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あなたの「枕」は大丈夫?実は”魂が納まる蔵”だった「枕」にまつわる怖いお話【後編】

Japaaan

旅人の懐と荷物から金品を強奪した婆は、亡骸を近くの池に投げ捨てるのでした。

老婆の鬼畜の所業をやめさせようとしていた娘でしたが、逆に激しく叱責されるだけ。老婆が殺した旅人はなんと999人になりました。

石の枕で惨殺した旅人が1000人目を迎えたとき…

ある日1000人目となる稚児があばら家を通りかかり泊めて欲しいと頼みます。

老婆はいつものように快く稚児を泊めさせ、眠りについた頃を見計らい石の枕で頭を叩き割りました。

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いつものように懐から金品を奪い、さて、亡骸を池に捨てようと引きずったところ、それが自分の娘だったことに気が付きます。

驚愕のあまりに腰を抜かす老婆。娘は我が身を犠牲にして老婆の鬼畜の所業を止めたのでした。

そこに、さきほどの稚児が現れます。稚児は、実は浅草の観音菩薩の化身で、老婆の行いを咎め娘の亡骸を抱いて消え去ったとか。老婆は自らの罪深さを恥じて池に身を投げ、その池は「姥ヶ池(うばがいけ)」と呼ばれるようになったそうです。

この話は、老婆が美しい娘を遊女にみたてて旅人を誘い込んだとか、娘が悲しげな表情で旅人に「泊まっていってください」と声をかけさせたとか、老婆は観音菩薩の力で竜と化して娘の亡骸とともに池深く潜って消えたとか、さまざまなパターンがあります。

この「浅茅ヶ原の鬼婆」は、江戸後期には浮世絵や芝居の題材にもなり、さまざまな作品も残されています。

屍の匂いがする古い木の枕

江戸時代中期の儒学者、新井白蛾(あらい はくが)の著書「牛馬問」(人からよく尋ねられる物事について記したもの)には「枕の怪」という話が残されています。

新井白蛾が子ども時代、江戸深川に京都のような三十三間堂があり、その近くに、ある医師が家を借りました。

ところがしばらくして医師は体調を崩して寝込んでしまいます。湿った空気に満ちているこの家のせいだろうと、自分で薬を調合してのんでいたものの、一向に回復しません。

そんなある日、物置のほうから風邪が吹くと、なにやら悪寒がして調子が悪くなることに気が付き調べましたが、何もありません。そこで、同じ方向にあった仏壇を調べてみると、古い木の枕がでてきたそうな。

怪しげな気配のする木の枕をみて「これが原因だ」と思い、医師はそれをカチ割り燃やしたところ、まるで屍を焼いているような匂いがしたそうです。枕がすべて燃えると、医師の不調も治ったのでした。

一体誰が使っていた枕なのか、どんな念が込められていたのか、誰かの魂がこもっていたのか……答えはわかりません。

枕は「魂や霊魂が収まる場所」と古来からずっと伝えられてきたのがうなずけるような、不気味で怖い話です。

枕にまつわるさまざまな逸話。たとえ昔の伝承にしても、頭を支える大切な道具である枕は投げたり踏んだりせずに、丁寧に丁寧に手入れして扱いたい……そんな気持ちにさせられます。

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