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『ゴジラ×コング』鈍い出足で初登場2位 広がるレジェンダリー・ゴジラの内外差

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『ゴジラxコング 新たなる帝国』©2024 Legendary and Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

 ゴールデンウィークに突入した4月最終週の動員ランキングは、『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』が週末3日間で動員94万人、興収13億5500万円をあげて、3週連続で1位。4月29日までの18日間の動員は644万9200人、興収は92億9100万円と、早くも100億円の大台にリーチをかけている。6位の『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』も公開から74日間の時点で動員698万7600人、興収99億9400万円。5月1日には配給元の東宝から、今年公開された作品としては初めて興収100億円を突破したことが発表された。

参考:『ゴジラxコング』はアメリカンプロレスの怪獣版だ! 言葉を喋らないのに理解できる驚き

 相変わらず景気のいい話は国内アニメーション作品の周辺ばかりだが、先週末2位に初登場したのはレジェンダリー・ピクチャーズのモンスター・ヴァース最新作『ゴジラ×コング 新たなる帝国』。オープニング3日間の動員は30万6000人、興収4億6700万円。この数字は、興収19億円を記録した2021年7月公開、同じアダム・ウィンガード監督のモンスター・ヴァース前作『ゴジラvsコング』の同期間の興収比で75%。さらにもう一つ前の、興収28.4億円を記録した2019年5月公開の『ゴジラ キング・オブ・モンスターズ』の同期間の興収比で57%。2021年7月の『ゴジラvsコング』の公開時はまだコロナ禍ということもあって、それも少なからず興収に影響したとの推測も可能だったが、今回の『ゴジラ×コング 新たなる帝国』の鈍い出足で、モンスター・ヴァース・フランチャイズがこの5年間、ゴジラのオリジン国である日本において確実に失速し続けていることが露になってしまった。

 というのも、今回の『ゴジラ×コング 新たなる帝国』、世界興収では公開中の現時点で早くも『ゴジラvsコング』を11%上回っていて、特に北米では前作比180%と前作の2倍近くの興収を記録しているのだ。その背景には、北米でもスマッシュヒットした『ゴジラ-1.0』によるゴジラのリブランディングがうまくいっていることも挙げられるだろうが、既に『ゴジラ×コング 新たなる帝国』は北米マーケットではその『ゴジラ-1.0』の3倍以上、全世界マーケットでは5倍近くの興収をあげている(物語の設定上、中国では『ゴジラ-1.0』が未公開であることは差し引く必要があるが)。

 一方、日本で約半年に及ぶロングランが続いている『ゴジラ-1.0』は、4月末の時点で興収75億円超えと、2016年公開の『シン・ゴジラ』が記録した82.5億円というシリーズ最高興収とほぼ並ぶところまで数字を積み上げてきた。ここにきて東宝ゴジラとレジェンダリー・ゴジラの興収が見過ごせないほど大きなギャップを見せるようになったのには、レジェンダリー・ゴジラの作品の出来そのものの不甲斐なさだけでなく、国内映画興行における外国映画の深刻な不振も大きく影響しているのだろう。

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(文=宇野維正)

 
   

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