平安時代の姫たちは気軽に出歩くこともなく、大邸宅の奥でおとなしくしているイメージがあるが、倫子は自分が主催する勉強会を楽しく盛り上げつつ、生きていくうえで必要な情報を得て、社会の仕組みも政治も学んできた。街に出て庶民の暮らしに触れられるまひろとは違う方法で、倫子も世界を知ろうとし、実際のところ世故に長けてもいるのだ。ほしいもの(道長という婿)を手に入れる賢さが彼女の一番の武器かもしれない。
まひろとの関係は変わっていかざるを得ないが、妻として、母としての新たな魅力をまとった倫子の今後に期待したい。
(文=池沢奈々見)