被告人「はい」
弁護人「使って、どんな悪いことありました?」
被告人「タンとか咳が出やすくなって、体に悪いんだなと」
弁護人「あと仕事にも影響あるんじゃないですか?」
被告人「そうですね。物凄く反省しまして、2度としないと誓います」
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こうして大麻リキッドを使った後のデメリットと再犯しないことを約束して弁護人からの質問は終了。続いて、検察官の質問です。
検察官「いつから使ってたんですか?」
被告人「2年くらい前です」
検察官「頻度は?」
被告人「月に3~4回です」
検察官「自宅にあったリキッド10本は使いかけの残りですよね?」
被告人「そうです」
検察官「大麻以外の使用経験はあるんですか?」
被告人「ありません」
2年間、週1のペースで使ってたようです。もっと依存度の高いハードドラッグに移行しなかったのは幸いですが、2年間も継続しているんだから「簡単にやめられるのだろうか?」という疑問はありますね。スマホの中に入っている売人の連絡先も消去して2度と手を出さないと約束していました。最後は裁判官から。
裁判官「大麻を始めたきっかけがよく分からなかったんですけど? コロナがどういう事なんですか?」
被告人「コロナで仕事が無くなって、時間が出来たので…」
エンタメ関係はコロナ禍で打撃を受けた業界のひとつ。人が密集する映画館では、営業休止や座席の間引きなどの対策が取られました。被告人は仕事が減って時間に余裕が出来て、大麻リキッドに興味を持ってしまったということのようです。
裁判官「情状証人とか嘆願書とか何もないですけど、今回のこの逮捕を知ってる人はいるんですか?」
被告人「おります」
裁判官「それは家族とか?」
被告人「いや、知人です。先輩になります」
裁判官「それって、もちろん大麻をやるとなったら止めてくれる人ですよね?」
被告人「そうです」
と、大麻仲間ではない先輩が指導監督をしてくれると述べて被告人質問は終了です。この後検察官の論告求刑。大麻リキッドは大麻成分を抽出して濃縮した液体なので、このグラム数でも少なくないとして懲役8月と大麻リキッド1本没収を求刑しました。
そして1週間後の4月23日、判決が言い渡されました。結果は、懲役8月執行猶予3年と大麻リキッド1本没収というもの。初犯という事もあり、刑務所に行く必要はないという判決でした。コロナも落ち着いた事だし、本職の映画の方に専念してもらいたいですね。
それにしても、起訴したのが大麻リキッド1本だから仕方ないけど、被告人の自宅には後9本の大麻リキッドがあるんですよね。そっちは没収しなくてもいいのかという心配が。
阿曽山大噴火(あそざん・だいふんか)
大川興業所属のお笑い芸人であり、裁判所に定期券で通う、裁判傍聴のプロ。裁判ウォッチャーとして、テレビ、ラジオのレギュラーや、雑誌、ウェブサイトでの連載多数。