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ももクロは「生涯現役」 “アイドル”貫くメンバーの魅力を再確認「ももいろクローバーZ~アイドルの向こう側~<特別上映版>」

WEBザテレビジョン

アイドルグループ・ももいろクローバーZのドキュメンタリー映画「ももいろクローバーZ~アイドルの向こう側~<特別上映版>」がLeminoにて配信スタートした。百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れに。結成当時は10代前半だったメンバーもすっかり大人の女性に成長したが、今も変わらずアイドルシーン最前線での活躍を続けている。彼女たちはこの先のグループにどんな未来を見ているのか。年齢、恋愛、結婚についても語る「アイドルの向こう側」。本記事ではそこに見えた稀有なアイドル、ももいろクローバーZの姿を伝えていきたい。

■ドキュメンタリーの十八番を外した異色のドキュメンタリー

本作はドキュメンタリー映画ブランド「TBS DOCS」がももいろクローバーZ(以下、ももクロ)に密着し、制作したドキュメンタリー映画になる。2022年3月の「TBS ドキュメンタリー映画祭 2022」で限定上映された映像に、新バージョンとして映画祭版には入りきらなかったインタビューや、新たに撮影された追加映像を収めた特別上映版となっている。

タレントやアイドルのドキュメンタリーというと、華やかな表舞台の裏側にある努力や葛藤、競争といった部分にフォーカスされることが多いものだ。そうした映像は興味深く、たしかに感情移入も高まっていく。しかしその一方で、観ていてどこか胸が締め付けられる場面もやってくる。ステージや活動の舞台裏を知りたいと思うのはファン心理の必然と言え、見せる側も期待に応えている部分は少なからずあるだろう。

そうした手法をドキュメンタリーの十八番とするならば、ももクロのドキュメンタリーはかなり毛色が違うものだ。なにしろ約2時間の映像の中で、メンバーたちが沈んだ表情を見せることは全くないからだ。内容としては主にソロインタビュー、座談会でそれぞれの胸の内を聞き出すというものだが、受け答えの中で苦しさを吐露したり、苦悩や嫉妬をさらけ出すという場面は一度もやってこない。正確にはないというよりも、それらの話題になっても自然体で、真摯に答えながらもつねに笑顔を忘れない彼女たちがそこにいる。

本作の公開会見時、佐々木はメンバーたちが普段からカメラの前でも素でいることから、「モノノフ(ももクロのファン)の皆さんは私たちのことをよく分かってくれちゃっているから、これ以上みんなの知らない面というか、新しい面が見せられるか不安だった」と気持ちを明かしている。逆に捉えれば、メンバーはファンの前で、ファンが求めるももクロでいるときも。そこを離れ、ももクロでいなくていいときも。彼女たちに境界線はなく、ももクロでいることが素の彼女たちなのかもしれない。

ももクロは、見て楽しむ以上に、見れば元気をくれるアイドルだと言われている。その魅力はこんなところから来ているのだろう。本作は彼女たちの長年のファンであってもそれを再確認できるドキュメンタリー映像であると思う。


■“生涯現役”ももクロが進むアイドルの向こう側

2008年5月17日に結成したももいろクローバーZ(2011年に「ももいろクローバー」から改名)は、2024年で活動17年目に突入。デビュー当時は小さかった彼女たちも、あと幾年かで全員が30歳を迎える。

10代から20代が女性アイドルの適齢期と言われている現在で、全員が30代という女性アイドルグループはなかなか例のない存在だ。トップアイドルともなれば、なおさらのことになる。これまではアイドルを卒業してアーティストに転向するか(アイドルとアーティストの境界線はまた別の話だが)、俳優業やモデル業などにシフトしていくのがつねだった。そんな風潮にあって、ももクロはスタンスを変えることなく、アイドルでいることをずっと貫いている。

「アイドル(芸能界)を止めたいと思ったことは?」
「どんな30代になりたい?」
「将来、結婚したい願望は?」
「グループの将来像について。5年後、10年後の姿は?」
「あなたにとってファンとはどういう存在ですか?」

こうした質問を投げかけられる中、メンバーたちは30歳を目前にした心境、恋愛、結婚についても赤裸々に語り合っている。折しも、先日には百田の結婚報告がされたこともある。2年前の当時と今をつなげて見て、彼女たちの考えと目指す場所を知れるのも本作の価値あるところだろう。

ももクロの育ての親であるチーフマネージャーの川上アキラ、ライブや出演バラエティー番組を演出する佐々木敦規、ヴォイスメイキングディレクターの岡田実音、振付を担当するAnnna Unoki、出演映画・舞台を演出する本広克行、共演が多いお笑い芸人の永野たちが語るももクロの魅力も共感できるものであり、新鮮な視点も含まれている。

人生の半分を超えた彼女たちももクロのストーリーは、この先どこまで続いていくのか。「アイドルの向こう側」はももクロファンにとっては必見の作品だが、アイドルに興味がない人にも彼女たちが語る夢への挑戦は胸に響くもの。アイドルのすごさに触れられるものでもある。これから観る人もいることからネタバレはこのひと言だけに留めておくが、4人が共通して答えているのは、「生涯現役。結婚しても、40歳になっても、ももクロを続けていきたい」という気持ちだった。

◆文=鈴木康道
 
   

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