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【高校野球】公立勢唯一勝ち残りの横浜清陵は準々決勝敗退で涙 目標はあくまで「甲子園勝利」

週刊ベースボールONLINE

1点差での惜敗



横浜清陵高は無念の準々決勝敗退。合言葉は「甲子園で勝つこと」[写真=田中慎一郎]

【4月27日】
春季神奈川県大会準々決勝(保土ヶ谷)
向上高4-3横浜清陵高

 ベスト8進出。横浜清陵高は公立勢で唯一、勝ち残っていた。向上高との準々決勝は1点差での惜敗。3回裏に1点先制も、5回表に逆転された。しかし、その裏、すぐに追いつき、相手に流れを渡さない。8回表に勝ち越されるが、その裏、代打・高須琉瑚(3年)の適時打で3対3の同点とした。


9回表には右前に落ちそうな飛球を、8回裏の代走からそのまま守りに入った山本[背番号25]が好捕。高須とともに、今大会初出場の選手が力を出した[写真=田中慎一郎]

 接戦こそ、横浜清陵高ペースである。9回表は一死三塁で、右前に落ちそうな打球を途中出場の二塁手・山本康太(2年)が好捕。誰が出場しても実力を発揮する、ベンチ入り25人の総合力、準備力の高さを見せた。横浜清陵高はピンチを脱したかと思われたが、次打者の三ゴロが一塁悪送球となり、これが決勝点。3対4。あと一歩、及ばなかった。

 私学強豪校がひしめく激戦区・神奈川で見事な戦いぶりを見せた。3回戦では横浜創学館高、4回戦では三浦学苑高と有力校を撃破し、第2シードを獲得。準々決勝も善戦し、周囲は「大健闘」と見るが、現場の熱量はまったく違った。「8強」の達成感を求められると、野原慎太郎監督は言葉を選んで言った。

「(達成感は)あまり……。毎週ある試合に向けて集中していこう、と。先を見てやっていない。今、思うことは今日、勝ちたかった」

 取材対応した主将・坪井優和(3年)は「実力不足で、個々の力が足りなかった。一つのエラーで、勝敗が決まる。攻守にわたり、一発目にこだわって取り組んでいきたい。自分たちは勝つ前提で試合に入ったので悔しいです」と、大粒の涙を流した。


1点を追う8回裏、代打・高須の適時打で3対3の同点に。初球を狙い打ったのも、常日頃からの準備の賜物だ[写真=田中慎一郎]

 ここが、到達点ではない。野原監督同様、選手の思いも一緒である。左腕・二野宮遥(3年)も取材スペースで号泣していた。3回戦で4失点完投し、4回戦では先発・堀内拓哉の8回無失点を受けて、ラスト1イニングを好救援。準々決勝は5回途中から堀江をリリーフし、力投を続けたが、最後に力尽きた。

「目標はもっと上にあるので……。夏の負けと同じように、悔しいです。甲子園で勝つこと。これは、変わりません」(二野宮)

 昨秋は県大会3回戦敗退。一冬を越えた成長を、野原監督は「能動的になった。2月から『自治』をテーマに掲げてきた。自分たちのチームとして(ゲームの中で)、配球面でもこちらを見ず、自らで考えられるようになった。夏のようなゲームを、春に経験できた」と完成度の充実ぶりを語ったが、もちろん、満足はしていない。「個の力の差を感じた」と、反省点を上げた。組織力を根底にしたチームワークは、どこにも負けない。全部員で課題と向き合い、克服に努めれば、さらなるチーム力アップが期待できる。

 神奈川の県立校の夏の甲子園出場は、1951年の希望ケ丘高が最後。合言葉は「甲子園で勝つこと」。多くの部員が流した涙を糧に、横浜清陵高は新たなステージへと挑戦する。

文=岡本朋祐
 
   

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