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『虎に翼』土居志央梨の表情に心揺さぶられる 寅子たちはよねの言葉をどう受け止める?

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『虎に翼』写真提供=NHK

 『虎に翼』(NHK総合)第13話で、寅子(伊藤沙莉)たちの法廷劇の幕が上がるが、男子学生・小橋(名村辰)らの妨害によって中止に追い込まれる。よね(土居志央梨)が突き飛ばされるのを見て、寅子は堪忍袋の緒が切れた。

参考:土居志央梨の繊細な演技から目が離せない

 第10話で着物を返還された妻・峰子(安川まり)に殴りかかろうとした東田(遠藤雄弥)を止めた時のように、寅子はネコがひっかく時のような手をして駆け出すと、思いっきり爪でひっかいた。寅子渾身の一撃は止めに入った優三(仲野太賀)に入ってしまうが、それを見ていたよねは意を決して小橋の股間を蹴り上げ、反撃する。

 この一件は新聞の格好のネタになったり、女子部に処分が下されることになったりとなんとも苦々しい出来事となるのだが、女子部を見下す男子学生たちに真っ向から立ち向かう寅子とよねの力強さは印象深かった。

 足を痛めたよねを、寅子たちは心配する。よねは痛みに耐えかねて仕方なく寅子と香淑(ハ・ヨンス)の肩を借りて帰宅。そこに涼子(桜井ユキ)、梅子(平岩紙)、玉(羽瀬川なぎ)も同行する。

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 よねは「燈台」というカフェーの2階を間借りしており、放課後はそのカフェーでボーイとして働いていた。マスター・増野(平山祐介)は寅子たちに「聞く? 彼女が何で弁護士を目指したか」と問いかける。寅子が「よねさんの話を、よねさんがいないところで、よねさんじゃない人から聞くのは違うと思うんです」と断る中、よねが「聞きたきゃ教えてやる」と生い立ちを話し始めた。

 よねを演じる土居志央梨の演技に心揺さぶられる。初登場時から、その厳しい面持ちや物言いには、弁護士になって世の中を変えたいという意志と覚悟が感じられていた。しかし土居が表現するのはよねの強さだけではない。目や口元に浮かぶ微細な変化に、よねがこれまで味わってきた苦痛や虚しさ、動揺や激しい怒りなどがうかがえる。
 よねに近づいてきた、いかがわしい弁護士・緒方(戸田昌宏)との場面で見せたまなざしには胸が苦しくなった。よねははじめ目を伏せていたが、考え込んだのち視線を上げる。堅い表情のまま、息を呑むようにして緒方を見つめ直す面持ちに、その後具体的に語られなくとも、よねがだまされていた姉を救うために、緒方が自分に求めるものを受け入れたのだとわかる。

 緒方によって姉が稼いだ金を取り返すことはできたが、置き屋を追い出された姉は男を作って消えてしまった。よねの手元には金が残った。

「私は欲しい。今の私のまま、なめ腐ったやつらをたたきのめすことができる力が……」
「だから必死に勉強して女子部に入ったんだ。姉ちゃんの金を使ってな」

 よねの台詞に彼女の怒りがひしひしと伝わってくる。その一方で、姉が稼いだ金を使って入学したことを自嘲気味に話すよねの表情は物悲しかった。

 よねの境遇に言葉を失う寅子たちは、 「私とあんたらは違う」というよねの言葉を重く受け止めたことだろう。だが、よねだけでなく寅子たちもまた本気になって法律を学ぶ同志だ。この一件が、寅子たちの関係にどのような変化をもたらすのか。
(文=片山香帆)

 
   

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