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カップ戦ファイナルで日本人対決が実現。上田綺世、小川航基、佐野航大。三者三様に悔しい思い【現地発】

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カップ戦ファイナルで日本人対決が実現。上田綺世、小川航基、佐野航大。三者三様に悔しい思い【現地発】(C)SOCCER DIGEST Web
 KNVBカップ決勝戦は、フェイエノールトが1-0でリードして、後半アディショナルタイム9分を迎えていた。

 NECは最後の力を振り絞って反撃しようとしたが、右SBペレイラのドリブルは、上田綺世の好守備に阻まれた。そのまま左サイドをドリブルで突破しようとした上田に向かって、NECの左SBフェルドンクがピッチを横切って猛追し、強烈なタックル。

 上田はピッチの上に倒されて、痛みに顔を歪ませた時、タイムアップの笛が鳴った。これでフェイエノールトは6年ぶり14度目のKNVBカップ戴冠だ。

 優勝が決まった瞬間を、上田は知らなかった。

「足が痛かったんです。ベンチにいた選手が(ピッチに)入ってくるまで、僕は試合が終わったのに気づかなかったので、タイトルを取った感覚とか、その瞬間っていうのは分かんないです。でも、僕としては(ゴールを)決めたかったなっていうのが大きいですね」

 ベンチスタートの上田がピッチに入ったのは76分。FWミンテが退場処分を受けた4分後だった。4-3-3から4-4-1にスイッチしたフェイエノールトは、前線に上田を一人残し、1点のリードを死守しようとした。

「自分がピッチに入るワンプレー前で1人退場しちゃって、言われていた戦術と違う内容になりました。僕自身、山ほど走んないといけなくて、めちゃくちゃキツかったですが、結果的に勝てて良かったと思います」
 
 GKやDFから放り込まれたロングボールの競り合いに全勝するなど、上田はクローザーの役目こそ果たしたものの、81分に迎えたGKとの1対1のビッグチャンスにシュートを枠内に飛ばすことができなかった。

 試合後、ピッチの上では仲間と抱き合い、ゴール裏のサポーターと喜びを分かち合った上田は「経験したことがなかったので、すごく新鮮な感じでした」と、その時の心境を振り返ったが、すでに笑顔は消えていた。

「やっぱり、ああいうのを決めていかないと。自分の存在価値を示すチャンスでしたし、チームももっと楽な試合展開にできましたし…。課題ですね。僕の仕事の本質は点を取ること。今日のチャンスは決めないといけなかった。なんで決められなかったのかも考えつつ、別に落ち込む必要もない。次に活かすし、練習するしかない」

 一方のNECは前半、フェイエノールト相手に互角以上に戦った。とりわけ両SBから縦パスをCF小川航基に入れる攻撃が徹底されていた。29分には小川のポストからMFシェリーが先制ゴールを決めたかに思われたが、惜しくもオフサイドの判定に泣いた。

 後半に入るとフェイエノールトが試合を支配し、なかなか小川にパスが届かなくなり、66分にベンチに下がった。この時点でNECは1点のビハインドを負っており、終盤のロングボール攻撃を見越して、彼をピッチに残しておくべきだったのではないだろうか…。 

「(交代に)僕も正直、フラストレーションはありましたし、少し納得できないところはありましたけど、 あの時間帯はどうしても流れが悪かった。監督としてはなにかガラリと変えたいなかで3枚替えをした。僕がもっと良いパフォーマンスを見せていれば、その交代はなかったのかもしれない。でも、『僕がもし出ていたら、もっとやれたのにな』っていう思いはやっぱりありましたね」

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 この大舞台で小川が感じたこととはなんだろうか?

「僕はまだまだ甘いなという印象ですね。今日はビッグクラブや、すごく良いクラブの人たちが見ているような大きな一戦だったと思います。選手の評価は、そういう1試合でガラリと変えることができます。こういうところで結果を残す選手が、どんどん上がっていく。今日の僕はそれができなかった。こういう試合で自分が点を決めて勝つこと、インパクトを残すことが、僕には必要でした」

 スタジアムを埋めた1万7500人のNECサポーターを見て、小川は「NECのサポーターって、こんなにいるんだ」と感じ入ったという。

「ナイメーヘンの町全体が盛り上がっていて、スーパーマーケットがクラブの旗で覆われていたり、この1週間、この決勝戦の重要さをひしひしと感じてました。そして、今日はみんながまとまってバスで来たり(注:160台)、あんなに応援に来てくれたのに『申し訳ないな』って、やっぱり思っちゃいましたね。でも悲観することはない。残りリーグ戦4試合。しっかり勝点を積み重ねて、サポーターと喜びを分かち合いたい」

 その心は、欧州カップ戦出場権獲得。現在オランダリーグ6位のNECは、カンファレンスリーグに進むチャンスを大きく残している。
 
 佐野航大はトップ下→右ウイング→ボランチ→左インサイドハーフと多機能ぶりを披露し、立ち上がりには小川のポストプレーから右足でミドルシュートを撃つシーンもあった。

「悔しい――それが、まず一番。結果もそうですけど、それ以上に自分のプレーが全然でした」

 とりわけ後半、フェイエノールトの勢いが増すと、佐野はフェイエノールトのMF勢(ティンバー、ステングス)やDFハンチュコ、ヘールトラウダとのデュエルに苦戦し、いつもならピタリと止まるはずのトラップも大きくなった。

「こういう舞台でできるのは数少ない人たちなので、この悔しい経験を次にどう活かすかっていうのは自分次第です。まだまだうまくならないといけないし、強くならなきゃいけないっていうのは、いつも以上に強く感じました」

 佐野がベンチに退いたのは87分。まさにNECが捨て身の反撃に出ようとした時間帯だった。

「自分が後半、ボランチに入ってからのプレーもそんなに良くなかった。それなら相手も10人だし、しっかりフレッシュな選手を入れたい、というチームの意図は分かります。あそこで自分がチョイスされたということは、そういうことなのかなと思います」

 KNVBカップの決勝戦という檜舞台で勝利したチームでプレーした上田も、負けた小川、佐野も三者三様に悔しい思いを残した。しかし、彼らのオランダでの挑戦は始まったばかり。伸びしろの大きな3人にとって糧となる試合になるはずだ。

取材・文●中田 徹

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