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なぜ「ご当地調味料」に特化?作り手の想いも伝える「調味料.jp」、背景には製造元の過酷な環境

Walkerplus

調味料のなかでも、ご当地調味料にフォーカスしたWebメディア「調味料.jp」が2023年12月に開設された。日本各地で作られる調味料やレシピを紹介するほか、製造者の想いを伝えるコンテンツにも力をいれている。

素材の味を引き立てる “脇役”のような存在だが「ふるさとの味を形成している大きな要素では」と、同サイトを運営する株式会社Rainbow Taste代表取締役社長の寺門里紗さん。なぜご当地調味料に特化したメディアを立ち上げたのか。話を聞いた。

■日本のまだ見ぬ食文化を探るWebメディア
――「調味料.jp」ではどういう情報を発信しているのでしょうか。
【寺門里紗】日本のまだ見ぬ食文化を探っていくというアプローチで、ご当地調味料や作り手さんのストーリーにフォーカスした情報を記事コンテンツとして発信しています。

――ご当地調味料とはどういうものですか。
【寺門里紗】調味料は原材料に付加価値をつける形で作られるものが多く、地場の産物を活かして作られた調味料を、弊社ではご当地調味料と定義しています。ご当地というと、地方が思い浮かぶかもしれませんが、実は東京のような都市にもご当地調味料はあります。また、広いくくりでは、瓶詰めのご飯のお供やあんこ、ジャムなども調味料と呼べるのではないかと思い、「調味料.jp」では幅広く紹介していきます。

――想定している読者層は?
【寺門里紗】料理が好きな方、調味料にこだわりたい方など、食に関心が高い方に向けて情報を発信していますが、例えば作り手の熱いストーリーが好きな方や、全国を旅するのが好きという方にも楽しんでいただけるのではないかと思います。

■調味料製造者を取り巻く課題とは
――調味料専門のメディアは珍しいかと思います。立ち上げの背景を教えてください。
【寺門里紗】弊社の主な事業内容は、調味料製造者の業務支援です。特に中小規模の製造者に向けて、抱えている課題に対してソリューションの提案などを行っています。今回「調味料.jp」を立ち上げた背景には、調味料製造者を取り巻く課題があります。

【寺門里紗】農産物や海産物の生産者を販路の側面から支援するようなサービス、例えば産直サービスなどは近年増えつつあります。一方でそれらを使って調味料を作って食品加工品として販売する製造者への支援は不足しているのが現状です。さらに最近では原材料価格の高騰でダメージを受ける製造者もたくさんいらっしゃいます。

【寺門里紗】また、中小規模の製造者は人手不足ということもあり、どんどん淘汰される過酷な環境にさらされています。全国にたくさんいる調味料好きな方が商品を知る前に、製造者が消えてしまうーー。そんな現状を変えたいと思い、弊社が主体となってスポットを当てられないかと考えました。

【寺門里紗】業務支援の事業で製造者の方とやりとりをするうちに、さまざまな思いを持って製造をされている方がたくさんいると知り、そこにスポットを当てて、コンテンツとして届けることにしました。

■ユーザーが作り手と出会える設計
――「調味料.jp」を立ち上げるにあたり、特に苦労したことは?
【寺門里紗】初期の構想では、記事コンテンツを配信するだけの予定でした。しかしそれだと、記事のなかで読者と作り手との出会いは実現しますが、他の記事で紹介している調味料と出会っていただくことは難しく、本当にそれでいいのだろうかと考えていました。

【寺門里紗】また、他のメディアと差別化を図るためにも、もう少し違ったアプローチができないかと考えていたところ、たどり着いたのが調味料のジャンルや製造地で絞り込む「作り手検索」です。全国の作り手さんと出会い、お気に入りの作り手さんを見つけるきっかけとなるような機能です。

――思いついたきっかけは?
【寺門里紗】「調味料.jp」で扱うご当地調味料は、醤油や味噌といった基礎調味料だけではなく、マヨネーズやコショウなども含まれます。幅が広いため、例えば「辛い調味料を探したい」と思ったとき、掲載している記事の中から探すのではなく、もう少し探しやすい方法があるのではないかと考えたことがスタートでした。

【寺門里紗】蔵の見学ができるところもあるので、旅行前に検索して実際に製造の現場を見たり、現地で購入したりといった体験もしていただけるとうれしいです。

――サイト設計やコンテンツ制作でこだわっていることは何ですか?
【寺門里紗】意識しているのは、時代やトレンドに左右されないデザインです。年代を問わず、いろいろな価値観を持った方に長く愛されるメディアにしていきたいという思いがあります。コンテンツにおいてもその点を意識して、時間が経っても楽しんでいただけるような記事を制作しています。また、私自身が“調味料オタク”で、同じぐらいの熱量で調味料について語ることのできるメンバーに制作してもらっています。

■「地域性」を楽しめることが魅力
――調味料に関する事業を始めたきっかけは?
【寺門里紗】私自身が調味料の虜になり、それを仕事にしたいと思うようになったからです。もともと国内旅行が好きで、仕事で出張に行く機会もあったのですが、日程の都合でどうしても、その土地を満喫できずに帰らなければならないときが何度かありました。

【寺門里紗】そこで道の駅や空港などで、その土地を楽しめるようなご当地の調味料を買って帰るようになりました。そのラインナップがだんだん増えてきたので、せっかくならと写真を撮って味の感想を残していたのが、今の事業の原点になっています。

――寺門さんにとって調味料の魅力とは?
【寺門里紗】ご当地調味料だけではなく、一般的な調味料も地域性が表れるものだと感じています。例えば東北と九州だと醤油の味も違い、肉じゃがを作るにしても醤油を変えるだけで味が変わりますよね。

【寺門里紗】私は秋田出身で、秋田で有名な「味どうらくの里」という万能つゆや安藤醸造さんのお味噌を実家ではずっと使い続けています。ふるさとの味を形成している要素って、実は食材よりも調味料が大きいのではないでしょうか。また、その土地に行かなくても買って楽しめるというのも、気に入っているポイントです。現地ではこんな感じの食生活を送っていらっしゃるのかな、と想像するのが好きなんです。

――日本各地の調味料を扱う店が増えているように感じます。調味料にもブームはありますか?
【寺門里紗】その時々でいろいろな調味料のブームが来ていますが、最近は健康志向の方たちを中心に、無添加の調味料や麹の人気が高まっていると感じます。また、以前はドレッシングなどがご当地調味料として多かったのですが、最近はプラスアルファの要素が加わったご飯のお供系の商品も増えてきました。

【寺門里紗】あとは味変という言葉もずいぶん浸透していて、お惣菜に調味料を加えることで料理したような気分になれるアイテムは、食の簡便化が進むなかで求められているのかもしれませんね。

■地域を問わず自由に選べるように
――今後「調味料.jp」で取り組みたいことを教えてください。
【寺門里紗】人員を増やしてコンテンツを拡充したいです。まずは最新の調味料情報や調味料関連のイベント情報、全国各地の調味料を楽しめるスポットなどを紹介したいと思っています。

――新商品は頻繁に発売されているのですか?
【寺門里紗】若い方が和食を食べる機会が減っていることもあり、何百年と歴史のある味噌や醤油の蔵元であっても、味噌や醤油だけで戦っていくのが厳しい状況です。各社が新しい調味料をどんどん作っていらっしゃいます。

――「調味料.jp」での発信を通じて実現したいことは?
【寺門里紗】最終的に実現したいのは、たくさんの調味料や加工食品があるなかで、製造者の規模や地域に関わらず、ユーザーが自由に商品を選べる世界を実現したいですね。スーパーやコンビニで出会える調味料は、やはり大手メーカーの商品が主流です。さまざまな垣根を越えて自由に選んでいただくための手段のひとつとして、「調味料.jp」では作り手との出会いを提供したいと思っています。

――最後に読者に向けてメッセージをお願いします。
【寺門里紗】ご当地調味料にフォーカスしたコアなメディアではありますが、食に関心がある方だけではなく、さまざまな方に楽しんでいただけると思います。旅をするような気持ちで、その土地その土地のふるさとの味に触れながら記事をご覧いただけるとうれしいです。そしてご自身の食生活に役立てていただけたら、これ以上うれしいことはありません。
 
   

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