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劇場版『名探偵コナン』を支えた6人の監督 『100万ドルの五稜星』永岡智佳の作風とは?

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 そうした意識も働いたのか、第18作『名探偵コナン 異次元の狙撃手』で静野監督は、超長距離からの狙撃というスペクタクルな要素や、赤井秀一でありFBIといった要素を映画版に持ち込んで、ハリウッド映画を観ているような楽しさを醸し出した。結果、『異次元の狙撃手』は初の40億円超えを果たして劇場版『名探偵コナン』シリーズを一段押し上げる。

 一方で、第21作『名探偵コナン から紅の恋歌』のように、服部平次と遠山和葉のラブコメチックな関係をストーリーの軸にして、そこに起こる事件にコナンや平次が絡むといった、外伝ともスピンオフともとれそうな内容でも映画として人気を得られるということを示した。この作品の続きとも言える『100万ドルの五稜星』が最高記録を塗り替えたら、その発端は『から紅の恋歌』のチャレンジにあったといえるだろう。

・立川譲・満仲勧
 静野監督も7作手がけて、後を立川譲監督に譲った。文化庁による若手アニメーター育成プロジェクトの一環として作られた短編『デス・ビリヤード』で2013年に監督デビューした若手で、『名探偵コナン』にはTVでも映画でも関わった経験を持っていなかったが、第22作『名探偵コナン ゼロの執行人』で91.8億円もの興行収入を稼ぎ出し、前作の68.9億円から大きく伸ばし話題を呼んだ。

 安室透というシリーズ屈指の人気キャラが登場するだけでなく、警視庁の公安が絡んだ諜報ミステリとしての面白さがあり、ラストにはスペクタクルなシーンもあってと要素てんこ盛りの内容に、漫画やTVアニメをリアルタイムで追いかけている層以外も興味を引かれて、劇場へと足を運んだようだ。

 大役を見事に果たした立川監督は、3作挟んだ第26作『名探偵コナン 黒鉄の魚影』で灰原哀に黒ずくめの組織の魔手が迫るストーリーと、世界の人々を監視するネットワークの構想、そして海上都市の崩落といったスペクタクルな展開をミックスさせ、大仕掛けを楽しむ映画といった印象を、劇場版『名探偵コナン』シリーズに与えた。満仲勧監督による第25作『名探偵コナン ハロウィンの花嫁』もこうした立川監督テイストに近いワクワク感を持った作品だった。

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・永岡智佳
 
 もっとも、『100万ドルの五稜星』を手がけた永岡智佳監督は、第23作『名探偵コナン 紺青の拳』で鈴木園子と京極真の関係を軸に、舞台をシンガポールへと移し、絢爛とした雰囲気のドラマを描いて、『ゼロの執行人』を超える93.7億円の興行収入を挙げた。キャラクターを見せるドラマ作りでもファンを喜ばせることができるという考えが、怪盗キッドに加えて平次や和葉、そして『から紅の恋歌』に登場した大岡紅葉も参加する最新作『100万ドルの五稜星』につながったのかもしれない。

 ミステリドラマの趣があった初期から監督によってムーディーだったりスペクタクルだったりと様々な挑戦がなされて現在にいたる劇場版『名探偵コナン』シリーズ。来年はさらに独特のキャラクターがフィーチャーされそうな気配があるが、一体どのような映画になるのだろうか。
(文=タニグチリウイチ)

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