でも、愚痴をこぼす相手を間違えると、取り返しのつかない事態になることもあるようです。
子ども2人の専業主婦
今回話を聞いたのは、埼玉県在住の高橋美優さん(仮名・31歳)。地元で出会った夫とは結婚11年目で子どもが2人いる専業主婦です。「地元の飲み会で出会った夫とは、交際2ヶ月でデキ婚しました。建設業に勤めているのもあって、体格がよくて筋肉質、照れ屋で可愛らしいなって、あの当時は思っていたんですよね。夫とはすぐに身体の関係になって妊娠、あっという間に結婚しました」
いわゆる“デキ婚”をした美優さん。彼は、子煩悩で良い父親になったそうです。
続けて2人目を妊娠、出産し、順調にみえる結婚生活でした。しかし、子育てが一段落したころから、美優さんは夫に対する不満でいっぱいだったんだとか。
「2人の子どもが高学年になると、家族で出かけることもなくなりました。その頃から、なんだか夫にイライラするようになって」
新婚の頃、建築業の会社で働いていた夫は経営者になり、経済的には満足の生活だったものの、満たされない気持ちが美優さんの中に芽生えていったようです。
地元の新年会で愚痴
そんな美優さんが、弱音を吐けるのも地元の仲間でした。「うちの地元は、学年をまたいで仲がいいんです。誰かが『飲み会するよ』と声をかけると、毎回すぐに10人以上が集まってきて。多いと総勢20人とかの宴会になっています」
地元の知り合いが集まると、朝まで飲み明かすこともよくあるそう。
「独身者もいるし、小さい子どもがいる友人も、子どもを親に預けて飲み会参加しています。田舎で、実家が近い友人ばかりなので」
愚痴のオンパレード
心許せる地元の仲間とお酒を飲み、酔っ払って美優さんが話すのは、夫の愚痴だったと言います。「だって、あそこは弱音や愚痴を言える場所だって安心していたんです。他の子だって、これまで家庭で何かあったら地元の飲み会で愚痴を言って、発散してきたんですよ」
美優さんは、夫へのときめきを感じなくなってしまったことを語り、「あんな奴、出ていって欲しいわ」と叫んだんだとか。
「私にとっては、普通の愚痴だったんですけどね。まさか、あんなことになるなんて……」
翌月発覚した夫の浮気
夫の様子がおかしいと気付いたのは、携帯が鳴った時の反応だったそう。「わかりやすい性格なので、夫の反応がおかしいとすぐに気が付きました。仕事の人でもない、友人からの電話でもなさそうな、恋をしている顔をして。焦っていたので」
その晩、こっそり携帯を覗いた美優さんは、夫の浮気の証拠を見てしまいます。
「メッセージのやり取りをみて、唖然としましたよ。相手がね……、あの飲み会にも参加している、地元の後輩だったんです! しかも、『好きすぎてやばい』『早く会いにきて』とか友人から夫へのメッセージには、絵文字たっぷりでした」
夫を問い詰めると、相手のほうから誘ってきて関係を持ち始めたと謝ってきたそうです。
浮気相手の友人とバトル
浮気相手の女性は、地元の飲み会によく参加しているものの、それほど会話したことがない、一つ年下の後輩だったとか。「いつも地元飲み会に参加する子で、先月の飲み会でも、『先輩、飲み過ぎだから~』と笑っていたんですよ。まあ、顔はかわいくてまだ独身の子でね。でも、あの時は裏切られたショックと怒りでいっぱいでした」
浮気相手の女性の家へ行き、怒りに震えながらチャイムを押した美優さん。
「出てきた後輩に、『どういうこと?』って言ったら、クスッと笑って。『あんた、あれだけ自分の旦那を侮辱しといてなんなの?』と逆ギレされました。浮気したのは自分なのに、まさかの逆ギレに驚いたのと、なんだか現実味がなさ過ぎてポカンとしてしまいました」
小さな愚痴から思わぬ展開に
その後も、「こないだの飲み会でも、愚痴言ってたよね? 私、ずっと彼が気になってて。ねえ、そんなに嫌なら今すぐ私に彼をちょうだいよ」と美優さんが責められる展開になったそう。「私は夫に不満はあるものの、離婚までは考えていませんでした。ポロっとこぼした私の愚痴からこんな展開になるなんてね。夫も、『彼女と一緒に居たいから、別居したい』と言ってきて……。私の結婚生活ってなんだったんだろう」
現在は夫と別居しながら、離婚に向けて話が進んでいるとのこと。
「うちがこうなったのには、まあ、他にも原因があると思いますがね」と言う美優さんの表情は寂しげにみえました。
“口は災いの元”と言いますが、愚痴を言う相手には気をつけたいものですね。
<取材・文/maki>