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馬の心臓

乗馬メディア EQUIA

馬は進化の過程で葉食から草食に変わり、暮らす場所も森林から草原に移しました。草原では、視界を遮るものがなく、森林に暮らしていたときより肉食獣のターゲットにされるように。そのため、馬は敵から逃げられるように走るのが速くなりました。馬の特徴である、蹄、肢の長さ、鼻の長さは速く走るための進化でした。しかし、私たちの目に見えない部分でも馬は速く走るために進化をしてきました。そのうちの一つが心臓です。今回はその心臓について深掘りします。

位置と構造

著作者:brgfx/出典:Freepik

馬の心臓は胸にあります。分かりやすく言うと、前肢の付け根の上部です。両前肢の真ん中あたりに位置しています。例えば、競走馬を購入しようとするときには、この胸の深さ(き甲から胸の下部に伸ばした垂線の長さ)をチェックするプロも多いのだとか。この部分が深ければ深いほど、大きな心臓を持っている、または大きな心臓に成長しても問題ないほどのスペースがあると考えられているからです。競走馬にとってエンジンである心臓が大きいかどうかは大きな意味を持つためです。心臓の大きさについては、次のセクションで掘り下げていこうと思います。

次に構造です。全身を巡って酸素が少なくなった血液はまず右心房に入ります。そのまま、右心室に流れて、収縮活動により肺へ血液が循環され、そこで酸素が充填されます。肺から左心房に戻った血液は左心室に流れ、そこから大動脈へと送られます。心房から心室に移る部分、心室から動脈に移る部分にはそれぞれ弁があり、血液が逆流をしないつくりになっています。基本的には四室構造である人間の心臓とほぼ同じつくりです。

胸の深さ=心臓や肺の大きさ(エリザベス女王杯2019出走馬馬体評価) (youtube.com)

大きさ

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人間の心臓との大きな違いはサイズです。人間の心臓は250~300gで体重の0.4~0.5%程度の重量で握りこぶし程度の大きさしかありません。一方、馬の心臓は4~5kgで体重の約1%を占めると言われています。体重に占める心臓の割合は人間の倍にもなるのです。そのため、馬の心臓は1度にたくさんの血液を送りだすことが可能。馬の安静時の心拍数は、当歳で50~60回/分ほど。成長に伴い心拍数も低下し、成馬の安静時心拍数は28~40回/分程度とされています。安静時に1回の心拍で送り出せる血液の量は0.8~0.9リットルほどです。馬の血液量は体重の約9%にあたることから、1分間でかなりの量の血液が1度は心臓に戻っていることになるのです。運動時は心拍が急速に上昇し、血液の酸素充填の速度を速めます。サラブレッドでは、最大心拍数が220~230回/分ほどではないかと考えられています。

例えば、体重が500kgの馬の場合、血液量は45リットルほどです。つまり、たった50回の心拍で、ほぼ全ての血液に酸素が充填される計算になります。安静時の心拍が40回/分だとすると、1.5秒に1回の心拍があることになります。計算をしてみると安静時でも全ての血液に酸素が充填されるのに、たった75秒しかかかりません。これが運動時になるとどうでしょうか。運動強度が高まると1回の心拍で送り出す血液量はさらに増えて1.5~1.8リットル。つまり、1分間で330~400リットルもの血液を循環させていることになります。馬の心臓って重労働ですね!

速く走れる秘密は心臓にあり!

このように大きな心臓のおかげで1度にたくさんの血液に酸素を充填し、末端の血管まで送りだすことができます。その結果、馬は長い距離を速く走ることができるようになりました。他の動物と比べても、安静時から運動時の心拍数増加率は約600%で圧倒的。人間界でも「スポーツ心臓」と呼ばれる大きな心臓を持っているアスリートがいます。馬は進化の過程でこの「スポーツ心臓」を得たんですね。

しかし、どの世界にも上には上がいるもの。アメリカの競馬史上最強馬だと言われているセクレタリアトを死後に解剖したところ、心臓が普通のサラブレッドの2倍もあったと言われています。病的なものではなかったことも分かっています。セクレタリアトの心臓は、全頭が「スポーツ心臓」を持つサラブレッド界の中でも群を抜く「スポーツ心臓」だったと言えるのかもしれません。

心臓には意外にも個性が現れるようです。アメリカでは、競走馬のセリ市に上場している馬の心臓を撮影し、データベースに登録されている他の馬の心臓と見比べるというサービスが提供されています。父馬の心臓と見比べたり、すでに競走をしている他の馬の心臓とも見比べたりして、適性距離などを把握する目安にするそうです。心臓には両親から受け継いだ特徴が如実に出ることもあるのだとか。

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2024年5月16日

提供元: 乗馬メディア EQUIA

 
   

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