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『虎に翼』で寅子の心強い味方に 朝ドラで躍進する小林涼子と安藤輪子のコントラスト

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『虎に翼』写真提供=NHK

 学生時代の「先輩」って、どこか遠い存在に感じる。本当は1、2歳しか年が変わらないのに、もういろんなことを経験した人たちに見えてしまう。怖くて、心が重たくなる存在。だけど、いざ接してみると頼りがいがあって、憧れることだってある。何より、いい先輩に当たると学校生活のストレスが軽減されて、ホッとした気持ちになる。

参考:『虎に翼』寅子が挑む“高等試験司法科”とは? 現在の司法試験と異なる法律家への道のり

 先輩に恵まれ、同期の仲間たちと夢に向かってまい進中なのは、連続テレビ小説『虎に翼』の猪爪寅子(伊藤沙莉)である。寅子が「明律大学女子部法科」で出会った先輩は、一期生の久保田聡子(小林涼子)、中山千春(安藤輪子)らだった。親しみやすそうな彼女たちを見て「寅子良かったね!」と思ったものだ。

 一期生のリーダー的存在でもある久保田は、言葉に迫力が付着しているものの、どこまでも真っ直ぐで、彼女がいると安心すら感じる。一方、中山は何かにつけて涙を流す先輩である。
 
 1年後、3年生に進級したのは久保田と中山だけだった。みんな辞めてしまったのだ……。たくさん同期生がいた学び舎で、ふたりだけで授業を受けた際、中山は号泣してしまう。そんな彼女を「中山くん。先生がお困りだぞ」と久保田が声をかけたのは、ふたりの関係性を象徴するようなやりとりだった。

 法学部に進学後も寅子たちとの関係性は変わらない。「共亜事件」の公正な裁判を求めるため、久保田や中山も署名活動に参加。ふたりが寅子の味方でいてくれるのは、何とも心強かった。

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 ここで改めて久保田を演じる小林涼子と、中山を演じる安藤輪子の出演作を振り返りたい。

 小林については、大野智と生田斗真がW主演を務めた『魔王』(TBS系)での活躍を鮮明に覚えている人もいるだろう。彼女が演じたのは、サイコメトリーの能力を持つヒロイン・咲田しおり。あるシーンで、成瀬領(大野智)を後ろから抱きしめた場面はとても苦しかった。 
 
 近年では、池井戸潤原作の『ハヤブサ消防団』(テレビ朝日系)にて、物語の重要な鍵を握る山原展子役を熱演。主人公・三馬太郎(中村倫也)が住む家に彼女の写真が残っていた。写真一枚だけでも伝わる不気味なオーラ……。最終話に向かって謎が明らかになっていくシーンは鳥肌だったし、何より出演時間が特別多いわけでもないのに、強烈なインパクトを残した。 安藤は、2015年に映画『友だちのパパが好き』に出演。親友の箱崎妙子(岸井ゆきの)の父親・恭介(吹越満)を好きになる吉川マヤを演じた。恭介へ熱烈に愛を伝える場面や、妙子と言い合いになるシーンなど、マヤという女性に狂気や嫌悪感すら感じたのに、最後まで見届けたいと思った、見届けなければと思った。

 その他にも、『エルピス—希望、あるいは災い—』(カンテレ・フジテレビ系)、『きのう何食べた?season2』(テレビ東京系)、『美しい彼』(MBS)、映画『万引き家族』(2018年)、映画『哀愁しんでれら』(2021年)など、ヒット作に出演しているため、彼女のことを認知している人も多くいるだろう。

 天性のオーラを持つ小林と、人の“えぐみ”ある部分まで演じられる安藤が、経験という翼を得て、朝ドラという舞台で躍進しているーー。

 『虎に翼』は、濃いキャラクターが多いが、特にふたりは寅子の行方を俯瞰で見ることもあれば、共闘することもあって、物語のバランスを保つギアになっていると感じる。凛としている久保田、涙もろいが決して学校を辞めなかった中山。ふたりのコントラストがはっきりしていて、コンビ感も心地良い。
 
 寅子が明律大学に入って以降、苦しくても先を歩んで道を示してくれているふたり。今後、寅子と共に久保田と中山も弁護士になる未来を期待してしまう。そこでまた寅子の先を歩いて彼女を引っ張ってほしい。そして弁護士としても活躍してほしい。彼女たちの“諦めない心”は、きっと寅子にも、視聴者にとっても一筋の希望になるから。
(文=浜瀬将樹)

 
   

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