これまで「変わりたい」「結婚したい」と相談に来られた1000人以上の方々のうち、4割ぐらいが「一度もお付き合い経験がない女性」。そして筆者自身も20代まで、化粧もせず髪もボサボサの“完全なる非モテ”でした。一念発起して自分を変え、皆さんの“もったいないところ”をアドバイスしてきた経験から、恋愛・婚活に役立つリアルな情報をお届けします。
「モテる」には憧れず「沼らせたい」Z世代
筆者が恋愛や婚活に関わるようになって十数年ほどたちました。今のトレンドが「沼らせ」です。ハマって動けなくなることで、恋愛に限らず趣味などに夢中になることも「沼った」などといいますよね。恋愛の場合は、意中の相手を虜にするという意味で「沼らせたい」などと使います。沼らせテクニックは数年前なら「モテるためのテクニック」と呼んでいました。行為はだいたい同じことなのですが、今は「モテるためのテクニック」と言われても興味を持つ人は昭和生まればかりで、若い人にニーズはないのです。
「モテる」と「沼らせ」は対象が大きく異なり、モテるは万人向けですが、沼らせは特定の相手にだけ向けられるようなニュアンスです。
タイプの人にだけピンポイントでモテるのは無理
結婚するのはたった一人だし、恋愛は結婚する相手だけで良い。だから無駄にモテても仕方がない。そんな風に考える方も増えています。万人ウケして自分の好みでない人にまで好かれる必要は決してないと思いますが、とはいえ、20人から断られるような人は200人にアタックしても断られるのです。せめて10人中2人ぐらいには「いいな」と思ってもらえるぐらいにモテないと、結婚までたどり着けません。
要するに、今でもモテるための努力は必要なのです。結婚にはつながらない異性からは言い寄られず、タイプの人にだけピンポイントでモテるなんてあり得ません。でも、今は頑なにモテを拒む人が増えています。
「モテたいわけじゃないけど、結婚したい」22歳女性
3月に大学を卒業して4月に新社会人として金融機関で働く女性・陽葵さん(仮名)がご相談にやってきました。まだ22歳ですが、大手の結婚相談所の無料相談は学生時代に済ませています。これから婚活を始めたいけれど、どれがいいのかというご相談でした。今まで、男性と付き合った経験はないという彼女。でも、今の若い世代は大学時代にマッチングアプリに触れ、サービスを利用して出会うことに抵抗はありません。マッチングアプリの写真撮影サービスなど周辺サービスを提供している関係者からも、学生からの申し込みは少なくないと聞きます。
恋愛は“楽しい”よりも“面倒くさい”?
陽葵さんなら若いのでどの結婚相談所でもそれなりに申込はあるけれど、結婚相談所を使うと同年代男性との出会いは少ないというデメリットも説明しました。「でも、結婚するつもりがない男性と会っても無駄ですよね。5~6歳上ぐらいなら大丈夫です」
「5~6歳上であっても20代ですから登録している人はいるけど、かなり少ないです。結婚するつもりがないは極端だと思いますよ。若ければ『まだ結婚前提で相手を探すほどじゃない』ぐらいの温度感の方は多いかも。結婚相談所を利用するのもいいけど、社会人になってこれから新しい出会いも増えるし、職場で出会いがあるかもしれないですよ」
「でも、職場の人と付き合って別れて会社に居づらくなっても……」
まだ恋も何も始まっていないのに、別れることまで妄想する陽葵さん。彼女に限らず、恋愛を楽しいものより“面倒くさい人間関係”ととらえる人は増えています。
30~50代の“おじさん”からの申込みで落ち込む
陽葵さんは婚活をスタートしました。申込み数(正式に会うことを希望された人数)は多いのですが、同年代の20代男性は少なく、30代や40代、ときには50代からの申込みもありました。結婚相談所だと20代の男女比は、相談所によりけりですが、男1:女9とか男2:女8で圧倒的に男性は少ないのです。「私、こういうおじさんからイケるって思われているのかな……」
「登録したばかりの女性にアタックしまくっているのでしょう。イケると思っているから申込むというより、数打てば当たると思っている方が多いですよ。アラフォー以上の男性だと、申込みなんて20件に1件成立するかどうかなので」
「そうなんですね。20代の男性も会ったけど、あまり好きと思えないオタクっぽい男性しか会えなくて。どうしたらいいでしょうか」
自分と人気レベルが近い人としか出会えない
「アラサー男性は結婚相談所で貴重ですからね。陽葵さんがモテるようになればいいんですよ。結婚相談所で20代男性を狙う場合はライバルが多いです。その中で相手から『会ってみたい』と思ってもらえる人気会員になる努力をすれば、会える層は変わりますよ」「別にモテたいとは思っていないです。結婚したいんです」
「職場結婚なら、モテるわけじゃなくても仕事しながらいい面や共通点を知っていってお付き合いするってことはあると思う。でも、マッチングサービスって市場原理が働くの。人気レベルが自分と近い人にしか会えないんです。若いから人気がないってことはないけれど、陽葵さんが素敵って思う男性を狙うライバルには、キレイで恋愛経験があってコミュ力が高い女性もいますからね。ヘアメイクを習って、写真も撮り直してもいいと思いますよ」
去年まで学生だったので仕方がないとは思いますが、陽葵さんは学生っぽい服装のままなのです。
社会人になったこともあり、少し大人っぽいマーメイドスカートとリネン素材のジャケットを購入しました。会社にも着て行ったところ好評だそうです。
小さいコミュニティの方がモテを意識しなくて済む
コロナ流行と大学時代が重なっていた陽葵さん。そのため、社会人になるまで飲み会の経験はあまりなかったそうです。そんな彼女ですが、最近初めて会社の同期で集まって、飲み会にも参加しました。そこで、他にも一緒に遊びに行く約束をしました。仕事も忙しく、同僚たちとの予定が入ってくると結婚相談所のサイトにはログインもしなくなり、結婚相談所は休会状態になりました。
「結婚相談所より、同僚の方がいい人いるなって思いました。もう少し様子見して、もしかしたら結婚相談所はやめるかもしれません」
こう思ってしまうのは私が古い世代だからなのかもしれませんが……若い人には効率を考える前に、“無駄”と思えるような出会いも、たくさん経験してほしいのです。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt