top_line

「エンタメウィーク」サービス終了のお知らせ

『虎に翼』三山凌輝がつらい展開の“救い”に 『HiGH&LOW』でも体現した葛藤と覚悟

Real Sound

『虎に翼』写真提供=NHK

 こんなにも苦しい1週間を過ごしたのは初めてかもしれない。NHK連続テレビ小説『虎に翼』第8週では、女性法曹の未来を一人で抱えようとしていた寅子(伊藤沙莉)が限界を感じて弁護士の仕事を辞める。「寅ちゃんが後悔せず、心から人生をやりきってくれることが僕の望み」と、寅子が気負いすぎないような言葉をかけた夫の優三(仲野太賀)も出征してしまった。

参考:三山凌輝、BE:FIRSTを背負って臨んだ『HiGH&LOW』で得たもの 「ひとつの突破口が見えた」

 第9週では終戦を迎えるようだが、予告を見る限り、まだつらい展開が続きそうだ。そんな中、終戦後に進学で岡山にいた寅子の弟・直明が帰ってくる。少年から青年に成長した直明を演じるのは、BE:FIRSTのメンバーでもあり、俳優としても活動する三山凌輝だ。

 三山は2016年より俳優活動を開始。中学から続けているダンス経験を生かし、『2.5次元ダンスライブ「ツキウタ。」ステージ』(2018年)や『DYNAMIC CHORD the STAGE』(2019年)などの舞台で演技のキャリアを積んだ。

 2021年には、SKY-HIが主催するボーイズグループオーディション「THE FIRST」にて書類審査を通過した総勢231人の中から選考をくぐり抜け、見事最終審査に合格。7人組ボーイズグループ「BE:FIRST」のメンバー・RYOKIとして、アーティストデビューを果たした。ダンスはもちろんのこと、圧倒的な歌唱力に、ラップのスキルとマルチな才能でグループを支える三山。その表現力の高さは演技にも大いに生かされている。

広告の後にも続きます

 2022年には、人気シリーズ『HiGH&LOW』と、高橋ヒロシによる漫画『クローズ』『WORST』のクロスオーバー映画第2弾『HiGH&LOW THE WORST X』に出演。花岡楓士雄(川村壱馬)率いる鬼邪高校に奇襲をかける瀬ノ門工業高校の頭・天下井公平を演じた。天下井は多様な事業を展開する天下井グループの御曹司で、財力と権勢にものを言わせてのし上がってきた“悪役”的な立ち位置だ。

 かたや、『虎に翼』と同じく吉田恵里香が手がけたNHKの特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』では、生理用品メーカーに勤める主人公・光橋幸男(原田泰造)を支える部下・橘正樹を演じている。一見すると対照的な役柄だが、どちらの役にも共通するのは最初と最後で印象がどんどん変わっていく点だ。

 天下井は他人を駒としか思っていない冷酷非情なキャラクターだが、その裏にはお金目当てで近づいてくる人々に辟易し、誰も信じられなくなったという背景があった。けれど唯一、幼なじみの須嵜亮(中本悠太)だけは天下井に忠誠を誓い、最後まで彼のためにボロボロになりながら戦った。そんな須嵜を前にした天下井の狼狽えた表情が信じたい気持ちと信じられない気持ちとの間で揺れ動く心の葛藤を映し出しており、単なる悪役ではなく深みのあるキャラクターとして『ハイロー』ファンの心に今も刻まれている。

 「~っす」という若者言葉が抜けない正樹も最初は頼りなさそうな印象を受けたが、実際は上司である幸男にも物怖じせず意見をぶつけ、時には幸男の暴走を止める有能な部下だった。幸男が娘である花(上坂樹里)とラップで生理について議論を交わす場面でも、横から入って幸男の思いを代弁した正樹。そのスキルは言うまでもないが、正樹のキャラをブレさせず、演技の延長線上にあるラップを披露した三山に表現力の豊かさを見せつけられた。

 今回、『虎に翼』で演じる直明は、大学進学を諦め、東京に戻り家族のために働くことを決意する心優しい青年だ。けれど、幼い頃から直明は勉強が好きで成績も優秀だった。ゆえに進学を諦めるにあたっては相当な葛藤があることだろう。三山がそれを抜群の表現力で見せてくれるのではないだろうか。また三山はまっすぐで嘘のない瞳が印象的で、『往生際の意味を知れ!』(MBS・TBS)では主人公の後輩で人気俳優の榊田正史を好演し、サスペンス色の強い作品に清涼感をもたらしていた。第9週から戦後に突入する『虎に翼』でも、三山演じる直明の存在が荒地に咲く花のような救いとなるはずだ。
(文=苫とり子)

 
   

ランキング(テレビ)

ジャンル