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「仕事に熱意ある社員、わずか5%」の衝撃。エリート社員も窓際族に憧れるヤバい現実とは

東京カレンダー

上昇志向が強いオトナのために、東カレ編集部が厳選した“ワンランク上の自分になれるための本”を紹介します。

今回、紹介するのは、『働かないニッポン』河合薫著(日本経済新聞出版) 。

「仕事に熱意ある社員、わずか5%」の衝撃。

日本経済新聞2023年6月15日付の朝刊で、「米ギャラップが13日にまとめた『グローバル職場環境調査』によると、仕事への熱意や職場への愛着を示す社員の割合が日本は2022年で5%にとどまった」「調査した145カ国の中でイタリアと並び最も低かった」と掲載された。

実際、私たちは「働かされている」「やらされている」という言葉を頻繁に使います。なぜ働かされていると言ってしまうのでしょうか。

この衝撃の事実を、著者が健康社会学的観点からひも解きます。

▶前回:今こそ、日本人は海外に出るべき。将来を見据えると、留学にオススメの国ベスト3は?



▼INDEX
1. 窓際族を目指す新入社員

2. 脱「働かないニッポン」のためにできること

3. 本書のココがすごい!


1. 窓際族を目指す新入社員


数年前、「窓際族という昭和世代にとって懐かしく、それでいて切ない言葉が若者の間で話題になりました。きっかけは『新社会人よ、窓際を目指せ』(サレンダー橋本著)というタイトルのネット漫画です。

「職場の理想のポジション。それは窓際。働きたくない。社会に貢献したくない。仕事したくない。でも金は欲しい。表情筋が死んでるやばい感じのヤツだけに見える黄金の道を突き進め!」

雑務課(窓際族の配属先)の存在意義は、一般の社員に「あいつらと比べたら自分はまだマシ」と安心感を与えること。田辺課長は、「仕事なんて適当で調度良いのよ~」「年功序列だから年収800万は貰ってる」と豪語する。

主人公の逆島は「向上心…?母親の腹に忘れてきたわ」と共鳴します。

「結構、本質をついているかも」と思うこの作品が公開されたのは、2015年。リアル社会では窓際=ユートピアは一掃され、追い出し部屋=ディストピアに変わり、大手広告代理店の電通が業績は好調でも、従業員の転身を後押しする形で早期退職者募集に踏み切るなど、企業は「50を過ぎたらさっさとお引取り願いたい」という本音を漂わせていました。

一方で「新卒に選ばれる会社にならなきゃ」とホワイト化を進め、エントリーする学生の数を必死で増やし、入社後は上司が「いったいいつまで褒め続ければいいのでしょうか?」と悩むほど、若者をもてはやしました。

そんななかで、この漫画は絶望の国の若者たちのハートをガッツリ掴んだのですから、皮肉というか滑稽というか。

しかも“意識低い系作家”と異名をとるまでになった作者のサレンダー橋本(1988年生まれ)さんが、「表情筋が死んでるやばい感じのヤツだけには見える」とした黄金の道を、「意識高い系」が歩き始めている可能性が浮上します。

JILPT(※1)が東京で暮らす25~34歳の働く男女を対象に、2001年から21年まで継続的に実施した調査結果をもとに分析した「若者の働き方や意識の変化」(※2)によると、男女ともに「できれば仕事したくない」が20年間で著しく増加しています。

大雑把に調査の結果をまとめると、「別にいつ辞めてもいいんだけど、独立とか起業とかする気もないし、ぶっちゃけ、働きたくないわけ。だいたいさぁ、仕事とか意味わかんなくね?」ってこと。

企業が腫れものを触るように接してきた20代後半~30代前半の若者が、心の中では、「働きたくないっつーの」と冷めきっていたのです。

しかも“窓際族化”している“彼ら”の年収は、30代前半で711万円(平均)とかなり高額だったのです。(※2)

(※1)独立行政法人労働政策研究・研修機構の略称
(※2)独立行政法人労働政策研究・研修機構 労働政策研究報告書No.213「大都市の若者の就業行動と意識の変容―「第5回若者のワークスタイル調査」から―


なぜ、成功の切符を手にした希少な超エリート集団ほど、やる気を失ってしまうのか。

理由は色々考えられますが、なにはともあれ、とりあえずは30歳になるまで通勤電車、上司のパワハラ、残業などひっくるめて「仕事がおもしろくない」の一言に尽きるのではないでしょうか。

現場で学び、悩み、熱くなる経験が「仕事っておもしろい!」の扉を開けるのに、その経験をもてなかった、「やった!」と小躍りする経験ができなかった、と私は考えます。

本来、若さとは好奇心であり無謀さなのに、日本の多くの若者には野望もなければ野心もない。乾涸(ひから)びた「普通」と「無難」を合言葉に、慣れ親しんだ領域内にとどまり「安心」を手に入れているのが平成以降の多くの若者です。

この原因は「有意味感」の欠損に尽きる、と私はあえて断言します。

「有意味感」は「ストレスや困難は自分への挑戦で、立ち向かうのに意味がある」と思える感覚で、「意味がある」という感覚は携わっている仕事などに向けられることもあれば、自分の存在意義そのものに向けられることもあります。

有意味感の生成に大きな影響を及ぼすのが、他者からの「あなたは大切な人」というメッセージです。具体的には「自分を認めてくれる人がいる」「自分はここで能力を発揮できている」「自分は他者の役に立っている」という経験です。

つまり、「自分が存在する意味=自分への自信・自分の仕事への誇り」を持てない社会構造にこそ原因がある、と思っています。



若者だけではありません。50歳を過ぎた会社員は周りから、「給料は高いのに使えない」と陰口を叩かれ、20代の若者は「美化されすぎたZ世代のイメージ」に気後れし、30代はどうせ頑張っても「40、50代になったら会社に捨てられる」とやる気をなくし、40代は社会のご都合で「就職氷河期世代」にさせられ無間地獄を生かされている。

「自分が存在する意味=自分への自信・自分の仕事への誇り」を持てない日本の社会構造の問題こそが、この本のタイトル『働かないニッポン』の真意です。

トルストイは「働き方と愛し方を知る者は、豊かな人生を送ることができる」と断言し、フロイトは「愛と仕事…仕事と愛。それが人生のすべてだ」という名言を残し、ニーチェは「職業は背骨だ」と説いている。

いずれも働くことが生きることの源であることを説いた名言ですが、ニーチェの職業(=profession)という言葉には「私が私でいるための仕事」が込められていると解釈します。



2. 脱「働かないニッポン」のためにできること


では、「働かないニッポン」を脱却するためにはどうしたらよいのでしょうか。

つまり、どのように働けば有意味感を強められるのか。
どのように働けば「私はここにいる!」と思えるのか。
どのように他者と関われば、「私はここにいていいんだ!」と他者を勇気づけられるのか。



本書ではそれらのヒントが6つ紹介されています。そのうち、①普通を疑う、②仕事にやりがいを求めない、の2つを紹介します。


①「普通」を疑う


「自分を認めてほしい」という欲求は誰にでもありますが、どんなに「すごい!」「さすが!」と称賛されても、それが「本当の自分」じゃなければちっともうれしくありません。

では、本当の自分って何なのか?ってことになるわけですが、わかりそうでわからない。

自己は「玉ねぎの芯」のようなものだと考えるといいかもしれません。

小さい頃は親や学校の先生の期待に応えるように頑張り、学生になってからは仲間外れにされないように求められるキャラを演じ、オトナになってからは、いったん乗ったレールから外れないように、無難な働き方、普通の生き方に安心を求めるようになっていくのです。それに拍車がかかるのが、誰が決めたかわからない「正解」があふれる今の日本社会です。

若い世代は「普通」を基準に生きています。むろんそれは必ずしも悪いことではありません。社会のシステムに適応して無難に生きるほうが安全に暮らせる可能性があるからです。

でも、それが自分の可能性を制限していることや、生きづらさになっていることに気づいていません。



そこで「普通を疑う」です。

当たり前のように毎日ぎゅうぎゅうの満員電車で会社に行くのはおかしい、大学を出てすぐ就職するのはおかしい、有給休暇を全部消化しないのはおかしい…。

そうやって毎日の当たり前を「これっておかしくない?」と意識し、その「おかしい」を言葉にしてみてください。ときには、「自分、これでいいのか?」と自分のことを疑ってください。

900人以上のビジネスパーソンをインタビューしてわかったのは、「人は自分の考えや意見、自分が決めたことを話す時、いい目をする」です。

私が「え!そうなんですか?」と興味を示し、「へ~、それでそれで?」と突っ込めば突っ込むほど目力が増します。

そして、大抵インタビュー翌日に「サンクスメール」が届きます。

「自分のやるべきことがクリアになりました」「もう一踏ん張りします」という人もいれば「大学院を受験することにしました」という人もいます。

人に「おかしい」を話すと、息苦しさになっていた皮がむけるのです。

玉ねぎの皮を一枚一枚むいていくプロセスは、自分らしさを手に入れることであり、成熟した大人になる作業です。それは同時に「自分の生きざまに責任を持つ覚悟」です。


②仕事にやりがいを求めない


「自分に合っていない」「やりがいを感じられない」と会社を辞める若者がいます。「やりたいことだけやる」「やりがいが感じられる仕事だけする」という言葉に魅了されるおじさん・おばさんもいます。

しかし、いくつになろうとも、やりがいがあるとかないとか、自分に合っているとかないとかに関係なく「やらなくてはならない」仕事で日常は回っています。

以前、ある企業の社長さんが「就活中の娘に『お父さんに社長業って合っているの?』と聞かれて戸惑った」とぼやいていたことがありました。確かに改めて問われると、自分に合う仕事が何かさえわからない。

仕事とは不思議なもので、自分にベクトルを向けるより「誰か」に向けた方が案外うまくいきます。仕事のチャンスをくれた人とか、自分の仕事を待ってくれている人とか。

ただただ「誰かの役に立てばいいなぁ」「誰かが笑顔になれがいいなぁ」と、自分の仕事の先にいる「誰か」をイメージしながら仕事をしていると、自分の考え方とかがだんだんわかってきて、ちょっと成長したかも、玉ねぎの皮がむけているかも、と感じることもあります。

大切なのはいったん仕事を引き受けたら、きちんとした仕事をすることです。やりがいを求めたり自分に合っている仕事を見つけようとするより、よほど簡単です。


3. 本書のココがすごい!


今回紹介した、『働かないニッポン』河合薫著(日本経済新聞出版) のすごいところは下記に集約される。

①若者だけではなく、すべての世代が「仕事に対する意欲が低下」している現状を突きつけられハッとする。

②仕事への熱意が低下している日本の現状を、個人の問題ではなく社会の環境の問題であるという視点から分析しているのが興味深い。

③深刻な問題を抱えているニッポンだが、少し視点を変えるだけで「働かないニッポン」の現状を打破することができるという希望が持てる。



【著者】 河合 薫(かわい・かおる)

千葉大学教育学部を卒業後、全日本空輸に入社。気象予報士としてテレビ朝日系「ニュースステーション」などに出演。

その後、東京大学大学院医学系研究科博士課程に進学し、現在は「人の働き方は環境がつくる」をテーマに学術研究にかかわるとともに講演や執筆活動を行う。


▶NEXT:4月15日 月曜更新予定。
『子どもの脳の育て方 AI時代を生き抜く力』を紹介します

▶前回:今こそ、日本人は海外に出るべき。将来を見据えると、留学にオススメの国ベスト3は?


 
   

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