top_line

気持ちいい!サクサク進む爽快パズルゲーム
「ガーデンテイルズ」はここからプレイ!

「自分も育児にかかわりたい」夫の提案に妻が猛反対…男性育休「取りたくても取れない」パパたちの悲鳴

日刊SPA!

今年2024年、流通大手のイオン株式会社が、男女問わず育児休業(以下、育休)を取得する社員に、最長で子どもが1歳になるまで給与の手取り額を100%保障する方針を打ち出した。男性も育休を取りやすい社会になりつつあるが、職場や家庭によって大きく異なりそうだ…。
◆男性育休に猛反対する妻や親類一族の真意とは

 妻A子さん(32歳)の妊娠が判明したとき、桐山悠生さん(仮名・37歳)は、「自分でもビックリするような感情に包まれた」のだと言う。それは、「自分も出産や育児にかかわりたい」という強い気持ちだったとか。

「妻の妊娠が発覚するまでは、仕事一筋のタイプ。昇進や昇給に喜びを感じていましたし、妻は仕事への理解があり、やりたいようにやらせてくれました。深夜の帰宅や休日出勤にも嫌な顔ひとつせず、いつも笑顔で労いの言葉をかけてくれるのです」

 そんなA子さんへの感謝もあり、「妊娠を機に家族との時間を増やし、絆を深めていきたい」と考えるようになった桐山さん。貯金も十分。ダメもとで「男性育休を取りたい」と相談した職場からも祝福された。喜ぶ反応なども期待しながら妻にそのことを伝えたのだが…。

「次の瞬間、スッとA子から笑顔が消えたのです。すぐに笑顔は持ち直していましたが、あきらかに不自然な表情で、『悠生が育休を取るって、どういうこと?』と聞かれました。そして、『私は専業主婦だし、ひとりで平気』と、言うのです」

 口調こそやわらかいが、言葉の端々には何故か強い意志を感じるのだ。「仕事人間だった僕に遠慮しているのでは?」と思った桐山さんは、もう一度ゆっくりと育休を取得しようとしていることを伝えてみる。

「けれどA子は、『育休の間、給料が減るじゃない』と不満そうなのです。僕は、『赤ちゃんと過ごせる期間は短いし、いままで仕事が忙しくてほとんど家にもいなかったから、家族だんらんの時間を楽しみたい』と食い下がりましたが、まるで納得していない様子でした」

 さらには、「出産したらお金もかかるし、男の人が育休を取ったという話は私の周りでは聞かない。会社をクビになったらどうするの?そうでなくても今後、重要な仕事を任せてもらえなくなるかもしれない」と猛反対。とにかく、「1人で大丈夫」だと言い張るのだ。

「これも、仕事を優先してきた自分のせいだと反省。自分の両親やA子の両親にも相談して加勢してもらおうとしました。でも、僕の両親も義父母も、口をそろえたようにA子と同じようなことを言い、育休の取得を反対したのです」

◆妻が夫の育休に反対していた理由

 自分の両親にも奥さんの両親にも同じようなことを言われ、育休の取得を諦めてしまった桐山さんだったが、自分のなかでの優先順位を変更。残業などもなるべく減らし、つわりが酷かったA子さんの代わりに、家事全般を担当するようになっていった。

「家事にも慣れてきた頃に、A子が出産のため入院。僕はA子に代わり、オフシーズンの衣類や普段は使わないものを保管しておく倉庫のような部屋も掃除し、少しでもホコリを減らしておこうと思ったのです。でも、これがいけなかった…。いろいろと出てきたのです」

 いままで桐山さんが足を踏み入れたことのなかったその部屋の奥には、ブランドのカバンや靴が袋や箱に入ったまま、布や物で隠すように置かれていた。そして、残高の少ない預金通帳や借金の督促状なども次々と発見することに…。

「そして、妻の散財が発覚。800万円近くあったはずの貯金は残り数万円となり、150万円もの借金をしていることを知りました。それを僕の両親に相談したところ、両親も大激怒です。そして、妻が僕の両親に育休の取得を反対するよう懇願していたこともわかりました」

 A子さんは、「悠生が私に気を遣って育休を取ろうか悩んでいる。悠生には支えてほしいけれど、子どもや将来のためにも、いまは貯金をしておきたい。お父さんやお母さんからも説得してほしい」と頼み込んだのだという。

「妻を問い詰めたところ、『給料やボーナスが減ると返済できなくなるから、悠生の両親や私の両親にも口裏を合わせてと頼んだ』と白状したのです。赤ちゃんと楽しく過ごす計画が崩れただけでなく、このような形で妻の裏切りを知ることになり、とてもショックでした…」

 その後、夫婦関係はギクシャク。何度も修復を試みたが、心に溝ができてしまい離婚したという桐山さんは、「夫婦の価値観は大事だし、貯金額を把握しておくことも大切。それに、育休など家族のイベントについては普段から話し合っておくべきですね」と話してくれた。

◆卑怯な上司と時代錯誤な職場に奪われたチャンス

 矢作文則さん(仮名・29歳)は、大学卒業後に就職した会社で妻H美さん(27歳)と知り合い、入社からわずか一年足らずで結婚。結婚を機にH美さんは転職し、それから数年間は、お互いに仕事に集中して貯金に力を入れた。

「貯金も増えてきた頃、お互いに『そろそろ、子どもがほしいね』と話すようになりました。そして、男性が育休を取ってもおかしくない時代になってきたし、妊娠がわかった時点で上司にも相談して休みを取ろうという話になったのです」

 H美さんは、その後すぐに妊娠。矢作さんは上司を飲みに誘い、育休を取りたいと相談した。最初は、「おめでとう!」「俺なんて、最近はさっぱりだよ」と話しも弾んでいたのだが、どうも核心に迫りはじめると上司の反応が鈍い。

「上司は、『矢作には、お客さんもだいぶん付いているからなぁ』『子どもの誕生や子育ても大事だけど、矢作にとって、いまが頑張りどきのようにも思う』など、とにかく育休を取りにくくなるようなことばかり言うのです」

 さらには、「休んでいる間に、自分のお客を奪われるかもしれないリスクもある」「やっぱりまだまだ、男が働かないと家計は回っていかない」「何かあると、すぐに休暇を取る男だと思われたら、信頼されない」など、時代錯誤の意見が勃発。

「それでもこちらの意思が固いことを知ると、お酒の勢いもあってか『俺の時代はなぁ、高熱が出ようが槍が降ろうが出社しろと上司に言われていた。コロナ禍もあって多少は変わったが、男が育休を取るなんて身近で聞いたことがない』など、否定と説教の嵐でした」

 そこで矢作さんが、「子どもに恵まれることは奇跡に近いこと。せめて、育休の取れる期間だけでもせっかく授かった命とその成長を奥さんと2人で見守りたい。」と思いの丈を伝えた途端、上司はさらにヒートアップ。

「上司は目くじらを立てて、『育休なんて奥さんだけが取ればいい。男には家計を支える役目がある』などと理不尽なことを言いはじめました。埒が明かないのでその日は帰宅したのですが、翌日から、その上司が厳しくあたってくるようになったのです」

◆同僚、女性社員は理解してくれると思いきや…

 矢作さんは「明らかなる嫌がらせ」「部長という役職を利用した卑怯ないじめ」と心の中で溜め息をつきながらも、愚痴ぐらいは同僚も聞いてくれるだろうと思っていたとか。けれど、男性の同僚はもちろん、女性社員の反応も予想していたものとは違っていた。

「育休について相談すると同情はしてくれるものの、『実際に男性で育休を取っている人は少ないと思う。いままでそういう習慣がなかったし、取引先の人も戸惑うのでは?』など、上司を擁護する意見が大半だったのです。田舎の会社とはいえ、ここまでとは驚きでした」

 結局、矢作さんは「誰からも賛同されずに育休を取るのは得策ではない」と考え、妻H美さんと相談して育休の取得を断念。H美さんだけが産前休暇を含む産休とともに育休を取得し、矢作さんはこれまでと同じように仕事をこなしながらの育児参加しかできなかった。

「僕も睡眠を削ってサポートしましたが、残業で帰宅が深夜近くになることも多く、結果的に大半を妻に押し付ける形になってしまったのです。楽しみにしていた出産の瞬間にも間に合わず、妻は産後のストレスでうつ症状が出るなど、一時は家庭崩壊寸前でした」

 妻と力を合わせて出産や育休に臨みたいとの想いが叶わなかった矢作さんは、転職の機会をうかがっている。そして、「働き方が変化するいま、職場を選ぶときには福利厚生や職場の理解度をリサーチしておくことも重要だと身をもって実感しました」と話してくれた。

<取材・文/山内良子>

―[男の育休、取ったらこうなった]―



【山内良子】
フリーライター。ライフ系や節約、歴史や日本文化を中心に、取材や経営者向けの記事も執筆。おいしいものや楽しいこと、旅行が大好き! 金融会社での勤務経験や接客改善業務での経験を活かした記事も得意
 
   

ランキング(エンタメ)

ジャンル