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一生使用する農耕用に飼育されている牛につけられた半円形の鼻輪。堅くて粘り強い「カマツカ」という木が最適

ゴールドライフオンライン

※本記事は、飯塚舜介氏の書籍『カラスと少年』(幻冬舎ルネッサンス)より、一部抜粋・編集したものです。

黒毛和牛のハナ

鼻輪(はなわ)

農耕用に飼育されている牛は半円形の鼻輪をつけています。若いときに鼻に穴をあけて鼻輪をつけて、一生使います。

飼い主は鼻輪に結びつけたロープで牛に合図をして、前進したり、止まったり、あるいは左折や右折をします。

あるとき、隣の地区に住んでいる斎藤さんが訪ねてきました。いつものように、庭にハナがつながれていました。用事が済んで庭に出てきた斎藤さんが純二に言いました。

「この鼻輪は私が作ってあげたよ」

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突然に話しかけられたので、純二はびっくりして、「鼻輪を作るなんて、初めて聞きました」と応えると、斎藤さんは得意そうに、「牛の鼻輪はカマツカという木で作るのですよ」と言いました。純二には聞きなれない木の名前でした。

「カマツカの木はどこにあるの?」と尋ねると、「このあたりにはない木でね。中国山地の奥に行って採ってくるのです」と教えてくれました。

「なぜ、カマツカの木でないといけないの?」と尋ねますと、「カマツカは堅くて粘り強いのです。他の木で作った鼻輪をつけると、牛の鼻に傷がつくのです。最近のプラスチックはもってのほかで、牛が嫌がるのですよ」と斎藤さんは話してくれました。

続けて斎藤さんは、「私の作る鼻輪は評判が良くてね、注文がいっぱいあって1年くらい待ってもらっています」と得意そうに言いました。そういう斎藤さんは牛を家族のように大事にしていて、毎年の牛の共進会で1等賞を取っていることを誇りにしていたのです。

ハナのお腹を触ってみた

天気のいい日、ハナは前庭につながれていました。ハナが向きを変えないように、前と両側に柵が作られていて、前中央に大人の背丈ほどの高さのある太い丸太の支柱が庭に立ててあります。支柱は柵とボルトで結ばれていて頑丈です。

支柱の上端には木の枝の部分が股になって残されています。この股のところにローブがかけてあり、緩く結ばれています。ハエやアブが寄ってくると、ハナは尻尾を振ってたたいたり、大きな耳をパタパタと揺らせたりして風を起こして虫を追い払っています。

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