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イスラエルへの報復示唆も…ジレンマに陥るイラン 大使館攻撃受け

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 4月1日、シリアの首都ダマスカスにあるイラン大使館の領事部の建物にミサイルが打ち込まれ、イラン革命防衛隊の司令官や軍事顧問ら13人が死亡した。実行したのはイスラエル軍で、F35戦闘機がミサイル6発を発射したという。イスラエルによるガザ地区への攻撃が止まないなか、中東をめぐる緊張がさらに高まりそうだ。

 イランは今回の件ですぐにイスラエルへ反発した。イランの最高指導者ハメネイ師は、イスラエルは我々によって処罰され、これまで犯してきた数々の罪を後悔させると非難。ライシ大統領も明らかな国際法違反であり、必ず報いを受けさせると何らかの報復措置を取る考えを示した。

◆イスラエルがイラン権益を標的とする理由
 イスラエルはこれまでもシリアにあるイラン権益を狙った攻撃を繰り返しているが、大使館という外交施設を狙ったのは今回が初めてだ。一部のメディアや専門家の間では、越えてはならない一線を越えたとの見解も聞かれる。

 イスラエルがイラン権益への攻撃を続ける背景には、イランがイスラエルへの攻撃を続けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラを支援していることがある。長年ハマスもイランから支援を受けてきたが、イスラエルからすると、すぐ隣で活動し、自国の安全保障を脅かす存在を軍事、資金面で支援する国家も大きな脅威となる。ヒズボラはシリア経由で支援を受けているとみられ、今後もイスラエルによるイラン権益への攻撃は続くだろう。

◆イランが抱えるジレンマ
 一方、イランの指導者たちはイスラエルへの報復を示唆しているが、現状それ以上のことはできない。現在、イスラエルのネタニヤフ政権は自国が有事にあることを強く自認し、仮にイランがイスラエル領土などへの報復攻撃を行えば、両国が直接衝突するリスクは極めて高まる。イスラエルにとって軍事的ハードルはそれほど高くなく、おそらくイランもそのリスクを熟知しているだろう。

 イランにとっては、現在のように自らが支援するヒズボラやイエメンのフーシ派、シリアやイラクに点在する親イラン武装勢力が独自の判断でイスラエルやアメリカを攻撃する環境が最も都合が良く、それを維持したい思惑がある。

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 しかし、イランにはリスクもある。ヒズボラやフーシ派などからすれば、自らがイスラエルやアメリカから攻撃を受けているにもかかわらず、イランがそれ以上踏み込んだ行動を取らなければ、かえってイランへの不信感を強める可能性がある。これについてイラン自身がどう思っているか分からないが、イランには「強い姿勢に転じれば自らが戦争に巻き込まれるリスクがある一方、何もしなければ支援する勢力から不信感を買う」という一種のジレンマに陥るリスクがあるように感じられる。

 
   

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