睡眠不足は、目の下にクマやしわを作る美容の大敵ばかりか、集中力散漫による勉強や仕事のパフォーマンス低下の原因といわれている。それ以上に、実年齢より老けて感じる要因になることが、スウェーデンの研究所の調査でわかった。2晩の睡眠不足が5歳も老けて感じさせるというのだ。
◆睡眠不足1日続くごとに、年齢0.23歳上昇
ひどい睡眠を2晩続けるだけで、5歳近くも年を取ったように感じるという研究結果が発表された。また、長期間にわたってひどい睡眠が続くと、よく眠れた場合よりも10歳も年を取ったように感じることもわかった。
スウェーデンのカロリンスカ研究所の心理学者らが、英国王立協会紀要に研究結果を発表した。
研究チームは18歳から70歳までの615人を対象に2つの研究を行った。
1回目の研究では、18歳から70歳までの429人を対象に、自分が何歳だと感じているか、過去30日間にどのくらい眠ったかというアンケート調査を実施した。
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その結果、睡眠不足だと報告した人は、実年齢より老けていると感じ、睡眠不足が1日続くごとに、主観年齢が平均0.23歳上がることがわかった。一方、30日間を通して十分な睡眠が取れていたと答えた人の主観年齢は、実年齢より平均5.81歳若かった。
睡眠がどの程度年を取っているかと感じる重要な指標であることを示す結果が出た。ストックホルムの同研究所の精神神経免疫学者で、この研究の筆頭著者であるレオニー・バルター博士は、「睡眠は主観的な年齢に大きな影響を及ぼします。長期的な睡眠パターンだけではないのです」と言う。「たった2晩眠りが少なくなっただけでも、自分の気持ちに大きな影響を与えるのです」(ガーディアン)
◆十分な睡眠が実年齢より4歳若く感じるカギ
被験者が老けたと感じる原因が本当に睡眠不足であるかどうかを確認するため、2回目の研究では、18歳から46歳の被験者186人を対象に、2週間にわたって、2晩連続で9時間ベッドで休息し睡眠をたっぷり取った後、4時間しか寝ない夜を2晩続け、何歳年を取ったと感じたかを調査した。
睡眠を制限された2晩の後、被験者らは十分な睡眠を取ったときと比べて、実年齢より平均4.44歳年を取ったと感じたと回答した。また、極度の睡眠不足を感じたと回答した人は、非常にはっきりと目覚めている状態の人と比べて、約10歳年を取ったと感じたこともわかった。
若さを感じること、つまり主観的な年齢は単なる認識の問題ではなく、実際には客観的な身体的・精神的健康状態、特にうつ病と関連している。バルター博士は「実年齢より若く感じる人は、健康で長生きすることがわかっています」(ニューサイエンティスト)、「若さを保ちたいのなら、睡眠を守ることが一番大切なのです」(ガーディアン)と指摘する。
バルター博士は、良い睡眠を維持するには、①できるだけ同じ時間に就寝・起床する、②特に朝の時間帯に日光を十分に浴びる、③定期的に運動する、④静かで暗い環境で就寝することが重要な要素になると述べる(iニュース)。
2024年4月23日