“サイコ”の異名を持つ平成ノブシコブシ・徳井健太が、世の中のあらゆる事象を生温かい目で見通す連載企画「徳井健太の菩薩目線」。第204回目は、スターの副産物について、独自の梵鐘を鳴らす――。
日頃、どれくらい想像力を働かせています?
想像力って自分の知っている世界だけでは、なかなか育たないと思うんです。そんなことを痛感したお話。
番組収録で、海外のある動画を見る機会があった。美容室での一幕で、美容師さんがお客さんである女性の髪の毛をカットしている。女性客はスマホに夢中になっていて、髪が切られていく工程に関心がないようだった。そんな雰囲気を察してか、美容師さんもテレビを見ながらカットをする……いかにも海外らしいアバウトな仕事風景を映した動画だった。次の瞬間、
ジャキン。
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テレビに注視するあまり、美容師さんはカットする箇所を間違え、女性客のロングヘアをバッサリ。慌てる美容師さん。だけど、スマホに夢中の女性客は、そんなアクシデントに気が付かない。“ながら”の恐ろしさが、これでもかってくらい押し寄せる。そして、美容師さんはそっとポケットにミスした髪の毛をしまう――。
なんとも間抜けな動画で、スタジオにいる出演者は「おいおい」なんて言いながら笑っていた。
ところが、一人のアイドルさんが「キモい」という感想をこぼした。僕は、その感覚が分からず、「どうしてそう思うの?」と尋ねた。
「髪の毛を持って帰られるかもしれないんですよ。キモいじゃないですか?」
なるほど。たしかに。「じゃあ、髪の毛を間違って切られるのは大丈夫なの?」と追質問すると、彼女は「それは大丈夫です」とにべもなく答えた。
想像力は働かせるためにある。人が歩んできた道は、本当に人それぞれ。