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野球場がピンク一色!元プロ野球選手が15年打ち込むある活動とは

パラサポWEB

日本人の死因の第1位に挙げられるがん(正確には悪性新生物と言ってがんの他に肉腫も含まれる)。男女別・部位別に見ると、男性が肺、大腸、胃、すい臓、女性が大腸、肺、すい臓、乳房の順で死亡数が多い。この女性の乳がんに関して、知識を深め、検診の重要性を啓蒙することを目的とした活動がピンクリボン運動。この運動が盛んな欧米に比較して、日本ではまだまだ認知が進んでいないと言われている。妻を乳がんで亡くしたことをきっかけに、ピンクリボン運動を15年以上続けているのが、プロ野球福岡ソフトバンクホークスなどで活躍した鳥越裕介氏だ。鳥越氏に、ピンクリボン運動にかける思いについてうかがった。

周囲に支えられ、自分でもできることがあるという気持ちに

写真提供:株式会社wiAth

鳥越氏が妻の万美子さんを乳がんで亡くしたのは、2008年。福岡ソフトバンクホークスの二軍のコーチをしていた時期だった。最愛の妻を亡くし、家にひとりでいるとしんどさを感じてとてもつらかったのだという。

「精神的にとても不安定でしたね。でも、球場に行けば選手や同僚といった仲間がいるし、野球を見に来てくれるお客様がいます。みんなに助けられました。日常に戻してもらえたのは、そういう方々のありがたみを感じたから。自分にも何かできことがあるんじゃないかという気持ちに自然になっていったんです」(鳥越氏、以下同)

当初は、悲しみに暮れていたが、球団の方々とさまざまな話をするなかでピンクリボン運動について調べるようになり、プロ野球というスポーツに携わっている人間として、少しは自分にも発信力があるのではないかと思い、乳がんは早期発見・早期治療で生存率が非常に変わるということを、ひとりでも多くの人に伝えるべく動き出したのだそう。

ピンクリボン運動は、1980年代のアメリカで始まった運動だ。乳がんについての知識、検診の重要性について広く知ってもらうことによって、乳がんの罹患者・死亡者が減るようにという願いが運動を象徴するピンクのリボンには込められている。と言うのも、乳がんは罹患数が多いものの早期に発見し治療を行えば5年生存率が他のガンより高いとされ、検診の重要性が他のガンに比べて格段に大きいからだ。

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「球場でたくさんのお客様の姿を見て、これぐらい人が集まる場所があるんだから、ここで何か発信することができたら、乳がんについての知識を広めることができるのではないか。精神的につらいとき、周りの人に助けてもらったので、自分も何かできることでお返しをしたい、そのように考えるようになりました」

ピンクに染まる野球場が、乳がんについての発信の場に

©︎SoftBank HAWKS ©︎SoftBank HAWKS

ピンクリボン運動が生まれたアメリカを始め欧州などでは啓蒙が進み、乳がんによる死亡率はずいぶん低下しているそうだが、日本ではまだまだの感がある。そんな中、ピンクリボン運動を続けている鳥越氏は日本の現状をどう見ているのだろうか。

「私が運動を始めた当初は、世の中にこんなにがんの人がいるんだ、中でも乳がんはこんなに多いんだということにずいぶん驚かされましたね。そんな中で、あくまでも私の周囲の話になりますが、15年前より少しは変わってきているのではないかと思います。女性はもちろんのこと、男性の方の意識も少しずつ変化しているのではないでしょうか」

ピンクリボン運動の重要性に気づかされた鳥越氏は、仲の良い球団の人と共に活動を始めた。球団では2006年より女性の集客増を目的に、女子高校生限定でピンク色のユニフォームを販売するなどのサービスを行う「女子高生デー」を始め、2014年からは世代を問わずすべての女性が対象に広がり、20年からは性別を問わずピンクのユニフォームを無料で配るようになった。このイベントの間選手が使うヘルメットのチームロゴの横には、ピンクリボンのマークがあしらわれている。イベントは女性の集客を多くするためではあるが、乳がんに関するリーフレットを配り、ドームの外には検診車を用意し、来てくれた女性はもちろん男性にも乳がんについて知ってもらうことも狙っている。

「球団の方にはいろいろ調べてもらい、背中を押してもらいました。最初はなかなか手応えがありませんでしたが、年を重ねていくにつれて仲間も増えていき、こんなことができるんじゃないか、こういうこともあるというように盛り上がっていって、今のような野球界の中でも結構大きなイベントに成長することができました」

ある女性ファンは、このイベントに出席したのをきっかけに検診を受けたところ、早期発見できて命が助かったと鳥越氏に語ったそうだ。

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