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松本人志は再起なるか?「復帰できる/できない」芸能人の“ブランディング力”の違いとは

日刊SPA!

 ダウンタウン松本人志氏が、名誉棄損で『週刊文春』を訴えた第1回口頭弁論から数週間が経つが、彼を擁護・中傷する声はいまだ止んでいない。ニュースなどでも、松本氏の周辺が困惑している様子が見て取れる。
 しかし今回のように、芸能人やスポーツ選手に政治家と、昔から世間を騒がせる有名人は後を絶たない。そして、スキャンダル後、数年で復帰する人もいるが、そのままフェードアウトしてしまう人も……。スキャンダルを起こしてもメディアに出られる人と出られない人の違いとは? また、予防方法はあるのだろうか? 共感ブランディングを提唱するブランディング専門家の松下一功氏に聞いてみた。

◆長所と短所は表裏一体、大事なのは隠さないこと

 自身の不適切な言動やプライベート流出などによって、芸能人生命の危機に立たされる人は少なくない。その後は、プチ炎上程度ですむケースもあれば、数年の自粛の後で復帰する人、芸能界から引退してしまう人とさまざまだ。

 松下氏いわく、「メディアに出ている人は自分自身が商品なので、セルフブランディングが重要になります。その観点からお話しすると、ブランディングとは長所を伸ばすことであり、短所を潰すことではありません。しかし、長所と短所が表裏一体であるケースも多々あるため、きちんと伝える戦略を練る必要がある」のだそう。

「例えば、豪快で漢気のあるリーダーといったプラスの評価をされる人物の場合、見方によっては俺様気質で傍若無人などのマイナスな評価をされる可能性があります。それくらい、人の評価は一定ではなく、常にさまざまな角度から見られているのです。それを踏まえると、長所も短所もきちんと伝えることは当然となります」

 誰もが、自分のプラス面をアピールしていいイメージを定着させようとするもの。そのため、プラス面しか公表していないと、大きなしっぺ返しを食らうのだ。反対に、プラス面とマイナス面どちらも公表していると、大きなダメージは受けにくいのだという。

◆ハラスメントに敏感&言ったもん勝ちな世の中

 また、松下氏は「芸能人が長所と短所を伝えきれていない問題以外に、世の中の傾向にも問題があるのではないか」と指摘する。

「ダウンタウン松本さんは自ら芸能活動を自粛しましたが、近年のワイドショーでは、過去の出来事を掘り起こして問題提起するものもあります。ハラスメントに厳しいご時世ですし、特に性犯罪には社会全体が大変敏感になっていますし、もちろん犯罪行為は許せることではありません。

 しかし、過去の出来事は当人たちにしか分かりません。裁判で明らかにされない限り、周囲は静かに見守るべきだと思いますが、憶測で批判・中傷をする人が絶えないのも事実です。そこから、さらに問題が独り歩きをしてしまうという悪循環も生まれています……。世の中における社会的なルールが厳しくなっているだけではなく、言ったもん勝ちの傾向も否めないでしょう」

◆マイナス面をオープンにしておくテも

「だからこそ、マネジメントには一層の力を入れる必要がある」と松下氏。有名であればあるほど、いい面も悪い面も、その人物のキャラクターであると正しく伝える戦略が必要だという。すべての言動は、信念に基づいたものであると表現し、ファンに印象付けなければならないのだ。

「あまりいい例ではありませんが、恋愛スキャンダルの予見可能性がある人なら、恋愛観をオープンにするといったことが考えられますし、お酒の失敗が心配される場合は、酒豪の一面があると伝えたほうが無難でしょう。マイナス面を自らオープンにすることに抵抗感を持つ人は多いでしょうが、隠し通した後に露見した場合のことを考えてみてください。イメージ悪化の可能性は捨てきれませんよね」

 しかし、人間だれしもがいい面も悪い面も持ち合わせているもの。はじめからどちらの面も公表しておくと、いつしか、その人の人間的な魅力に変化していく。また、何か失敗を犯してしまったとしても、ダメージはそこまで大きくはないと推測できると話す。

◆スキャンダルをプラスにした「ある芸人」

 では、自身の言動が社会から批判を受けてしまった場合は、どうしたらいいのだろうか?

「批判を浴びたら、まずは謝罪をする流れにありますが、『自身の言動に責任を持つ=謝罪』ではありません。日ごろ、応援しているファンのためにも、理由説明と自身の考えを伝えることもセットで行なわなければなりません」

 ともすると、言い訳がましいと思われそうだが、「何事にも相互理解は必要。また、ファンはもちろん、世間は問題を起こした当人の発言を待っているのも事実」なのだそう。そのいい例が、お笑いタレント狩野英孝氏の記者会見だという。

「狩野英孝さんは2017年に不祥事を起こした際に、自ら謝罪会見を開きました。その際に、ひとりで登壇して会見をリードし、当面の芸能活動の自粛を発表。集まった記者からの質問にもひとつひとつ丁寧に答えました。反省していることが伝わったのはもちろんですが、真っすぐな姿勢と彼らしい珍解答の連続に、批判的だった世間の風向きも擁護的なものに変わり、半年後には、自身の原点であるお笑いライブで復帰を果たしました」

◆知名度があるなら情報発信ではなく情報統制を

 ブランディング戦略には、「ブランドマネジメント」という概念がある。これは、ブランドの商品や価値などの維持全般を意味するが、松下氏によると、今の時代で特に重要なのが、関連情報の統制だという。

「起業したばかりなら、まずは存在を知ってもらうために情報発信が重要ですが、反対にある程度の知名度がある場合は、『間違った情報を出さない』『拡散させない』ことに注力する必要が生まれます。例えば、高級ブランドのエルメスをぼったくり企業だと非難する人があまりいないのは、職人を大切にして、バッグをひとつずつ丹精込めて作っている会社だと、多くの人が認知しているからです。

 デジタル化が進んだ現代は、誰もが欲しい情報にアクセスできる情報化社会です。情報統制と言うと言論弾圧みたいなイメージがありますが、芸能人だけでなく公人に含まれる職業であれば、いい意味で情報統制に力を入れるべきでしょう」

 対照的だったスキャンダル対応の松本人志氏と、狩野英孝氏。ときにはマイナス面をオープンにしたり、自ら情報統制することも著名人には求められるのかもしれない。

<取材・文/安倍川モチ子>



【松下一功】
経営コンサルタント、共感ブランディングの提唱者。株式会社SKY PHILOSOPHY 会長。40年近く、企業アイデンティティーやブランドコンセプトの確立を専門とし活動。2011年より「真のブランディングを世に伝える」ことをミッションに、講演、講師、コンサルティングを行う。2024年、著書『共感ブランディング®ドリル』で、自身の体系的オリジナルロジックを一般公開。ブランディングのわかりやすい実践書として高評価を得ている
 
   

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