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『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』は見事な“再構成”に 凪目線で映る天才の不気味さ

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『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』©金城宗幸・三宮宏太・ノ村優介・講談社/「劇場版ブルーロック」製作委員会

 スポーツ観戦の面白さは、選手たちが織りなす人間ドラマにあると思っている。手に汗握るゲームの展開や臨場感はもちろんのこと、やはり「その選手のバックグランド」がわかると一気に試合の見え方が変わったりする。何を背負い、その選手がフィールドに立っているのか。選手たちの思いが絡み合い、時に衝突し、時に通じ合う。『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』は、そんな“選手たちの視点”が交差する、TVシリーズとはひと味違った輝きを放つ作品だ。

参考:『ブルロ』『呪術』『鬼滅』…… ED後も要注目な4作

 さらに、本作はこれまでの展開を丁寧に織り交ぜながら再構成されている。「TVシリーズを観ていないけれど楽しめるのか」と不安に思う観客でも、きっとブルーロックの世界に魅了されるはずだ。既存ファンにとっては選手の新たな一面を知ることができる機会に、未見勢にとっては“初めてのブルーロック”としても楽しめる、そんなバランスの良い劇場版として仕上がっている。

 無気力な高校生だった凪は、ワールドカップ優勝を夢見る同級生・御影玲王に才能を見出され、誘われるままサッカーを始める。そこで圧倒的なセンスを発揮し、ブルーロックプロジェクトから招待状を受け取ることに。ブルーロックで出会った潔世一、蜂楽廻、糸師凛など、全国から選りすぐられたストライカーたちとの切磋琢磨が、凪の才能に火をつけていく。その過程で、仲間との絆や自身の心境にどのような変化が訪れるのか……という、凪誠士郎の成長の軌跡を描いたのが『劇場版ブルーロック -EPISODE 凪-』だ。

 本作の大きな特徴は、TVシリーズの主人公である潔世一ではなく、凪誠士郎の視点から物語が紡がれることだ。このユニークな視点の変更により、TVシリーズとは少し違った印象を受けたファンも多いのではないか。

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 この印象の違いを作り上げているのが、映画のために再収録したキャストの演技だ。「AnimeJapan 2024」イベントのステージでは、潔役の浦和希が劇場版では「魔王のように」とディレクションを受けたことを明かした。これは凪から見た潔の姿を、より鮮烈に表現するためのアプローチだったそうだ。

 また、今回は凪が主役ということで、TVシリーズよりは登場シーンが限られているものの、海渡翼演じる蜂楽廻の存在感もより強く印象的に残る。味方から見れば心の支えになる存在だが、凪の視点では得体の知れない不気味さが際立っているからだ。このように徹底的に“凪から見た景色”を再現する、キャストの演技がとにかく素晴らしい。

 かくいう私も、そんな潔たちに触発されて覚醒する凪の心情描写に心を震わせた観客の一人だ。一見何を考えているのかわからない天才の頭の中を覗くように、凪から見ると「あのシーンはこう見えるのか」と、一度TVシリーズで観たストーリーのはずなのに新しい発見に胸が躍った。

 劇場版では、凪の相棒とも言える玲王の存在も光る。凪の才能を見抜き、自分のサッカーに不可欠だと考えた御影玲王は、凪を説得してサッカーを教え込む。凪が玲王に対して言う名台詞「最後まで一緒にいてよ」を大きなスクリーンで観られるだけでも、劇場に足を運ぶ価値があるのではないだろうか(ちなみにこのセリフは玲王を演じる内田雄馬が「お気に入り」と称している)。(※)さらに、劇場版本編のオリジナル要素としてエンドロール後にお楽しみがあるので、最後まで席を立たないことをおすすめしたい。

 また、その後の特典ミニアニメ「あでぃしょなる・たいむ!」の新作エピソードも見逃せない。ミニアニメ「あでぃしょなる・たいむ!」といえば、TVシリーズの本編終了後に、ブルーロックでの潔たちの日常をクスッと笑える形で描いてくれた癒しの時間でもある。劇場版でも、TVシリーズとは一味違ったキャラクターたちの姿を楽しめるだろう。

 現段階では4話のエピソードが週替わりに公開されることが明かされており、サボテン・チョキと凪との出会いを描く「凪のともだち」、玲王が親譲りの帝王学を駆使してチームVのリーダーにのし上がる「玲王の帝王学」、斬鉄のトレードマークであるメガネの秘密に迫る「斬鉄のメガネ」とチームVのファンにはたまらない内容となっている。4週目の情報は非公開なので、こちらの内容も気になるところ。

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