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『ミッシング』吉田恵輔監督、石原さとみの印象に変化 「自分の作品とは合わない」→気付いたらファンに

クランクイン!

 出産後1年9ヵ月ぶりの芝居に臨んだ石原さとみが主演を務め、 『空白』『愛しのアイリーン』『ヒメアノ〜ル』の吉田恵輔がオリジナル脚本でメガホンをとった映画『ミッシング』が5月17日に公開される。石原が演じるのは、ある日突然いなくなった幼い娘の帰りを懸命に待ち望みながらも、自分たちの力ではどうにもできない現実との間でもがき苦しみ、事件をめぐるマスコミと世間の声に翻弄される母親・沙織里。監督の吉田は、石原の当初の印象について「華がありすぎて自分の作品とは合わない」と感じていたそうだが、撮影を重ねるうちに、気が付いたら石原のファンになっていたという。本稿では石原のみならず吉田にとっても非常に挑戦的となった撮影現場の様子に迫る。

 石原が演じる沙織里は、怒りや苦しみなどの感情を露わにする場面が多いキャラクター。そのため吉田はクランクインの日から、場面ごとの沙織里の感情レベルを丁寧に調整していった。しかし、初日に石原が演じてみての感触は「分からない」だったそう。終始浮かない様子の石原に「俺も分からないから。みんなで探しながらやろう」と、共闘ともいえる撮影が始まった。

 吉田自身が、撮影の中でも勝負どころになるだろうと想定していた、沙織里がカメラの前でインタビューを受けるシーンでは、「今のだと感情を作っているように見える可能性もある」「今度は若干興奮しすぎだったかも。もう少し柔らかさを取り戻して」「ひとつ前の空気感がよかった」などと、カットをかけるたびに石原のそばへ行き、一回一回言葉を尽くして、辛抱強くテイクを重ねていったという。芝居が固まる前の自然なドキュメンタリー感を好み、早撮りを得意とする吉田のこれまでの現場では滅多に見られなかった光景だというが、吉田の中では、寄り添うという、覚悟が決まっていたのだった。

 現場での石原について、吉田が持っていた印象は、なんと“動物”! 同じことは2度出できず、「伝えたことに対して、分かりましたと言いながら、次のテイクでは全然違うものを出してくる」とことだが、予測不能さに当初は戸惑いつつも、それを面白いと思いOKになったシーンも多くあったという。

 特にそう感じたというのが、後半のあるシーン。感情の調整が定まらずリテイクを重ねる中、「悩んだ結果、正解を見失って、何かを降ろしてきたんだろうなと」と振り返るくらい、石原の演技は吉田が全く想定していなかったものだった。「演技とは思えなかった。あれは石原さんにしかできないことでした」と予想を鮮やかに裏切ったアプローチに、怖かったけれど、と前置きしつつ、思わずOKを出したと明かした。

 全く予測できないアプローチでぶつかってくる石原の演技について「クランクインして一週間くらいは、大変だなという気持ちが強かった」と正直な思いを語るが、「自分の思い描いていた通りの芝居だったら、安心はするけど、一回観た映画をもう一回観ている感覚。でも今回は目の前で起きていることを生でぶつけられる感じがして、それにものすごく心を揺さぶられた。」といい、現場でよく涙していたという。

 そんな、心揺さぶられる撮影を重ねるうちに、気が付いたら(石原の)ファンになっていたというから、まさに、吉田にとっても、新しい世界が開いた作品だったといえる。「僕にとっても幸せな現場だったし、一ファンとして、これからも色んなことに挑戦して欲しい。これまではキャラものとかCM的な美しさを主に求められてきたかもしれないけど、石原さとみって本物だったんだ、と世の中がそのポテンシャルに気づいてくれたら嬉しいです」と、共闘した俳優へ惜しみないエールを贈った。

※吉田恵輔の「吉」は「つちよし」が正式表記

 映画『ミッシング』は、5月17日より全国公開。
 
   

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