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【エンタメ】福岡にガールズ演劇のムーブメントを

ファンファン福岡

 福岡に新たな演劇シーンを起こしたい―アーティストのマネジメントや舞台やイベントの企画制作を行うエンターアーツプロモーション(東京)と演劇プロデュース団体のアリスインプロジェクト(同)がこのほど、福岡市でガールズ演劇プロジェクト「GIRLS TIME TO ACT FUKUOKA(ガールズ タイム トゥー アクト フクオカ)」を立ち上げました。女性アイドル・タレントが俳優業へステップアップする登竜門として定着を目指す同プロジェクトの「VOL.1」と銘打って4月26日(金)から29日(月・祝)まで福岡市美術館ミュージアムホール(福岡市中央区)で「ダンスライン」を上演します。コロナ禍で停滞したエンターテインメントの本格的再起動と、これまで次への挑戦を迷っていた女性アイドル・タレントたちに決起を促す意味をプロジェクト名に込めています。プロデューサーを務めるのは、「おたく代表」を自任し「おたくのための、おたくが求める演劇」を目指す鈴木正博さん(アリスインプロジェクト)と俳優経験を生かし「あくまでも直球勝負の本物の舞台」作りを目指すchelu(チェル)さん(エンターアーツプロモーション)。共同作業による化学反応も十分に期待できるタイプが違うお二人に今回の舞台やプロジェクトにかける意気込みなどを聞きました。

インバウンドのおたくの受け皿になる可能性

「ダンスライン」(過去の公演から)  提供:アリスインプロジェクト

―今回のプロジェクト立ち上げのきっかけは。

鈴木 2010年に東京でアリスインプロジェクトを立ち上げて以来、アイドルたちが出演するガールズ演劇を数多く上演してきました。東京では多くの座組ができ、一定程度定着したと思います。他の地域でもガールズ演劇を盛り上げたいと思っていたところ昨年、演出家の松多壱岱(まつだ・いちだい)さんに東京や福岡で活動するcheluさんを紹介してもらいました。

chelu 元々、福岡を拠点に歌手と俳優の活動をしていましたが、2020年から俳優活動と並行して演劇のプロデュースも始めていました。今まで携わってきた作品とは異なるジャンルだったので自分の経験とアリスインプロジェクトの作品のセッションで面白いことができるのではないかと思いました。

提供:アリスインプロジェクト

―なぜ福岡だったのか。

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鈴木 アニメやマンガの世界を人間が演じる「2.5次元」人気の後押しもあり東京では多くの座組ができました。しかし東京以外では「ガールズ」に特化したファンやおたくが見るべき演劇は少ないです。一方でご当地アイドルや「ゆるキャラ」、コスプレなどのサブカルチャーは東京以外でも定着しています。アイドルが成長していく次のステップとしての俳優をどこで拡大再生産していくかを考えたときに、体制がしっかりしたご当地アイドルやライブアイドル、芸能事務所や劇団が多く、お祭り文化もある福岡で地に足をつけて頑張れば、それらをまとめ上げることでライブエンターテインメントの新たな可能性が見いだせるのではないかと思いました。また福岡はアジア圏からのインバウンドが多いのも特徴です。今、日本のアイドルやおたくの文化はSNSなどを通じてアジア圏を中心に世界に広がっています。家族で福岡や九州に旅行に来た海外の若者たちが楽しめる場をどう用意するかも課題だと思います。東京であれば秋葉原などの受け皿があります。そういう世界の「おたく」の若者をターゲットにガールズ演劇などのライブエンターテインメントを展開する余地も福岡にはあると思います。

足を上げる高さがバロメーター

稽古風景から  提供:GIRLS TIME TO ACT FUKUOKA

―今回の舞台の魅力や見どころは。

鈴木 私自身がおたくです。だからおたくが見たいものをいっぱいに詰め込んでいるのが魅力です。自分がいいと思ったものをそれがいいと思っている同じマーケットにいる人たちに向かって「みんな、こういうのが好きでしょ」という要素を「これでもか」と盛り込んで売り込んでいます。趣味の世界を突き進んでいると言っていいと思います。アイドルのファンが喜ぶ座組や脚本とはどういうものなのか、客席からの視点で考えています。とはいえ、「所詮はアイドル劇なんでしょ」と言われるようではアイドルたちのステップアップにはつながりません。ですから演劇界で演技や演出をちゃんとやってきている人に演出はお願いします。アイドルの学芸会ではなく演劇としてきちんと筋が通ったものにすることで、アイドルたちが演劇表現を身につけることができる俳優への「登竜門」として公演を作っています。また役柄が等身大であることも心がけています。不似合いな老け役をさせることも、口汚く罵るような台詞もありません。舞台の上で「推し」が見せる新たな一面を楽しむこともできます。

撮影:重村誠志

chelu 演者に女性しかいない、というのが魅力だと思います。私は中高一貫の女子校出身です。女性だけで集まった時の団結力やチーム力の強さを経験してきました。個じゃない集団の女子は強い。今回はそれがいい方向に出るのではないでしょうか。私は演者出身なので、今回の演者にも役者としてのプロ意識を求めています。今回の演目ではラインダンスが一つの見せ場です。この作品はアリスインプロジェクトさんが東京と札幌でこれまで計3回上演してきた作品です。4回目の上演となる福岡ではラインダンスで過去一番高く足を上げることを演者に求めています。大切なのはプロ意識だと思っています。ラストシーンのダンスのクオリティーを上げる意識を持って公演までの1カ月の稽古期間で演者がどこまで自分を厳しく追い込んできたかがラインダンスでの足の高さに出てくると思います。クオリティーが上がれば客席の反応も変わります。演者にはそのハードルを越えてほしいです。どれだけ「あなたの推し」が頑張ったのかも見どころだと思います。また頑張った成果を楽しんでいただき、「推し」の魅力を再確認するだけではなく、新たに「推したい」と思える演者との出会いも楽しんでください。

ダイヤの原石のショーケース

「ダンスライン」(過去の公演から) 提供:アリスインプロジェクト

―観劇を迷っている人たちにメッセージを。

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