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ガンプラを未来に向けて存続させるためにーー「ガンダム」45周年、全国巡回イベントの狙い

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 このイベントで注目したいのが、8月から開始すると発表されている点だ。「GUNDAM NEXT FUTURE」自体は6月8日に埼玉のららぽーと新三郷で開催されることが発表されており、イベント開始から約二ヶ月ほど遅れての開始となっている。このタイミングで開催される理由としてパッと思いつくのが、学生の夏休みにイベントを当てたいという思惑だろう。

 実は現在、模型サークルの展示会はかなりの活況を呈している。毎年5月に開催される国内最大のホビー系商材新製品展示会である「静岡ホビーショー」では、イベントに合わせて国内外のモデラーやサークルが作品を展示する「モデラーズクラブ合同展示会」を開催。この展示会に対する全国の模型サークルからの申し込みが増え続けたため、会場となるツインメッセ静岡内での展示会用スペースも急拡大した。しかしそれでも応募が全て捌けず、現在はキャンセル待ちのような状態になっている。

 また、他の展示会でも、作品が置かれている机の間を歩くのもやっと……というほど来場者が多く大規模なケースもある。SNSの普及によってモデラー間の交流が活発になったことも手伝って「コミュニケーションツールとしてのプラモデル」という側面が強くなった結果、模型展示会は実地で作品を見られるオフラインでの交流の場として、重要なものになっているのだ。

 そういった場を夏休みの学生にも体験してもらいたい、できれば友達同士の軽いノリで参加してみてほしい、というのが「GUNPLA EXHIBITION」の狙いではないか。社会人による模型サークルならば8月という開催時期はさほど関係がないはずであり、わざわざ二ヶ月ほど開催時期をずらして展示会を開くのには、「友達同士でガンプラを作り、展示会へ持ち込む」という体験を若年層へ訴求したいという意図が見える。現在ガンプラを含むキャラクターモデルのメインユーザーは、やはりガンプラブーム直撃世代前後である40~50代の層が分厚い。その年代からの参加者も募りつつ、若いユーザーも増やしたいというのがこのイベントの目的だろう。

 サステナビリティへの配慮にせよ、若い世代へのガンプラ製作の訴求にせよ、ガンプラの製造と販売というビジネスを未来に向けて存続させる取り組みに他ならない。単に製品を製造するだけではなく、今後10年、20年という単位でビジネスを存続させるために打てる手を打つバンダイの姿勢は、さすがに大企業のそれである。「NEXT FUTURE」と銘打たれ、全国を回る今回のイベントの本気度は、おそらく伊達ではないはずだ。

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