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2500年前のイリュリア人のヘルメットがクロアチアで発掘される

カラパイア


 東ヨーロッパ、クロアチアのアドリア海沿岸で、紀元前6世紀にさかのぼる、イリュリア人のヘルメットが発見された。

 現場はザコトラック村近くにあるゴミル遺跡で、ここで見つかったふたつ目のヘルメットになった。この発見は、この地域で勢力を拡大していった古代ギリシャ人との関係性や、イリュリア人の武具や儀式習慣について新たな事実を提供してくれることだろう。

古代イリュリア人の戦士の文化

 このヘルメット(兜)は、ゴミル遺跡の埋葬塚のそばの石積みの建造物から見つかった。奉納されたものと思われ、古代イリュリア人の武勇を反映し、その複雑な社会構造や信仰を示していると考えられる。

 イリュリア人は、バルカン半島の西部、現在のアルバニアやクロアチアの一部やイタリア半島沿岸南東部に住んでいた民族で、その起源は紀元前1000年頃ともされる。

 最初に見つかったヘルメットとともに出てきた鉄の武器など副葬品は、エリート戦士のものだったことを示していて、かつてのコミュニティ内での彼らの地位を強調している。

新たに見つかった2500年前のイリュリア人のヘルメット / image credit:Dubrovnik Museums

 この発掘は、2020年から続くドゥブロヴニク博物館、コルチュラ市立博物館、ドレンジスキ博物館の共同の取り組みで、ドゥブロヴニク博物館の考古学者、ドマゴイ・ペルキッチ博士の主導で行われている。

 このヘルメットと遺跡全体は、血なまぐさい権力闘争がアテネを襲った時代の古代ギリシャ社会の階層構造に関する秘密を明らかにする可能性があるという。

Grčko-ilirska kaciga 2024. // Graeco-Illyrian helmet 2024.

ゴミル遺跡は古代の宝の宝庫

 また他にも、15個の青銅や銀の留め針、らせん状の青銅の宝飾品、青銅のピンセット、針、おびただしい数のガラスや琥珀ビーズが見つかった。

 青銅の頭冠やアッティカ(ギリシャのアテネ周辺を指す地域名)やイタリアの有名な工房で作られたと思われる30以上のギリシャ風の器は、当時の文化・交易ネットワークがいかに広範だったかを示している。

 こうした発見は歴史的価値はもちろん、ギリシャとイリュリア文明との相互作用という点においても重要だ。

 出土品の技術レベルの高さや相互の影響は、古代ヨーロッパの力の変遷を理解する上で重要であることがうかがえる。

 このヘルメットの年代は暫定的なものだが、正確にわかれば古代ギリシャが数百年にわたってクロアチアに拠点を置いていた証拠が明らかとなるだろう。

 さらに発掘が進めば、古代ヨーロッパの複雑なパズルをつなぎ合わせていくことができるかもしれない。

References:Na Pelješcu pronađena još jedna grčko-ilirska kaciga • Dubrovački muzeji / 2,500-Year-Old Greek-Illyrian Helmet Discovered in Croatia / Ancient Greek Gladiator-Style Helmet Unearthed in Croatia / written by konohazuku / edited by / parumo

 
   

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