてもよくわかります。

“ていねいに”ということはいつも心がけているので、そう感じていただけたなら嬉しいです。

――表題曲「わがまま」は1月より放送のテレビアニメ『ドメスティックな彼女』のエンディングテーマでもありますが、タイアップありきでの制作だったのでしょうか。

そうです。第8話の特別エンディングとして起用されたもう1曲の「always」にしても、脚本を読ませていただいて書き下ろしました。

――連載漫画を原作とする『ドメスティックな彼女』は“禁断過激なラブストーリー”と話題の作品でもありますが……。

第1話から、なかなか衝撃的ですもんね(笑)。それだけに偏見を持たれてしまうこともあるのかもしれないですけど、根っこにあるのは誰もが抱く感情なので、そこを大事に描きたいなと。私自身、偏見を持たれているように感じることもあるだけに……。

――瀧川さんが偏見を持たれているというのは意外です。

アーティスト写真の雰囲気から寡黙に思われるみたいなんですけど、私はもう、とにかくよく喋るので。

――素敵なギャップです!

そう受け取っていただけたらありがたいんですけど、「思ってたのと違う」って思われがちかなと(笑)。あと、“シンガーソングライター=自分の主義主張を熱く届ける人”というイメージを抱く方もいて、私はそうじゃないんだけどなぁっていう。そういう個人的な想いも少しばかりありつつ。偏見を取っ払ってまっさらな状態で聴いてもらえるような曲にしたいな、とも思ったんです。

――人を好きになる想いは純粋で、それゆえに想いが届かないときの寂しさややるせなさが、「わがまま」の歌詞では生々しく描かれてもいて。

いつもはもう少しきれいに整えるんですけど、ここまで心情に特化して、生々しく描いたのは初めてです。

――<あぁ君にだけわがままになっていく>という出だしのフレーズからして鮮烈で、真理を突いているなと。

それは、脚本を読んでパっと最初に浮かんだフレーズで。いつもは温厚な人も、ひとたび恋をすれば感情をむき出しにしたりもするわけで……なるほどな、って自分で思いながら歌詞を書いていったんですよ。

――<そっちを見ないで>と願うのに、<こっちを見ないで>とも言ってしまう矛盾、<君が笑うと 心が軽くなるのに 胸は苦しくなるから>という葛藤にしても、共感する人は多いはずです。

<そっちを見ないで>だし、<こっちを見ないで>でもあるっていう矛盾した感情は、男性の場合、“じゃあどうしたらいいんだ?”っていう受け止め方をする方が多いみたいなんですけどね(笑)。でも、やっぱり多くの女性は理解できるみたいで。想い人がいる人から、「今の私の曲です」っていう声をいただいたりするんですよ。恋愛中の人や、かつて恋愛で思い悩んだことがある人にとって、気持ちを重ねて聴いてもらえる曲なんじゃないかな、と思います。

――<大人になればこんなことで悩まずに上手く生きられるかな>というフレーズもありますが、大人になった今、瀧川さんご自身はどう感じているのでしょうか。

自分が10代だったころ、まさにそう思っていましたけど……今でも、あのころの気持ちのまま。やっぱり本質は変わらないんですよね。でも、もっとも悩み多きころの自分の気持ちを代弁してくれる言葉があると過去の自分が救われるんじゃないかな、と思いながら書きました。

――なお、最初のAメロと2回目のAメロのアレンジががらっと違っているのは……。

そうなんです、『ドメスティックな彼女』は主人公・藤井夏生と、橘陽菜と橘瑠衣という姉妹の恋模様を描いているわけですけど、最初のAメロは橘瑠衣の高校生らしいピュアな感じ、2回目のAメロは橘陽菜の大人っぽい雰囲気に寄せて。でも、間奏のギターソロでは気持ちがグシャグシャってなる感じで……。

――だいぶエモーショナルですよね。

そのことで、大人になっても心のバランスがとりきれない感じを表現してみました。


 

――本当に、ドラマティックで心が動く曲です。それから、ミュージックビデオではなんと瀧川さんがドラムを叩くシーンもあって。実に堂に入っているなと。

実はですね、ドラムをやりたい!と思ったのがきっかけで、中学生のときにバンドを組んだんですよ。

――女の子でいきなりドラムに惹かれるって、わりと珍しい気が。

ちょうどBUMP OF CHICKENとかASIAN KUNG-FU GENERATIONをその時期によく聴いていて、私の周りはみんな楽器をやりたい!っていう感じだったんですよね。そうなるとむしろボーカルが足りないから、「ありさ歌ってよ」って頼まれてしまい、ギターを弾かせてくれるならっていう条件で、2つのバンドでギター&ボーカルとドラマーを掛け持ちして。その後、ギター&ボーカル1本にシフトしていったんですけど、もともとはドラムを叩くことも好きだし、シンガーソングライターってアコギをかき鳴らして歌っているだけでしょ?っていう偏見を打ち破りたいなというほのかな想いもありつつ、新しい挑戦として映像で初披露してみました。

――ドラムを叩く瀧川さんの姿、新鮮だしすごくかっこいいです。ちなみに、好きな人の“わがまま”、瀧川さんはどのくらいまでだったら許容できますか?

私は、好きな人だったらなんでも許せちゃうっていうタイプではないですね(笑)。

――瀧川さん自身も、わがままを言って相手を困らせたくないタイプ?

うん、そうですね。わがままは言わないタイプだと、自分では思っています。それだけに、かわいげがないんだろうな、とも思うんですけど(苦笑)。小さい頃も駄々をこねたことがないらしいです。甘え上手な人が羨ましいなという気持ちもありつつ……甘え上手になれていたら、きっとミュージシャンをやっていないですよ。モテたくてミュージシャンになって実際モテる男の人とは違って、女の人はモテから入った人はあまり聞いたことがないですよね。

――そういう瀧川さんだからこそ表現できることがあり、それを心の拠り所にできる人もたくさんいるわけで……「always」にしても、聴く人それぞれにとっての大事な人を思い浮かべて、いろいろな関係性に重ねて聴くことができるはずです。

「always」はまさに、恋愛に限らず誰かと生きることのへの感謝、小さくても自分たちなりの幸せを信じて生きていく、というテーマで書いた曲で。

――別れがあり、新たな出会いや始まりへの期待や不安が入り交じる卒業シーズンに、気持ちを支えてくれる曲にもなるのではないかなと。

そうなったらいいな、という想いも込めました。近くにいても遠く離れていても、大事な人と心ではつながっているよ、っていう。そういう存在がいてくれれば、たとえひとりぼっちでも寂しくないし、頑張れると思うんですよ。

――瀧川さん自身、そういう大切な存在がいつも胸にいてくれているわけですか。

おじいちゃんおばあちゃんですね。私が音楽を始める前、中学生のころ亡くなってしまったから、どんなに望んでもおじいちゃんおばあちゃん孝行というのはもうできないという切なさはあるんですけど、心の中にはいつもいてくれて。自分のためになにかしようって思えるタイプではない自分にとって、応援してくれる家族はもちろん、おじいちゃんおばあちゃんの存在は、頑張る原動力になっています。

――そうした温かな想いのこもった歌声にしろ、気づきをくれる歌詞にしろ、ストリングスやピアノの美しい響きにしろ、「always」は実に感動的です。

私自身、いいオケだなぁと歌いながら感動して。力まずに歌うこともできました。

――なにしろ、「わがまま」も「always」も多くの方の人生に長く寄り添うことになる曲になったのではないかなと。

そうだと嬉しいです。自分の曲が2、30年後にどう聴こえるんだろう、って考えることがあるんですけど、この先自分自身が「always」に助けられるときがくるんじゃないか、って思ったりもします。


瀧川ありさ



――そして、5月6日には東京・代官山LOOPにて3rdワンマンライブを開催するんですよね。

今度のワンマンライブ、とても楽しみにしていて。2018年に全国22か所を弾き語りでまわるまでは、ステージに立つときにどうにか届けなきゃとか、何か残さなきゃとかっていうプレッシャーがずっとあったし、緊張感もあったんですね。

――気負いがあったと。瀧川さん、生真面目で責任感が強いのでしょうね。

ソロである分、「全部自分の責任だぞ!」というのはあるかもしれないです(苦笑)。

――でも、もともと音楽が好きで始めたわけで……。

本当に。好きで始めたのになんで追い詰められているんだろう、っていう。それが、弾き語りツアーをまわってみたら、みんなは楽しみたくてライブ会場に遊びに来てくれているんだから、みんなで笑顔になれたらいいな、楽しめれば大丈夫!って思えるようになって。ライブに対するマインドがだいぶ変わったんですよ。加えて、バンドを入れたツアーファイナルでは、バンドでの表現の仕方にしろバンドメンバーとの空気感にしろ、自分的に大きな手応えがあったので。今度のライブは、より自由度の高いものになると思います。

――その先、2019年はどんな活動をしていきたいと考えているのでしょう。

「わがまま」のミュージックビデオではドラムを叩きましたけど、歌やギターだけでなくまだまだやれることはたくさんあるな、と思い始めていて。自分ですべての音作りを手がけたり、もっと遊びを入れた曲作りの仕方をしてみたりしても面白そうだな、という興味も高まっているんですよ。せっかく大好きな音楽をやれているので、自分自身がワクワクすることにどんどん挑んで、形にしていきたいです。

――貪欲! プライベートでやってみたいこともあったりしますか?

海外の方からもよくメッセージをもらううちに、いろいろな文化をちゃんと知りたいなと思うようになって。まだ一度も行ったことのないアジア圏に行ってみたい欲が、高まっているんですよ。現地の空気を吸って、景色を見て、その土地でライブにも足を運んで……たくさん刺激を受けたいし、自分の中の固定概念をいい意味で覆して、生み出す音楽をより彩り豊かなものにしていきたいです。


文=杉江優花

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