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アメリカ、フロリダ州で住民たちが大量に餌を与えた結果、太りすぎてしまった野生のワニが保護された。このワニはこれから減量させるというが、それが成功しても一生施設暮らしになる。
このオスのワニは「コカ・コーラ」の愛称で親しまれていたが、住民らが無秩序に高カロリーな食べ物を与え続けたため、標準をはるかに超える極度な肥満体になっていた。
フロリダ州では野生のワニへの餌やりは違法で、こうした餌付けが彼らを不健康にする。
施設によると、これほど人から餌をもらうことに慣れてしまったワニは、人に近づいてくるので危険な存在となり、二度と野生には戻せないという。
Temple Terrace gator on a diet
住民に餌付けされていたアメリカワニのコカ・コーラ
このたび太りすぎで施設に移送されたワニは、フロリダ州テンプルテラスにある元コカ・コーラ工場のそばで暮らしていた野生のオスのアメリカワニだ。工場裏の貯水池に長らく住み着いていたため、地域住民からは「コカ・コーラ」と名づけられ、多くの人が昼食の肉類やハムなどの餌を彼に与えていたという。
人間用の高脂肪・高カロリーな餌で体重が標準の2倍に
こうした餌付けは住民らの好意だったかもしれないが、今回コカ・コーラを引き取ったフロリダ州の非営利の保護施設、クロック・エンカウンターズのカリーナ・パナーさんによると、野生のアメリカワニの餌は主に魚や小型哺乳類だという。一方、住民が与えた食べ物は、コカ・コーラにとっては高脂肪で高カロリーだった。さらに当然ながら与えるタイミングもバラバラで無秩序だった。
そのせいか、コカ・コーラは体長2.7mに対し体重204kgと、極度に太っていた。この体長なら100kg 程度が普通なはずの体重が2倍になっていたのだ。
ワニの危害を心配する住民とワニを心配する住民
移送のきっかけは、近ごろ池の周りにあった工場のフェンスが壊れて穴が開いたことだ。そこでフェンス付近の一部の住民が、新しくできた穴を通ってコカ・コーラが危害を加えてくるのでは、と心配していた。
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そこから保護が決まったわけだが、コカ・コーラを可愛がっていた多くの人が、そのことを知り動揺していたという。
今回の保護を聞きつけた住民の中には「コカ・コーラは殺されるのではないか」「何かできることはない?」「彼を傷つけないで欲しい」などと心配し、連絡してきた人が何人もいた。
だがカリーナさんが見たところ、コカ・コーラは本当に太りすぎていて、普通のワニのように動けず、その行動範囲も限られている状態だった。
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そうしたことから彼の健康を想えばまず、この環境から隔離して直ちに減量させることが急務だった。実際、コカ・コーラを診た獣医師らも、早急なダイエットが必要だと診断したという。
野生のワニの餌付けは違法。ワニにも不健康
動かずともしょっちゅう餌がもらえるのなら、野生のワニでも怠惰になって太ってしまう。そうした肥満のきかっけは人間でもあるあるな話だが、この件は、コカ・コーラにとってその後のワニ生を大きく変える出来事になった。CHUNKY GATOR RELOCATED 🐊 Chunky alligator found lounging in Temple Terrace relocated to new home https://t.co/NrW2MfZSyq pic.twitter.com/LA6OtHutzD
— WFLA NEWS (@WFLA) March 24, 2024
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カリーナさんはコカ・コーラについてこのようにコメントしている。
ある住民は「彼は本当に地域の一員なんです」と言っていました。このワニは、周りの企業のスタッフや地域の人からハムやチキンを与えられていたそうです。
野生のワニに餌を与えることは違法なだけでなく、ワニにとって不健康なことです。 彼はひどく太っていて、人に餌をもらうことに慣れてしまいました。
ひとたび人がワニに餌をやり始めると、それまで何の落ち度もなかったワニが迷惑な存在になります。餌を求めて人に近づくようになったワニは、野生から排除されなくてはなりません。
幸運なことにこのワニは私達の施設で新しい住処を得ることになります。
施設でコカ・コーラのダイエット計画が始まる
カリーナさんは到着したコカ・コーラのために、新しいダイエットプログラムを組んでいる。私たちのワニたちはペレットとの混合物を食べています。また、定期的に魚や鶏肉も与えています。そうすれば彼も徐々に痩せると思います
コカ・コーラはこれから生涯クロック・エンカウンターズで暮らすことになる。
ただ幸いにもこの施設は、爬虫類のサンクチュアリと呼ばれる野生動物園でもあり、敷地は東京ドーム以上に広く、ワニの仲間たちも数百匹いるそうだ。
ダイエットで健康的になったコカ・コーラが、この先仲間たちとワニらしく楽しく暮らしてゆけるのなら、彼の心配をしていた人たちも、きっと喜んでくれるんじゃないかな。
References: hindustantimes / facebook / youtube / wfla / upiなど /written by D/ edited by parumo