あくまで現役でありながら、後進を育てつつ自らの仕事をちゃんと面白がる……。理想的な50代の仕事のありようではないだろうか。現在37歳、仕事人生のおよそ1/3程度を消化したくらいの年齢である自分にとっては、この先ちゃんと達成感を得て、こんな理想的な形で仕事に関わることができるだろうか……という問いも湧いてくる。
だがしかし、そんなことを自分に問うている場合ではない。なぜなら、「達成感」を得るためのノウハウ、いかにしてTAJIRI選手がそれを得たかについては、本書の中にしっかりみっちり書かれているからだ。余さず読んで、読んだら自分の仕事にフィードバックして、よりよい仕事とは何かを考えながら働いて、満足のいく生活を送るのみ。読めば「プロの仕事」についての知見、そしてプロレスの面白さが染み入る一冊。プロレスマニア以外の人にも、広くオススメしたい。
(文=しげる)