オーバーワークに睡眠不足が重なり疲れは取れません。プール遊びがあるたびに膀胱炎を発症するように鳴りました。なんとか踏ん張っていましたが、とうとう身体は悲鳴を上げます。一向に熱が下がらなくなり、過労からくる腎炎だと診断されました。休養が必要だと言われても休むわけにはいきません。平日は相変わらずの激務をこなし、土曜日は通院。毎週の点滴が頼みの綱でした。薬を服用しているにもかかわらず、いつも体温は38℃超え。発熱が続くと身体も慣れていくのですね。当時の私は38℃でも辛いと思わず、通常通りの生活を送っていました。
何より困ったのは、泣きたいと思っていないのに涙が出てくることでした。日曜日の夜が近づくと、涙が止まりません。気づかぬうちに心まで病んでいたのでしょうか。それでも月曜日の朝になれば出勤し、いつも泣きはらした目で仕事をしていました。
そんな生活が半年ほど続いた頃、いつものように点滴をする私に主治医がこう告げました。「若いから大丈夫なわけじゃない。油断すれば取り返しのつかないことになる。このままでは腎不全になるかもしれない」と。健康だけが取り柄だと思っていた私はショックで声も出ません。「今ならまだ間に合う。仕事を辞めるか、それとも入院を覚悟するか」という主治医の言葉で事の重大さを知りました。家に帰っても心ここにあらず。こんな状況になっても辞める決心はつきません。どうすればいいのかと私の苦悩は続きました。
続く
広告の後にも続きます
「英検2級の実力しかない私が、20年以上英語教育に携わってきた話」は主人公である高山杏の体験をもとにしたフィクションです。実在の人物、設定は架空のものです。