◆コンパクトさと軽さを維持
スイフト新型はエクステリアに変化が加わった一方、サイズは全長3.86m、全幅1.74mと、従来と同じくコンパクトに抑えられている。軽量化に優れた同社のプラットフォーム「ハーテクト」を採用し、エンジンは従来のK12に代わりZ12E型1.2リットル3気筒ターボを搭載する。
ポイントはコンパクトさの維持だ。英オート・カー誌(3月22日)によると、スズキUKのデール・ワイアット自動車担当取締役は、スズキのつくるクルマは、「競合よりも少し小さい傾向にある」と説明している。ワイアット氏が「哲学」として同誌に語ったのが、日本のスズキの行動理念の一つにも掲げられている「小・少・軽・短・美(しょう・しょう・けい・たん・び)」だ。もともと生産現場でムダなく高品質なものづくりを目指し制定されたフレーズだが、スイフト新型もこのコンセプトを忠実に受け継いだ。
◆小型ながら十分な実力
小型ながら街乗りでの走行性は十分だ。試乗した英カー誌(3月24日)は、「現代的な技術によって燦然(さんぜん)と輝きながら、一般大衆のニーズを満たす従来型の動力性能も備えている」と評価する。経済性に優れ、MTを標準装備し、ドライブの楽しさを引き立ててくれるとの所感だ。一方でパワーに関してはもう一声欲しかったとも述べている。
英カー・スロットル誌(3月22日)も、Z12E以外に強力なエンジンのオプションがあればなお嬉しかったと述べる。もっとも、「スイフトのドライビング・エクスペリエンスには、ペースのなさ以外にはほとんど欠点はない」と評価しており、軽快なステアリングや軽い車体重量により段差が気にならないことなどを美点に挙げている。
◆ライバル車の撤退続くコンパクト市場
スイフトは小型車を重視するスズキの姿勢を象徴する。SUV人気に押される形で昨今、スーパーミニの市場は縮小傾向にある。オート・カー誌は、イギリス市場に占める小型車のシェアが20%から15%に縮小したと指摘する。一方でスズキUKのワイアット氏は、「Bセグメントは重要であり、我々の顧客は小型車を望んでいる」と同社の立ち位置を鮮明に打ち出す。
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カー・スロットル誌も同様に、「スーパーミニ・セグメントは徐々に滅びつつある」と言及。フォード フィエスタが生産終了となり、フォルクスワーゲン ポロの先行きも不透明となるなか、「このセグメントにはほとんど新しいものがない」と指摘する。しかし、この状況においてもスズキはスイフトをSUVに寄せて大型化することなく、シンプルなスーパーミニを貫いたのは英断だったと同誌は評価する。
フィエスタのほか、起亜 リオや日産 マイクラなど、定評ある小型車の多くが廃止へ向かうかEVへシフトしている。カー誌は、イギリスで25万人が後継車を失う計算になるとするスズキUKの推算を紹介し、スズキにとって好機になると分析する。競合他社の目がSUVへと移るなか、コンパクト市場を席巻するチャンスとなるだろうか。
Suzuki Motor Corporation
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2024年4月4日