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平野紫耀&神宮寺勇太&岸優太、“美しい3分間”で浮き彫りにしたNumber_iの表現力 ダンスで魅せる繊細さ

Real Sound

Number_i(ⒸTOBE Co., Ltd.)

 Number_iが、4月20日に「Blow Your Cover」のダンスパフォーマンスMVを公開した。前作の「GOAT」と同様に、ダンスパフォーマンスにフォーカスしたMVである。

(関連:【映像あり】「Blow Your Cover」ダンスのメンバー構成も重要なポイント?

 「GOAT」のダンスMVでは、“和”を意識した華やかなセットや小物の演出も見られた。一方、今作は歌詞の〈淡い月明かり〉を表すような薄暗い照明に、先に公開されたストーリー基軸によるMVの世界観を引き継ぐようなセット。シンプルだからこそ、より彼らのパフォーマンスに惹き込まれる。

 3人横一列で始まり、最初のメインパートを担う神宮寺勇太は、優しさと力強さを共存させたパフォーマンス。ちょっとした指の動きや視線にも気を配り、全身で自然と感情を表現できるのは彼の持ち味だと思う。フォーメーションを変えながら、冒頭45秒頃からは岸優太のメインパートへ。この部分に限らずだが、岸は関節一つひとつの使い方がなめらか。彼のしなやかな動きがこの曲によく合っていると感じる。

 〈消えないほど Kissした〉で手の甲に口づけしたり、サビの〈Baby now Blow your cover〉での誘うような仕草だったり、歌詞をなぞっていく振り付けも曲の世界観を深めるポイントだろう。終盤の見せ場である平野紫耀のターンでは、まったく軸がブレない体幹のよさに驚かされる。その燃え上がる感情を露わにするかのような激しい動きののち、再び3人の動きが一緒になり、映像は幕を閉じる。ここまでが3分間のワンカット。ひとりずつ個性がありながらも、統一感のある3人のダンスパフォーマンスについ見入ってしまう作品である。

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 「Blow Your Cover」の振り付けは、以前にも彼らの作品に携わったことがあるs**t kingzのNOPPOが担当している。NOPPOは振り付けについて、「曲を聴いた時に、心の内に悶え苦しんでいる自分を隠しながらパフォーマンスしているような3人が浮かび、そこをしっかり表現できるように意識しました」とコメントしていた(※1)。その言葉通り、今回のダンスは楽曲自体に込められた切なさや儚さが表現されているように思う。

 前作の「GOAT」は、曲調も相まって、激しい展開とダイナミックな動きで圧倒していくダンスだった。一方、メロウなR&B調のバラードである「Blow Your Cover」は、細かな緩急はありつつも、全体的には淡々と進んでいく印象を受ける。そして、神宮寺の後ろで平野と岸が床を使った振りをこなしていたり、平野の隣で岸と神宮寺がターンを決めていたりと、その時にメインではないふたりのメンバーの動きに目を引くパートが盛り込まれている。曲全体を通して、休む隙が一切ないのだ。こうして静かに延々と流れ続けるようなパフォーマンスが、胸の内に秘めながらも止められない感情を表しているようにも感じられる。

 「Blow Your Cover」のようなゆったりとした曲なら、あえて踊らない選択肢もあったかもしれない。しかし、ダンスがあるからこそ、曲中で歌われている抑えきれない恋心が視覚的にも伝わってくる。〈もうちょっと冷静にはなれそうにない〉〈儚いほどまた溢れだす〉気持ちが、ダンスで見事に表現されているように思う。

 ダンスも楽曲の世界観を表現する大事な要素である。「Blow Your Cover」は曲とダンス、両方が合わさって深みを増す作品だと言えるだろう。そして、今回のダンスMVで、どんなジャンルも踊りこなす彼らのダンススキルと表現力の高さをあらためて感じさせられる。繊細なパフォーマンスに惹きこまれる、ただただ美しい3分間である。

※1:https://realsound.jp/2024/04/post-1629804.html

(文=かなざわまゆ)

 
   

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