蒼井優 | 世の中にあふれる言葉をたどるのが、本当に楽しい

蒼井優 | 世の中にあふれる言葉をたどるのが、本当に楽しい
女優の蒼井優さんが、先輩たちの言葉を聞き、その言動から学んだ体験を、ぎゅっと濃縮した初めての対談集『蒼井優 8740 DIARY 2011-2014』が刊行されました。約3年間、33人のゲストと重ねてきた素敵な会話をまとめた1冊を通して、言葉と真剣に向かい合ったといいます。最後は、世の中にあふれている言葉を、年をとって改めて実感していくということについて。
蒼井優
「先輩」になったからこそ知りたい、「後輩」に伝えたいと思った

――さきほどの話がおもしろいなと思うのは、「スタートとゴールが入り混じった」「不安」の時期に、蒼井さんがひとつ選んだことは、先輩達と話をすることだった。その選択には、どんな意図があったんでしょう?

蒼井優 (以下、蒼井)後輩が出てきた時に、自分の先輩としての未熟さにあきれ返って、「私、何もしてあげられてない」と落ち込んだんですね。でも、今までの自分の先輩がどれだけ素晴らしかったかっていうことを、自分が先輩一年生になったからこそわかるという感覚もあったんです。だから余計に、先輩の話も聞きたくなったんだと思います。

蒼井優

――自分が先輩の立場になり、先輩の気持ちがわかるようになってきたからこそ、と。

蒼井今の私が自分の後輩にできることは、先輩から受け取った言葉の橋渡し。自分の意見を教えてあげるには私は未熟すぎるから、その責任は取れないけど、私が聞いて「素敵だな」って思ったことは伝えてあげられる。若干の責任逃れも含みますけど(笑)。そういう年齢なのかなっていう気はしてます。

――でも、先輩の言葉が自分の中で響いている、大切だと思うからこそ、後輩に伝えたいと思うわけですもんね。

蒼井憧れたり尊敬したりしている先輩の言葉に、自分の中の何かが響けてるってことは、自分は間違っていないと確認できるような気がします。

――先輩の言葉に自分が響いて、それを後輩に伝えていく。きっとその先輩も、さらに上の先輩の言葉に響いて、下に伝えたのかもしれない。人の営みってきっと、そういうことですよね。「国語の授業で意味は知ってたけど、こういうことか!」って、年齢を重ねることで腑に落ちていく感覚があります。

蒼井あっ、私も最近感じるのは、生きていくことって、「世の中にある言葉を体感していくこと」だなって思います。例えば、ささいなことでいうと「白髪」とか。子どもの頃は自分にそれが生えるということがどういうことかわからなかった、世の中にあふれている言葉をたどっていくのが、本当に楽しいなって思うんです。

――それ、絶対楽しいと思います(笑)。

蒼井その年齢に合う言葉って、たくさん世の中にあふれている。生きていればそれとまた違う層の言葉もどんどん現れてくるし、言葉が自分を育ててくれるんですよね。

――既にある言葉の意味を体感し直して、伝えていく。ネガティブな人は、そんなのつまらない、もっと新しいものと出会いたいと感じてしまうかもしれないけれど……。

蒼井すごいおもしろいことだと思います。人生、それで十分じゃないかなって(笑)。

――でも、その楽しさを言葉で伝えようとする時に、必ず何かしら自分から出てくるものがくっついてくるから。ちゃんと伝えるっていうことをしていけば、それだけで世の中を少し良い方向へ変化させることになるかもしれない。

蒼井世の中とまではいかないけれど……、自分が大切だなって思う人は幸せでいてほしいなって思います。苦しんでる姿を見たくないですから。そのことには、すこしだけ自分の言葉で手伝えることがあるとは信じています。
 それと幸いなことに私は、自分の身の回りより多くの人に言葉を伝える仕事をしているから、何かちょっとだけできることがあるのかもしれないなって。

最大の敵は「リトル蒼井」?!

――この本にはさまざまなジャンルの「先輩」たちが登場しますが、唯一出てくる「後輩」が水原希子さんです。彼女との対談の時は、蒼井さんが「先輩」という立場になったこともあり、ちょっと話し方が変わるんですよね。そんな中だからこそ、出てきた言葉があったと思います。
 演技について「もっと上手になるにはどうしたらいいですか?」という水原さんの問いに、蒼井さんはこう答えます。「俳優は個性だと思う。それから、心の美しさ」。あの言葉のことを、ぜひ最後に伺えたらと思います。

蒼井私も、希子ちゃんくらいの年齢の時(対談時は23歳)は、いろんなことをキャッチする感受性は高いものの、それを飲み込んだりクリアにしていく術を持ってなくて、しんどかったんです。
 その時に先輩方を見たら、本当に純粋に、お芝居や人と向き合っていた。それを見て、救われたんです。「先輩方が見ている景色を見たい」と思ったし、そのためにはラクしちゃいけないんだなって……。先輩達を見ていて、私なりに感じたことを、希子ちゃんに伝えたいと思ったんです。

――とても素敵な言葉が受け渡されたと思います。その後のやり取りは是非、本書を読んでもらいたいですね。

蒼井自分が生まれたタイミングは今で、上の世代にはこの本に出てくる先輩方がいて、同じ世代には(柄本)佑や少し下の希子ちゃんといった、一緒に走り続けることができる仲間がいる。その層の厚さを感じて、「みんなで生きてる!」っていう感じがしました(笑)。ここから流れる時間が私自身、本当に楽しみです。

――この対談集には約3年間の蒼井さんの変化も記録されていますが、これからも変化は続きそうですね。

蒼井十代より、二十代のほうが変化している気がしますし、もっともっと変化できる。  そのうち今まで通用してきた人生の方程式みたいなものが、なんにも通用しない時が絶対に来ると思うんですよね。それって、すごい楽しいだろうなって思うんですよ。だって、今まで自分がしてきたこととはまったく違う、新しいチャンンジができるってことじゃないですか。

――やっぱり蒼井さん、強いです(笑)。じゃあ後は、大竹しのぶさんとの対談で告白されていましたが、恋をすると発動してしまうネガティブな人格「リトル蒼井」の存在をどうするかだけですね。やつとどう戦っていくか。

蒼井あはは。そうですね。

――この三年間で、多少は手なずけられるようにはなってきている?

蒼井……ぜんぜんダメです(笑)。

蒼井優

構成:吉田大助、撮影:嶋本麻利沙

更新日:2016年1月9日

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