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『東京タワー』“危険信号”を放つ永瀬廉に釘付け 『厨房のありす』との振り幅も魅力に

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『東京タワー』©︎テレビ朝日

 4月20日からテレビ朝日系でスタートした『東京タワー』。1話30分という短い時間、まだ導入部分も多い第1話だというのに、主演の永瀬廉(King & Prince)の演技にとにかく引き込まれてしまった。

参考:『東京タワー』永瀬廉&松田元太が見上げる先には? “禁断の恋”に落ちていく2人の青年

 本作は、直木賞作家・江國香織による同名恋愛小説をドラマ化したラブストーリー。永瀬が演じるのは、医大に通う21歳の青年・小島透。透は20歳以上年の離れた建築家・浅野詩史(板谷由夏)と恋に落ちていく。しかし詩史には夫がおり、透は許されざる恋に身をこがしていくことになる。

 透はどこか世界を斜に構えて見ていた。それは、年下彼氏と昼間からいちゃつく母親の影響かもしれないし、透自身が医学部に通えるほど賢く、頭の回転が早いからかもしれない。なんにせよ、透は予定調和で予測のついてしまう世界に飽き飽きしていた。そんな姿を永瀬はローテンションかつ、目に光のないぼんやりした顔で表現してみせた。

 だからこそ、詩史に出会ってからの透の変化がわかりやすい。「東京タワーって何だかとても寂しそうじゃない?」と自分が心の内で思っていたことを詩史はさらりと言葉にしたのだ。誰とも分かち合えないと思っていたことをわかってくれる人がいる。それはとても救われることだ。きっと透は詩史と出会ったことで、それを初めて感じたのではないだろうか。この出会いによって、透の心は大きく揺り動かされていく。

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 『厨房のありす』(2024年/日本テレビ系)でも永瀬は恋する男子・倖生を演じていた。倖生の無愛想で近寄りがたいところは透と共通しているといえるだろう。一方で、その生い立ちや、他人から誤解されてしまった経験が災いして、倖生は透とは異なり、いつも自分を卑下してしまうところがあった。だから、倖生はありすに恋をしても「自分なんかが好きになったら迷惑だ」というような思いを打ち消すことができないでいたよう。でも、ありすはそんなことはお構いなしに「倖生さんが好きです!」とストレートに思いを伝えてきた。とびきりの純粋さが倖生の心の壁を壊したのだ。そして倖生はいつしか「ありすをそばで守りたい」と思うようになった。

 健気に恋をしていた倖生と比べると、『東京タワー』の透の姿は“沼っている”のではないだろうか。詩史と出会ってから透は詩史のことしか考えられなくなっている。「なんでも自分で決めるんだ」「提案じゃない、決定なんだ」。透は友人の大原耕二(松田元太)に詩史のそういうところを「すごい」と言ったけれど、詩史は職業的にもそういうことをしてこなければならなかった人で、その「すごい」ところは当たり前といえば当たり前の能力なのだ。それに、透は気づいていないかもしれないが、前回のバイトより明らかに饒舌になっている。これは“ヤバいやつ”だ。そう思ってハラハラするのに、ズブズブと“沼っていく”透から目が離せない。

 もっと、危なっかしくて脆くて儚い永瀬の演技を見てみたい。これが不謹慎なことはわかっているが、そんな欲求にどうにも抗えそうにない。
(文=リアルサウンド編集部)

 
   

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